何気ない日常に潜んでいた悲劇
「ん~っ…まだまだ眠いでござんすねぇ~」
「桜先輩、キャラ崩壊してます」
「ふにゅ?そーかい?」
とある日の放課後、俺はいつも通り部室に足を運び、部の面々とゆっくりまったりとした時間を過ごしていた。そして時間は過ぎ、知らぬ間に外を見てみると夕焼けに染まった町が見えた。…そろそろ帰宅の時間か…
「カオル、そろそろ下校時間だ。今日はやることもないし、アタシは帰るぞ?」
時雨先輩が先陣切って帰宅用意を済ませ、部室を出ていく。…あれ?
「…桜先輩?時雨先輩いっちゃいましたよ?」
「うん♪今日はあっちゅんと帰るからぁ♪」
「…へ?」
何で?
「い、いやでも、俺と桜先輩の帰り道は逆じゃないっすか?」
「いやぁね、今日、パパがあっちゅんを呼んでるんだぁ♪」
「…お父さんが?」
…確か前、三笠さんに刺客を差し向けた張本人だよな…その人が何の用なんだ
「じゃあ、私は帰るね?お疲れさまでしたー♪」
「ごきげんよう」
『また明日』
「バイバイネー♪」
「あ、あぅ…」
他のメンバーもそのまま帰っていく。残ったのは満面の笑みを浮かべた桜先輩だけだった
「…えと…」
「来てくれるよねぇ?」
「…はい…」
そのまま俺は桜先輩に連れられ、先輩の家に向かった…
「…」
「…カオル、この人が言っていた男か」
「そうだよぉ♪」
…どうして…こうなった…?今、俺は大きいテーブルを挟み、俺の前に桜先輩の父親と母親が座っていた。…桜先輩の父親は、めっちゃいかついおじさんだった。…いやいや、威圧感ありすぎだろ
「…なんとか言え、河内とやら」
「は、はい…」
「まぁまぁあなた…あまりいじめちゃダメですよぉ…?」
たいして母親は…桜先輩そっくりでほんわかしてて、笑顔が眩しい…
「…む、すまぬ。別にいじめるつもりでは無かったんだが」
「い、いや…分かってますよ」
「それでねぇ…河内さん、でしたっけぇ?」
「は、はい…」
桜先輩の母親が話を切り出してきた
「今日呼んだのはぁ…あなたと言う人を知るために呼んだのよぉ?」
「…?」
「ちょ、ママ!?」
桜先輩がなにやら慌てている。…なんだ?
「あのねぇ…カオルってば、今年になってからはぁ、あなたの話をよく聞くのよぉ?今まではぁ、カオルは男の子の話なんてしなかったのにぃ…」
「そ、それは言っちゃダメだよぉ!!」
…???
「…それで、私たちは君を…」
「わーーっ!!」
そして父親が何かを言おうとすると、桜先輩が大声をあげた。…なんだなんだ
「どうしたカオル」
「そ、それはぁ、パパとママで勝手に決めた話でしょぉ!?」
「でもぉ…いい男の子だしぃ…」
「あーもーぅ!!そーいうのはまだ早いのぉっ!!」
そして桜先輩は勢いよく立ち上がり、俺の手を引く
「あ、ちょ、先輩!?」
「パパ、ママ!ちょっと出掛けるぅっ!!」
「…し、失礼しましたぁっ!?」
「あまり遅くなっちゃダメよぉ?」
そのまま部屋を出る。その出る間際、父親が俺に一言言葉を残していった
「…カオルをよろしく頼む、青年」
「…むぅ」
「…落ち着きました?」
俺たちは桜家を出て、近くの公園まで来ていた。二人でベンチに座っているが、桜先輩は頬を膨らませたまんまだ
「…何を言いたかったんすかね、お父さんにお母さん」
「…私は分かってるよぉ…あっちゅんは鈍いなぁ…」
「は?」
「まぁいいんだよぉ、分からなくて♪」
そして桜先輩は俺の肩に身体を預け…
「ち、ちょっと、先輩!?」
「なぁ~に?」
「な、なんで肩に…」
「いいじゃん~♪」
桜先輩は俺に寄りかかってくる。…え、何この状況
「…こんな姿見られたら、俺殺されるんじゃ…」
「大丈夫だよぉ♪パパもママもあっちゅんは認めてるからぁ♪」
「…はぁ、そうっすか…」
季節は秋だ、正直寒いからくっつかれてもいいんだが…
「…やっぱりあっちゅんは落ち着くねぇ♪」
「それはまた光栄な事で…」
「…私も、本当は決心出来てるんだよ…?」
「はい?」
「ふにゅ?なんでもないよ?」
今、なんか桜先輩言ってた気がするんだが…
「もう遅くなってきたし…帰ろっか?」
「そうっすね」
そして公園を出て、帰路につく
「じゃ、お疲れっす」
「…」
だがここで…意味深な一言を告げられた
「私、あっちゅんならいいからぁ♪」
「…は?」
「バイバイ~♪」
そして桜先輩が走り去る。…え?
そして足を帰路に向け、歩き出した時だった。…
急に車のブレーキ音が響き
何かにぶつかったような鈍い音が聞こえた
俺が、嫌な予感をして、振り替えると
「…!!?嘘…だろ…」
そこには
血を流して倒れる
「…あ…ぁ…あぁ…!!」
…さっきまで笑顔で、俺を包んでくれていた…
「桜先輩ーーーっ!!!」
桜先輩が
倒れていた