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ちょっとした…

「…ん…」


「…あ、目…覚めたぁ…?」


崖から落ち、目を覚ますとそこは何やら洞窟っぽい洞穴だった。隣には桜先輩が座ってる。ピンクのワンピースが泥だらけになっていた


「…心配したよぉ?」


「…すんません」


俺は流れのままに起き上がり、頭を下げる。すると桜先輩の目から涙が溢れてきて、俺に抱きついてきた


「っ!?」


「…ひっく…ごめんねぇ…」


そのまま泣き出す桜先輩。美人が台無しだ


「…あの…本当にすいません」


「…私がっ…言い出さなきゃっ…」


桜先輩は自分が進む言い出したことを反省しているらしい。ただ正直これくらいの無茶が無いと桜先輩じゃないって思える位に自分の感覚は麻痺してる。…それが俺にとってもマンネリ化した生活を変える事が出来たんだよな


「…えぐ…ひっく…私…私っ…」


「桜先輩、泣いててもどうしようもないっす。とにかく帰りましょう?皆も心配して騒ぎ出しちゃいます」


「…うん…」


そういい桜先輩から解放され、歩き出そうとするがどうやら足を挫いたようで、歩き出せなかった


「…っつ…」


「…あっちゅん…?」


「…申し訳ないっす、どうやら足をダメにしたみたいで…」


「…本当?」


「こんな時に嘘は言いませんって。…桜先輩、先に別荘に戻ることは出来ないっすか?」


「…出来ないよ、道も良く分からないし…あっちゅんを置いていけないよ…」


「だったらとりあえず少し休ませてください。多分少し休んだら動けるんで…」


「うん…」


そして壁際にもたれ、二人して座り込む。…隣を見ると、桜先輩は少し肩を震わせていた。…仕方ないな


「…少し泥がついてますけど、これで寒さ、凌いでください」


「…え?」


桜先輩は目を丸くする。…確かに俺も上着を渡せば後は黒のTシャツ一枚だから、まぁ寒いんだが…


「風に『レディーに優しくするのは男の務めだよ』って言われてるんで」


「…ふ~ん…」

桜先輩は少し目を逸らしながら受け取り、肩に羽織る。…さっきまで泣いてたから目が真っ赤になってるけど、なんか頬も赤い?


「…取り入ろうって思っても、ダメなんだからね?私の権力はあげないよぉ?」


「何の権力っすか。そんな無茶だらけの権力要らないっす」


「…なら、いいけど…」


そのまま縮こまる桜先輩。…やっぱりしぐさとかがまだまだ子供っぽい、可愛い人だよな


「…昔、同じような事があってねぇ?」


なにやら話し出す桜先輩。…なんだ?


「…その時はひとみんの家族と私の家族と、一緒に旅行に来てたんだぁ。で、その時にひとみんと同じように肝試しをやったんだぁ。で、その時にも迷子になっちゃったんだぁ。…でもひとみんは今のあっちゅんと同じように上着を貸してくれて、ちゃんと帰るために色々考えてくれて…」


…俺、ショー部の人間の事全く知らないんだよな。昔から時雨先輩と桜先輩は姉妹みたいに関わってたのか…


「…今、あっちゅんとひとみんが重なった気がする…」


そういうと俺の肩に身体を預けてきた。なにやら眠そうにしている


「…今日は…もう眠いぃ…」


「…仕方ないから、そのまま夜を明かしますか?暗い中じゃ色々危ないですし…」


「…うん…」


「了解っす。…ところで、そのまま寝るんすか?」


「…うん…」


桜先輩はもう寝始めていた。桜先輩の暖かさが伝わってくる。…一応、俺も健全な男子なんだから少しは警戒してほしいんだが…


「…ま、いいか…」


そのまま俺も寝ることにする。…今日気付いたのは、桜先輩は妹属性だってこと、とても寂しがり屋だと言うこと、そして…俺をあまり男としてみてくれてないって事だ


…男だからな!?

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