勝負!!ラスト…好き
「…どうして、こうなった…?俺…なにか悪いことしたか…?」
…今日は、卒業式。…あの勝負以降、ショー部はいつも通りに戻った。…何故か、あのデート券の行方は全くわからずだ。…あのドキドキはなんだったんだよ…
「あっつん!!」
「…んぁ?」
あれから、風は全く変わった様子を見せない。…むしろ、皆変わった様子は無かった。…まさか、まさかとは思うが…どっきりとか?まさかね?
「これから卒業式だから、体育館に集合だよ?」
「はいはぃ…」
とりあえず、俺は卒業式に向かった…
「…私たちは、これより、旅立ちます」
…卒業式は、淡々と進んでいく。名前が呼ばれ、卒業証書を渡され、代表者同士の挨拶等が進んでいる。…在校生にとっては、苦痛でしかないな
「では、これにて卒業式を終わります」
そして、卒業式が終わり、さぁ教室へ…
「…在校生のショー部の皆さんは、体育館に残ってください」
…何故か放送の声が阿見津先輩…それに、え?残るの?
「…なんなんすか?」
俺は怪訝な顔をして阿見津先輩に聞く。…今、体育館には俺、阿見津先輩、風、憐香、アリスの新年度のショー部のメンバーが揃っていた。…ただ、今集まって居る理由を分かってないのは俺だけらしい。…えー
「…河内君、呼ばれた理由、今発表するよ?」
「…はぁ…」
「…今日、あの大勝負の結果発表をするよ」
「は!!?」
…いきなりすぎねぇか??なんでこの日に…
「…それっぽい日だから?」
「ですよね?」
「ですわね」
「だヨ!」
全員が相づちを打つ。…はぁ、むちゃくちゃだ…俺のドキドキを返せ!!
「…じゃ、皆、正門前に行くよ」
「「おーっ!!」」
「…はぁ…」
気が乗らねぇ…
「では今からぁぁぁっ!!卒業生のぉぉ!!み送りだぁぁぁ!!」
どうやら児島がマイクを持っているらしい。とにかくすごい叫び声の中、卒業生が校舎から出てきた
「…あ、出てきたよ、カオル先輩に、瞳先輩だよ」
阿見津先輩が指差した先には、桜先輩と時雨先輩が居た。二人はそれぞれ在校生に囲まれていた。…なんか、めっちゃ人気だな
「…河内君、始まるよ」
「は?何が…」
『…えー、それではこれから、ショー部の勝負…今年度最後の勝負をさせていただきますわ!!』
「!?憐香!?」
何故か憐香が児島からマイクを奪っていた。学生の視線が俺たちに集まる。…えー…と
『今日は…私たちショー部の、恋という大勝負ですわ!!では、皆さんご唱和下さいませ!!ショー部のぉ…』
「「勝負っ!!」」
「わぁっ!?」
なんか、学生が声を揃えてさけんでやがる!?
『では…チケットを持った方と淳、前へ!!』
「…は…?」
なんか、よく分からないが集団の中に行かされる。そして、俺の前に居るのは…
「や、やぁ…あっちゅん」
桜先輩だった。…俺が選んだのは、まっぷたつ割れたハート型のチョコレートだったのだ。…このチョコレートは、他のと違った感覚があったんだが…
「…桜先輩だったんすね」
「あ、あの、そぉだよぉ??頑張って作ったんだけど…割れちゃったぁ♪」
「さすがに真っ二つはまずいっす、縁起が悪すぎます」
「だ、だだだだよねぇ♪」
…桜先輩、挙動不審だ。手は目の前で常に動いてるし、顔は真っ赤だし…
「…桜先輩、これ、勝負っすよね?…受けてたちますよ」
俺は、覚悟を決めている。…この勝負の意図が、やっと分かった
「…う…えと…うんと…」
「…」
周りは沈黙している。部のメンバーも同じだ。…今回の、勝負は他のメンバーも気になるのだ。…俺の答えが
「あっちゅ、…いや、淳っ!!」
「…はい」
「…わ、私は…淳が…」
「…」
そして…
「…入学式の時から、好きでしたぁ!!」
「…」
桜先輩から放たれた「好き」と言う言葉…。これが、ショー部としての桜先輩の、大勝負…か
「…仕組みましたね、桜先輩」
「あ、あはは…」
「…桜先輩、今回の勝負は、俺の勝ちっす」
「…え?」
桜先輩の笑顔が固まる。その中、俺は言葉を繋いだ
「…桜先輩、覚えてますか?俺がショー部にはじめて来た日の事」
「…うん」
「あの時は、桜先輩を俺がブラックジャックで負かして、入部が決まりました。その時は、俺が桜先輩の挑発に乗ったから、部に入った。言わば、桜先輩の罠にはまった俺の負けっす。…ただ、今回は桜先輩が自分で罠を張りながら、結局桜先輩から来た…これは、俺の勝ちっすよね?」
「…うん…私、それが…嬉しくて…」
桜先輩は涙を流し始めた。ただ、これは悲しみの涙じゃないことは、ここに居る皆が分かっている
「…初めてだったの、勝負事に負けたの。私、なんでか知らないけど、なんでも出来たの。それが裏目になって、全然友達が出来なかった。瞳とは出会えても、それ以外の人とはやっぱり付き合いにくかった。高校三年目にいきなり来た、淳に負けちゃって…。その時の淳、格好良かった。私から逃げなかった。それが…嬉しかった」
「…桜先輩」
「だから!!私はあっちゅんが好き!!」
桜先輩が目に涙を浮かべながら、叫ぶ。…そして、俺が答える番に変わった。…まぁ、答えは迷わない。一年間って短かったけど、その中でも桜先輩を理解できた。…そんな桜先輩が…
「…俺も、好きだと思います。そんな、桜先輩が…」
「~…っ!♪」
そして…桜先輩が俺に抱きつき…
キスをした
「「うぉぉぉおぉぉーっ!!」」
ギャラリーからは悲鳴に近い声。…まぁ、桜先輩はアイドルだしな。そしてショー部のメンバーは皆視線をそらしてる。…さすがに恥ずかしいか
「…にゅふふ~♪これでぇ…あっちゅんは私のだぁ♪」
「勝手に人をものにしないで下さいよ」
「それは私の自由だも~ん♪」
「…全く、勝負に負けたのにご機嫌っすね?」
俺の問いに、桜先輩は笑顔で答えた。これまでにない、最強で最高な笑顔で…
「だって…恋の勝負は、勝てたからぁ♪♪」