出発
「…うーっす」
「おはようございまーす!」
「お、来たねぇ、あっちゅんにふーちゃん!時間ぴったりだね♪」
「さすが凡人」
「時雨先輩、それは暴言っすよ!?」
『朝から賑やかだね?』
「…本当に、騒がしい連中ですこと」
「…言われ放題だな」
夏休みに入ったある日の朝、俺らショー部はこれから合宿である
「…で、桜先輩?これからどこに行くんすか?」
「とりあえず私の家が持ってる別荘だよぉ?」
「…は?」
…別荘?
「そうか、河内に言ってなかったか?」
『カオル先輩の家はお金持ちなんだよ?』
「…なんとなくそんな話をしていたような気がしますけど…」
どうやら今日の目的地は海沿いにある別荘のようだ。…なんで海沿いかと言えば、昨日桜先輩から来たメールだ
『うーみーにーいーくーのーだー♪だから水着用意!』
…というメールが来たんだよ。まぁ、合宿するって言ったときからまぁそんな気はしていたが
「……揃ってる…みたいだね…」
「!?先生!?」
なぜかいきなり羽根黒先生が現れた!…なんで?
「…顧問…だからね…」
あぁ、そうか。引率か。丁度よかった、男一人で心ぼそかったんだよな
「……見送りに…来たんだ…」
「見送りかよっ!?」
俺は全力で突っ込んだ!!だって普通は顧問は引率だろ!?どんだけ自由なんだよこの部は!!
「…だって…俺が居たら…楽しくないよ…?」
「暗いわ!!そんな事ないだろ!?」
朝イチから無駄に暗い先生。…はぁ…
「ま、いいです。…じゃ」
「バスも着いたし…いっくよー!!」
桜先輩の掛け声で、皆がバスに乗り、移動が始まった
バスの中の座席は後ろに憐香と風。真ん中の列に時雨先輩と阿見津先輩。そして俺は何故か最前列で桜先輩と並んで座っていた。なんでもこの座席配置は部長命令らしい
「~♪」
部長はさっきから上機嫌に鼻唄を歌っていた。…楽しそうだな
「…でさ、ウチのクラスの…」
「…♪」
「あ、憐香ちゃん。おやついる~?」
「…仕方ないから、いただきますわ」
それぞれがそれぞれで楽しんでるようだ。…さて、着くまで寝ようかな…
「寝るなんて許さないよん♪」
「…!?」
え?…桜先輩、心の声を呼んだの!?
「じゃーさぁ、おねーさんとお話しようかぁ♪」
「なんか随分扱いがガキくさいっすけど」
「まぁまぁ♪」
そんなこんなで一時間後、バスは無事桜家所有の別荘にたどり着いた。皆がそれぞれ荷物を部屋に置き、海辺に出てくる
「…まさか、ここ全部つかっていいんすか?」
「うん♪ここは私の家の私有地だからねぇ♪」
見渡す限りの青い海。ここが貸しきりだとは正直思えない
「じゃ、着替えよっかぁ♪」
すると女性陣は自分達の部屋に行った。どうやら水着に着替えるそうだ。…今歩き回ったら覗きの疑いかけられて殺されるな。…憐香辺りに
「…にしても…本当に来たんだなぁ…合宿に。この部の活動目的はピンと来てないが、どうせまた何か戦わなきゃならねぇのかな…?まぁ、いいけどさ」
そう独り言をいいながら居間のソファに寝転がる。…女子の着替えは、時間がかかるんだよな。…少し、寝よう