過ぎ去ると書いて過去だ
不良を撃退し、夜9時になった為俺は集合場所として指定された公園に向かった。そこには既に全メンバーが揃って居た
「あ、あっつんきた♪」
「…遅くなりました」
「いんやぁ、ちょーどいいよぉ♪…じゃ、皆来たのでぇ、花火をやろっかぁ♪」
桜先輩が持っていた袋から花火が出てきた。その花火を地面に置き、袋を開けた。中にはいろんな種類の花火があり、皆好きな花火を持つ
「じゃあここにロウソクつけておきますわね」
憐香がロウソクに火をつけ皆の輪の中に置く
「終わったらこのバケツな?」
時雨先輩が水が入ったバケツを置く。
…よし、準備は出来たな
そして皆が花火に火をつけ、花火が始まった。色々な光が皆の手の傍で輝く
「うわぁ~…♪」
桜先輩が目を輝かせてる。…一番こういうの好きだよな
「弓佳ーっ!」
「…?」
「たあーっ!!」
「!!?」
時雨先輩が花火を振り回しながら逃げる阿見津先輩を追いかけ回す。…危ないなぁ…
「…綺麗ですわね、草影」
「はい、バカよりは断然キレイですね」
「この後に及んで侮辱ですの!?」
憐香と奏夢さんがダベりながら花火をしている。…相変わらず毒舌だな、憐香が押されてる
「…あっつん?火、消えてるよ?」
「お?…あぁ、マジか。新しいのに火つけるか」
「じゃーはい、これ♪」
風から新しい花火を受け取り、火をつける。赤い光が俺と風を照らしていた
「…今日は中々濃い1日だな」
「そうだねー♪」
「…風は、この部活にはいってどう思う?」
「ん~…楽しいよ?学校生活もショー部のお陰で楽しい思いしてるし…」
「…同感だな。中学の時代を比べればな…」
「…あっつん…」
風が少し寂しそうな顔をしてる。…中学時代、実は俺は荒れていた。小、中を階段で進学していて、1学年1クラスしかなかった為、顔ぶれが基本変わらなかった。その中で風の様な奴と知り合えた一方で、当然仲が悪い奴も出てくる。俺はクラスの女子大半を敵に回していた。理由は風とよく俺が絡んでいたのだが、他の女子に対しては冷たくあしらっていた。それが気にくわなかったのだろうな。そしていつしかクラスから仲間はずれにされた。担任も見て見ぬふりだ。…唯一ちゃんと見てくれてたのは、風だった。中学時代に俺がなんとか過ごせたのは、風のおかげなんだよな。…だが、それのせいで俺は今まで彼女というものを作ったことがない。…信用が出来ないんだ
「…あっつん?」
「…え?あ、なんだ?」
知らぬ間に皆に囲まれていた。…女子ばかり…この風景…
「…おい、河内!アンタ風のなんなの!?」
「何か脅してるんじゃないの!?」
「違う!俺はそんな…」
「アンタの様な奴、嫌いなのよ!」
「朝野さんが可哀想よ!アンタ見たいなキモ男と一緒だと!!」
「…なんだと…!俺が友達じゃ悪いってのか!」
「そうよ!!アンタじゃなくてもっとふさわしいのが居るのよ!」
「アンタなんか死んじゃえ、バーカ!」
…風…
「河内、河内!!」
「…へ?」
時雨先輩に声をかけられ、我に帰る。皆が心配そうな目で俺を見つめてる。…これは過ぎ去った事なんだ。…気にする必要は無いんだ
「いや…ちょっとボーッとしてただけっすよ」
「…ほう?」
時雨先輩が怪訝な顔をしていたが、すぐに口元を緩めた。…ありがとうございます、時雨先輩
「…じゃあ、あっちゅんが気付いたからぁ、最後に線香花火をやるよぉ♪」
桜先輩は皆に線香花火を渡し、火をつける。皆が花火を囲み、余韻に浸る。…俺は、今、楽しい生活を送ってるぞ…