羽根黒 了一
「…で、あるからして…、彼の気持ちは……ここで動いたのです……」
ある日の授業。俺は国語の授業を受けていた。担当の先生は以前説明した(『入学』参照だって神の声が聞こえたぜ)担任の羽根黒だ。…見てて分かると思うが上下黒のスーツに黒ネクタイ、ボサボサした髪に無精髭、目の下にくまがあって、こいつ本当に教師か?って思える奴なんだ。しゃべるのもずいぶん間が多いしな
「……という訳で……答えは②番……」
俺たちに目を背けながら、答えを呟く羽根黒先生。…本当に、こいつが教師になれた意味が分からねぇよ
そして授業終了の鐘がなり、先生が号令をかけた。だがその後
「…河内君に、朝野さん……ちょっと、職員室に来なさい…」
と、羽根黒先生に呼び出しを食らった。…なんか、悪いことしたっけか?
「あっつん、呼び出しくらってやんのー!やーいやーい!」
「お前も呼び出しだよ。ほら行くぞ」
「うぇー!面倒だよ~!」
「文句を言うな。ほら行くぞ」
「え!?あ、ちょ、まって!?襟を引っ張らないでー!?」
行きたがらない風の襟元をつかみ、引きずりながら職員室に向かう
「あ~…首絞まって死んじゃうかと思ったよ~」
「お前が駄々をこねなきゃよかったんだよ」
そうして職員室にたどり着く俺。一応自称平凡な生活をしていた俺には呼び出しを食らう覚えはない。…用事は何だ?
「失礼します…」
「しっつれいしまーすっ!」
そして羽根黒先生を探してみると、遠くの応接室で手招きしてる人が…つか、部屋から手だけ出して俺らを呼ぶなよ、気持ち悪いだろうが
「風、あっちだ」
「あ、先生居たね!」
そして応接室に入ると、向かい側には既に羽根黒先生が座っていた
「……座ってくれるかな?」
「あ、あぁ…はい」
そして羽根黒先生に促され椅子に腰かける。羽根黒先生はそれを見て、話を始める
「…君たち、ショー部の部員になったのかい……?」
「え?あ、はい、そうっすけど…」
「……僕は、そこの顧問なんだ……」
………
「はぁぁぁあああっ!?」
「あっつん、うるさいよ?」
「あ、あぁ、すまん取り乱した。…でも知らなかったっすよ」
こいつが顧問なの?第一、こんな部に顧問いたんだ
「……で、君たちにお願いがあるんだ…」
「なんすか?」
「……今日、部活に連れていってくれないかな?」
「それをなぜ俺たちに頼むんすか?」
「…部長、僕の存在を忘れてるみたいで前行ったとき『変な人はでてけーっ!』って追い出されて…」
笑いながら話す羽根黒先生。…生徒に変な人って言われてんのが可哀想だな
「分かりました。放課後迎えに来ますね」
「…頼んだ…」
そして放課後…俺は職員室まで羽根黒先生を迎え、部室へ足を運ぶのだった…
「…まさか、生徒が先生を誘導するなんてね」
「…面目無い」
「あ、落ち込まないで下さいよ。はいって日は浅いっすけど、うちの部長はちょっとお馬鹿なだけっすから」
「…先生の存在を忘れるってどうよ…」
…ごもっとも