家族サービス
「…おーい、起きろ」
夏休みのある日、今日は家族との買い物の日だ。…前の日の合宿中にかけた電話の約束を果たそうとしていたのだ。ただ朝起きてみても二人はまだ布団の中。…もう12時過ぎてるぞ
「…みゅぅ…」
先に起きたのは猫原だった。…髪の毛がぐちゃぐちゃになってらぁ
「…今日、約束だっつったろ」
「にゃ…にゃ!!そうにゃ!」
猫原は飛び起き、居間に駆けていった。その音で蜜柑も目を覚ました
「…う~ん…」
「ほら、早く起きろ、買い物行くぞ」
「あ…そうらった!」
蜜柑も慌てて動いた。…ったく、ゆるいな…
そして二人の準備が整った。猫原はいつも通り猫耳カチューシャに黒いタンクトップ、ダメージジーンズとラフな格好。蜜柑は水色のワンピースを来ていた
「んじゃ、行くぞ」
「「おー♪」」
…俺の住む町、希望町。その商店街に三人でくり出した。とりあえず、まずは服だな…
「…にゃー、これかわいいにゃ!」
「う~ん…こっちの方が可愛いよ~?♪」
蜜柑と猫原は二人でキャッキャいいながら服を選んでいる。…なんだろ、この入りにくい空気…
「…とりあえず決まったら呼んでくれ~?」
「あ、うん!」
そう蜜柑にいい、とりあえず休憩所に向かった
「…どうせなら俺もなんか買えば良かったかな」
ジュースを飲みながらそんな事を考えて居たのだが…意外な人物が前を歩いているのに気付いた。…ありゃ、憐香か?
「…ちょっと、急ぎなさいよ!」
憐香が後ろにいる男に怒鳴る。…スーツ姿だって事は、ありゃ執事か?
「…仕方ないですね、金のために、ですから」
「…本当に可愛いげのないっ…!」
執事のさらっとした言い方にイライラを隠さない憐香。…、執事とお嬢様の関係があれってどうよ
「おや、貴方は淳様ですね」
「いっ!?」
…その執事が何故いきなり俺に声をかけてくるんだよ!?さっきまで地味に距離あったし、第一何故俺の事知ってるんだよ!?
「どうやら、言いたいことが山積みみたいですね?」
「…そうっすね、つか、お宅のお嬢様、ほったらかしだけど?」
俺が指を指した先には執事を見失い、おろおろする憐香の姿が。執事はそっちに少し目を配り
「大丈夫です、バカでもあそこからはさすがに動かないでしょうから」
「…」
毒吐くなぁ、この執事…
「申し遅れました、私、大道寺家にお仕えしている執事の草影 奏夢ともうします」
「あ、どうも…」
何故か自己紹介が住んでしまう。近くではまだ憐香がオロオロしてる。…執事…
「あの、仕事しなくていいんすか?」
俺はとりあえず聞いてみるが…
「あのバカにはこれくらいが丁度いいでしょう?」
…さいですか
「…まぁ、好きにしたらいいんすけどねぇ…」
「分かってます、貴方はやはりお優しい」
そうはにかむと、身体を憐香の方に向ける。どうやら戻るらしい。そして歩き始める前に一回こっちを振り返り…
「これからも憐香お嬢様をよろしくお願いしますね、河内様?」
と、告げてきた。親かよ…とは思ったが、やっぱり家族のような感じか
「…分かってますよ、草影さん」
「奏夢とお呼びください、河内様」
「なら俺も淳でいいっすよ」
「分かりました、淳君」
そして最後また笑顔を見せ、憐香の方に戻っていった。…憐香の執事も変わりもんだな
そしてすぐに買い物も終わり、商店街をほっつき歩き、帰った。…地味に濃い1日だったなぁ
「…憐香様」
「何よ奏夢」
「先ほど、河内様と顔を合わせてきました」
「え、淳!?どこにいらしたの!?」
「…さぁ?」
「なんですの!?…あ、そういえば奏夢、アンタはさっきまで居ないと思ったら…!!」
「彼、素直でいい人ですね?」
「ふ、ふん。そんなの言われなくたって…」
「彼、オロオロしてた憐香様を心配してましたよ?」
「え…てことはすぐ傍に!?アンタは仕事中に…!?」
「ふふ…やはり憐香様はバカですね」
「うるさいわよっ!!」