合宿終わりぃっ
「…ふぁぁ…」
迷子になった次の日の朝、俺が朝目を覚ますと太ももに頭を乗せて寝ていた。…いつのまに…
「桜先輩、朝っす」
「…んにゅ…ふぁぁ…」
少し肩を揺すると桜先輩もすぐに目を覚ました。…トロンとした目で俺を見つめてくる
「…なんすか?」
「ふにゅ…私…寝ちゃって…?」
「はい。まぁ俺も寝ちゃったんすけどね」
「…早く、戻らなきゃねぇ…?」
桜先輩が眠い目をこすりながら起き上がる。…一応何もしてはいないが、こんな状況なら
「なんかしたんじゃないでしょうね!?」
的な展開は無いものかね…ふつー…
「ん~っ…」
桜先輩が洞窟の入り口で伸びをしている。…無さそうですね、はい
「あっちゅん、動けそう?」
「まぁ…まだ痛みはありますが、なんとかなりますよ」
「そっかぁ♪じゃぁ…行こっ?♪」
そして俺の手を引き、洞窟を出る。周りは茂みだらけで横を見ると、そこは少し高さがある崖があった。どうやらここから滑り落ちたらしい
「…どうするんです?道が分からない以上、闇雲に動くのも…」
「まーまぁ、とりあえず見てなさいってぇ♪」
そういい、手を口元に持っていき…
「ヤッホーッ!♪♪」
…叫びだした
「…遊んでる場合っすか」
「いやいやぁ、まぁ見てなさいっ♪」
そして数分後…上の方からなにやら物音がした。…まさか?
「ここら辺から聞こえた気がするんだ…カオルーっ!!」
「あっつーんっ!どこーっ!」
この声…時雨先輩に、風!?…嘘だろ、やまびこを利用ってか!?
「…」
「ぶぃっ♪」
桜先輩は顔の傍でブイサインを作り、太陽が逃げ出す笑顔を見せた。…本当に、全く常識が通じねぇこと…
「!!カオル!?河内!?」
「あっつん!!よかったぁ…」
とうとう二人が俺たちを見つける。二人は少し回り道をして俺たちのところに駆けつけてきた
「ありがとぉっ♪ひとみん、ふーちゃん!」
「全く…とんだトラブルメーカーだな…河内まで巻き込んで…」
「…ふぇーんっ!!よかったよぉーっ!!」
「お、おい、風…」
時雨先輩はため息混じりにも口元が笑っていて、風は大粒の涙を流して喜んでいた
「ほんと…すいません」
「まぁ…カオルが居る以上、こうはなったさ。河内は悪くない」
「…そうっすか」
「ひとみん?ふーちゃん?じゃあ悪いけど…あっちゅんに肩を貸してあげて?」
そこで桜先輩が気をきかせてくれた。そして俺たちは無事(?)に別荘に帰ってきた。そして…
「…いよぅし、帰るよ~♪」
とうとう帰路につく時が来た。皆が忙しく荷物をまとめている。…何だかんだ短かったけど、内容が濃かったけど、楽しかったな…
「…淳?」
物思いに更けていた俺に、憐香が声をかけてきた。…なんだ?
「…桜先輩とは…なにかあったのかしら?」
「…何か?なんだよ?」
憐香が良く分からないことを聞いてくる。憐香は少し顔を赤くしながら言葉を続ける
「…あの…その…」
「いったいなんなんだよ?」
「…い、いや、…別に、良いですわ。今の言葉は忘れなさい」
「へ?…なんで…」
「忘れなさいっ!!」
憐香が赤い顔で怒る。…今、怒られる所だった?
「よぉし…皆、準備できたねぇ♪じゃあ…行くよぉ~♪」
そして俺らは荷物を持ちながら帰路についた。…これにてショー部の合宿、終わり!
「…ただいま…」
しばらくして俺は無事家に着いた。…疲れた…
「おかえり~、お兄ちゃん!」
「にゃ?帰ってきたにゃ?」
そんな俺を蜜柑と猫原が出迎えてくれた。…本来なら喜ばしいんだろうが…
「お兄ちゃん!久しぶりにご飯つくって?♪」
「にゃー!」
二人は俺がにもつをもつ両手にくっついてくる。…騒々しい日常にまた引き戻されんのか…
「…わぁったよ。あ、今日はお前たちにもお土産あるから後でそれも食うか」
「いやたぁ~!♪」
「にゃにゃ~♪」
…ま、いいか?