初詣と言う名の…
「ふにゅ~、やっぱりお昼過ぎてもまだまだ人居るねぇ~♪」
「全くだ。こんなに沢山暇人がいるんだな」
「…その暇人に、私たちも含まれてるんだよ?」
今日、1月1日の昼過ぎ。俺たちショー部は桜家を出発し、初詣に行くために神社に来ていた。憐香と風は罰ゲームの巫女服、他の面子は着物だ。…俺は普通にジャンパーにジーンズという、かえって目立つ服を着て今、社に向けて歩いていく
「それにしても…本当に人多いっすね。この時間になったらさすがに人が減るかと思ったんすけど…」
「寝正月しようと決めてた人たちが揃って更生したとか?」
「風、それくらいじゃこんな人混みにはならないぞ」
「私達を阻むために来たのかしらね?」
「ショー部はいつこの町の住人の敵になった!?」
確かにこの人の数は妙だった。本来なら昼過ぎになれば参拝客は減る筈なんだが…このままだと少し気を抜いたら皆とはぐれ…
「ってもうはぐれたし…」
少し考え事をしただけで部のメンバーとはぐれてしまった。周りには全く人が見当たらない。…まずったな…
「…探しやすい人から探すか」
とりあえず俺は人混みを分けて、メンバーを探すことにした…
「…とりあえず、携帯っと」
俺は携帯を取りだし、あの人に電話をかけた。何回かのコールの後…
『…アタシだ』
時雨先輩が電話に出た。あの中で簡単に人混みに流されるとは思えない時雨先輩が今近くに居ないとなると、時雨先輩と協力して探すのが効率がいいと判断したんだ
「時雨先輩、他の人がどこに行ったか分かりますか?」
『こっちに朝野と大道寺、アリスはいるがカオルと弓佳、奏夢は居ない。河内の方に居るのか?』
「いや、残念ながら俺の周りには誰もいないっす」
『そうか。どうする?』
「時雨先輩は他のメンバーとどこかで待機するべきかと。またはぐれたら大変ですし」
『そうか。ならとりあえずアタシたちは先に社に向かう。そこで落ち合おう』
「了解っす」
そして電話が切れる。…見つかって無いのは三人か。桜先輩に阿見津先輩、それに奏夢さんか。奏夢さんはこういうのに弱くは無いだろうから(あくまで俺の想像だが)、とにかく松葉杖の桜先輩は見つけないとやばいな。ころんだりしたらさらに怪我しかねない。…阿見津先輩もうまい具合にいてくれたら…
「…とにかく考えても仕方ない。桜先輩達を探すか」
そして辺りをくまなく探す…
「…参ったな」
時刻は夕方に差し掛かってきたのか、景色が暗くなってきた。…1時間くらい探しても桜先輩が見つからない。阿見津先輩と奏夢さんはさっき時雨先輩が見つけて合流してるんだが、桜先輩の目撃情報は入ってこない。…携帯に連絡しても繋がらないから、正直不安は増すばかりだ。足の怪我があるから遠くに行ってるとは思えないんだが…
「…ん?」
と、そこで神社の入り口付近の男女に目を向けた。…あれ、女子は桜先輩か…?
「……」
「!……!!」
桜先輩と話してるのは長身の金髪の男子。たぶん桜先輩の同級生な気がするが…なんか、雰囲気が悪い。遠くて会話は聞き取れないが、桜先輩は怒ってるような感じだった。…う~ん…
「桜先輩」
とりあえず俺は声をかける事にした。桜先輩はこっちに気付くと、手招きをしてくるので傍に向かう。…なんか、相手方の男に心なしかにらまれてる気が…
「どうしたんすか桜先輩、らしくな…」
「私っ、あっちゅんと付き合ってるからっ!!」
「…は?」
「え?」
…今、なんと?