解決策はとんだ舵取り!?
「…そうか、野々村の息子が…」
「パパ、どうしたらいいの?正直私迷惑だよぉ…」
「…」
俺たちは無事桜家にたどり着き、父親に事の経緯を説明する。…正直、許嫁は親同士の取り決めだ、子を巻き込まないでいただきたいものだ
「…ふむ、河内君、ご苦労だったね、桜をここまで守ってくれて」
「いえ…。むしろ先日の事故は申し訳ないっす。俺が傍にいながら…」
「いや、構わない。むしろカオルのマイペースな性格がたまたま災いしただけだ。それにこうしてカオルは元気だ。それでいいじゃないか?」
「…まぁ、そうっすね」
桜先輩の父親は笑いながら答えてくれる。…まぁ、気持ちは楽になるが…一応娘なんだから、もう少し怒られるのは覚悟してたんだが…
「とにかく、だ。野々村の息子はボンボンの中のボンボンだ。こうなった以上、親同士で話した所で止まらないだろう」
「…そんなぁ…」
桜先輩が落胆している。ただ父親は言葉を続けた
「…そこでだ、河内君。君がよければ、少し引き受けてほしい事があるのだが」
「…?なんです?俺ができることであれば協力しますが…」
「そうか、ではカオルを頼む」
「…??」
「ちょっとぉ!?パパ!?」
…言葉の意味が全く分からないんだが…えと…
「どういう事ですか?」
「言った通りの意味だ。カオルを少しの間、河内君の家に預けたいのだ。ダメかね?」
「…ま、まぁ俺は問題は無いっすけど…」
隣の桜先輩を見る。…動揺しまくってる。顔を赤くして父親に詰め寄ってる
「パパ!?それ親として許可していいのっ!?」
「構わないだろう?カオルは嫌か?河内君の家にお泊まりだぞ?」
父親は随分笑顔で桜先輩に対峙している。…なんか、桜先輩に拒否権無さそうだな
「うぅ~…分かったよぅ…あっちゅん、お願いっ!」
「あ、あぁ…まぁいいっすよ。今さら一人二人増えたところで構わないっすよ」
とりあえず、桜先輩の保身が目的で、桜先輩か少しの間、居候することが決まった。そして桜家を後にし…
「どうします?初詣、結局出来なかったっすけど…」
「…ふにゅー、楽しみだったのになぁ…」
桜先輩の表情がまた曇る。…あー、ったく…
「今からでもまだ遅くないっす、神社に初詣に行きましょう。多分…というより、間違いなく皆も居るでしょうし」
なんとなく俺には自信があった。俺も含め、基本は皆バカだけど、人を思う心は皆しっかり持ち合わせてるんだ、きっと、待ってる。…本来なら時雨先輩たちに連絡すれば分かるんだが、俺の携帯、電池切れてるから格好よく解釈するしかないんだよ!
「皆が?…ふにゅ、さすがに帰ったと思うけどなぁ…それにまだ月彦がいるかも…」
「ショー部の絆は、その程度じゃないと思うっすよ。皆もなんだかんだ今回も集まったんです、きっと待っててくれますよ!それに月彦が出たらまた逃げましょう。そしてまた来るんです!これはショー部の勝負…いや、桜先輩の初詣がかかった勝負っす!ほら、行きますよ!!」
「ち、ちょっと、あっちゅん!?」
しびれを切らした俺はぐずる桜先輩の手を引き、神社へ歩き出す。桜先輩は俺の行動に戸惑いながらもちゃんとついてきてくれた。…ショー部式初詣、仕切り直しだ!