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これはライトノベルではございません(笑)

「あっちゅ~ん、暇だよぉ~??」


「…俺は暇じゃないっす」


とある日の部活動。今日は全員が揃っていたけど何故か自由だった。なので俺は最近買ってきたライトノベルを読んでると、桜先輩が暇らしく近づいてきた。…暇って言ったって、受験生だろうに…


「暇じゃないわけないじゃない~??本読んでるんだからさぁ~♪」


「…まぁ、そうっすけど。時にはこうやって本を静かに読みたいんす」


「…私はぁ、頭がいいんだぜー、的なアピールぅ?」


「違うからね!?」


…おっと、思わず突っ込んでしまった。…仕方ない、相手するか…。そう思い、本をしまうと


「ね~ねぇ?さっきの本はなぁに?」


と、桜先輩は本に食いついてきた。…この人本読まなさそうだもんなぁ


「これっすか?これはライトノベルっす」


「らいとのべるってなぁに?」


どうやら彼女はライトノベルを知らないようだ。だが俺もうまくは説明できない、困ったなぁ


『私が説明するね?』


すると、阿見津先輩が話の輪の中に入ってきた。阿見津先輩はいつも通り携帯で文章を見せる


『簡単に言えば、小説と比べたら挿し絵が多くて、マンガと違って文章がある程度羅列されてる本だよ』


「ほへ~…弓佳ちゃんはなんでも知ってるんだね!」


『何でもじゃないよ(;・w・)』


一応理解はしてくれたらしい。ただ、次はこうだ


「見せてぇ?」


…よくあるよね、興味持ったら見たくなるよね?だけどこれは…


「みぃせぇてーっ!」


いきなり駄々をこね始める桜先輩。…いやいや、まだ何も言ってないんだからだだこねんじゃないよ!


「別に見せるのは良いんすけど…」


「ほんとぉ!?やったぁ♪」


俺の了解が取れた瞬間、桜先輩は俺の手からラノベを奪い取った!そしてすごい勢いで椅子に座ると、早速読みだした。…なんで奪われたの?


『河内君。あの本の内容はどんな感じ?』


阿見津先輩が画面を見せてくる。その眼には桜先輩と同じ興味の目線だった


「…とある一家に買われていた犬の話っす。幸せに最初は暮らしてたんすけど、ある日キャンプに行くと子供が流されてしまったんす。そこに助けに行ったのがあの犬で、その子供はその犬によって助けられたんすけど、犬はそのまま行きを引き取ったんす。原因は老衰でした。…たぶん、犬は昔その子供の父親によって助けられから、その恩返しをしなきゃ死ねなかったんだと思うんす。最後は家族を救ってこの世を去る犬…ベタっすけど、なかなかいい話っすよ」


『ヘ~…』


阿見津先輩はもともと本をたくさん読む人だから読んだことあるかと思ったんだが…今度阿見津先輩にも貸すか


そう説明するうちに桜先輩が読み終わる。…ずいぶん静かだったな。先輩らしくない


「どうでした?あまり人に勧めるような内容じゃないんすけど…」


と、椅子に座り俯く桜先輩に声をかける。すると…


「あっちゅん!これはいい話だよぉ!」


目に大粒の涙を浮かべた桜先輩が俺に抱き着いてきた!?…そんなに泣けたの!?


「…河内…」


「あっつん…」


その事態の内容を知らない時雨先輩と風が冷たい視線を俺に送ってくる。えー、俺が悪いの!?


助けを求めようと阿見津先輩に視線を向けるが


『私悪くない(;=v=)b』


と、画面を見せてきたっきりそっぽを向いてしまった。…この薄情者がっ!


「これはライトじゃないよぅ…ヘビーノベルだよぅ…」


「先輩、そんなジャンルはないっす。あと、そんなに号泣されても困るんすけど…」


「これを持って来たのはあっちゅんじゃないかぁ…陰謀だぁーっ!」


「…河内、カオルを泣かせて、タダじゃすまないのは分かってるな…?」


「あっつん、これは浮気と解釈していいのかなー?」


「ち、ちょっと待ってくれ!?俺は悪くないだろ!?それに風!?意味わからないことを言うな!?」


「ふぇ~んっ!」


「桜先輩もそんなに泣かないで下さいよ~…」


それから30分、何とか桜先輩を宥めた俺は、今度は時雨先輩と風の説教を受け(桜先輩を泣かしたことと浮気について…って、浮気とか意味わかんねぇし!俺独身だし!?)、今日の部活動は終了した…


今日学習したこと。桜先輩は意外と涙もろいこと、桜先輩を泣かすといじめられること…これこそ陰謀だろ…

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