今年度最後は、大勝負!!
「…うぃーす」
「あ、カオル、河内がきたぞ」
「ふにゅ!!あっちゅん来たね!!」
「は、はい!?」
とある日の放課後、俺はいつも通り部室に足を運ぶと、部室には全員が…なんか、俺を待ち構えぇぇっ!?
「あっちゅんを…捕らえろぉっ!」
「「おーっ!?」」
「うぁぁぁっ!?」
そのまま俺は意識を失った…
「失っちゃだめだろぉぉっ!?…って…ここどこだ?」
俺が目を覚ますと、そこは見覚えが無い建物…というより、家の中だった。…別に縛られたりしてる訳じゃないし…なんなんだ?
「目を覚まされましたか、淳様」
「??…奏夢さん?」
すると扉から現れたのは奏夢さんだった。奏夢さんは深々とお辞儀し、部屋に入ってくる。…奏夢さんがここにいるって事は…
「…奏夢さん、ここって…」
「察しがいいようですね。」ここは私が仕える、大道寺家です」
…なぜか俺は、ショー部の面々に憐香の家に連れ去られたらしい。…いったい何が目的なんだ?
「奏夢さん、今回何が起きてるか分かります?」
「いえ…残念ながら、桜様の話だと"そーむさんはヒロインじゃないからおしえなーい♪"だそうで」
「…なんか、すいません。うちの部長が限りなく失礼な発言を…」
「別に構いません。私自身も攻略可能なキャラだとは思ってませんでしたから」「ギャルゲかっ!?…つぅか、何の話っすか!?」
いかん、話が脱線してしまった
「とにかく。…今回の話に、奏夢さんは無関係なんすね?だったらとりあえず意味が分からないんで、帰らせてもら…」
「駄目です、そして嫌です、面倒くさい」
「最後まで聞いてぇっ!?そして面倒くさいってどゆ事っ!?」
奏夢さんに瞬殺された。…うぉぉ…奏夢さんの言葉はダメージでかいぜ…
「…はぁ…はぁ…突っ込みまくって疲れたっすよ…」
「それはまた、ご苦労様です」
「あなたのせいだよっ!!…はぁ…突っ込んでも問題は解決しないっすよね…」
「いえ、退屈な時間は凌げたようですよ。…要人がご到着です」
奏夢さんがそう言うと部屋の扉が再び開き、桜先輩、時雨先輩、阿見津先輩、風が現れた。それぞれの手には箱が握られている
「…なんすか、それ?」
「にゅふふー、それは言えないんだよ、あっちゅん!」
桜先輩は得意気に胸を張っている。…意味が分からん
さすがに伝わって無いことが理解されたか、時雨先輩が間に入ってくれる
「アタシが代わりに説明する。…簡単に言えば、明日は何の日だ?」
「明日…っすか?」
「そうだ。2月14日…男女がドキドキのバレンタインデーだ」
「…別に、今までドキドキしたことないっすけど」
そうだ、明日はバレンタイン。…今までのバレンタインは毎年妹が市販のチョコをくれたくらいだ。時々風が気を遣ってくれたが…義理は貰うだけで切ないんだよな
「…今回の部活が、カオル先輩達にとっては最後の部活動になるんだよね」
「はぁ…」
そういえば、もう卒業の時期か…この人たちはのんきそんなのすっかり忘れてた
「…それで、年功序列で来年度の部長は、私、阿見津弓佳が就任することになったんだ。…よろしくね?」
「あ、はい…。で、この状況と何の関係が?」
「…でね、今年度最後の部活動なんだけど…チョコレートがテーマなんだ。河内君は、今回は審判だよ?」
「審判…すか?」
そして阿見津先輩は、とんでもない事を口にした…
「…今回の勝負で、河内君に選ばれた人が、君とデートをするんだよ」
「…はぁぁぁ!??」