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STONE LIFE  作者: 緋絽
9/65

2人目 2

───── 宿 ──────

荷物を降ろして床に座る。

「外暑っちぃー」

「さすが火の街」

「…なぁジルコン気付いたか?」

「え?何を」

「この街…ほとんどが女だ」

「え...」

そういえばこの宿のオーナーは女性だった。

まぁ普通と言えば普通だが、この宿の通りには確かに女性が多かった。

うーんと唸る。

「ま、いいんじゃん?女性が多くて結構結構」

立ち上がって必要な物だけ持つ。

「この街には情報屋みたいなのいないのかな」

「訊いてみるか」

オーナーに尋ねると街の真ん中にある聖院に情報通の女の子がいるらしい。

また女性...。

「ありがとうございます。行ってみます」

トパーズと頭を下げてから歩き出した。

祭りの音楽から聞こえてくる歌声も女性のものだった。

よく見ると、ほとんど祭りに参加している者は女性だった。

「なんだこれ...」

「あの!!」

祭りの音にかき消されないように大声を張り上げる。

「誰か男性の方いらっしゃいませんか!!」

ピタッと音が止まる。

周りの人達も動かなくなって全員が俺達を見た。

「...?なんだ...?」

「男...」 「男よ...」 「連れて行かなくては...」 「男...」

「───え?」

ガシッと腕を掴まれる。

「っ?何をっ...」

「連れて行かないと...」 「早く...」

「離せっ」

トパーズも掴まれている。

魔力を使うわけにも…っ!!

上に乗っかられて足が崩れる。

「早く…しないと。」

ヒュッと木槌が飛んできた。

「殺される」

「!!」

結界をはって守る。

「悪いけどっ」

地面に手を置いて迷路のように道を作る。

壁を作るとその道の中には俺とトパーズだけになった。

「こっちだトパーズ!!」

道の中を走ると外で俺達を追いかけている音が聞こえた。

地味に背中が寒くなる。

「こっち曲がればいいのか!?」

「わからない!!」

右に曲がったところで道が急に途絶えた。

「え...」

「なんで...」

壁が崩れて後ろに街の女性が追いかけてきていた。

全員生気のない目をしている。

「とっとりあえず走れ!!」

「あぁ!!」

俺達が逃げ込んだところは小さな路地だった。

慌てて前に走る。

「ちょっと待て。声が聞こえる」

「え」

トパーズが俺を引き止めて言った。

耳を澄ますと前から女の声が聞こえた。

挟まれた───!!

「どうする?ジルコン!!」

「とりあえずどっかに逃げ込むしか...!!」

1本の横道を通り過ぎたところで誰かに腕を掴まれ引き込まれる。

「来い」

耳元で女の声がした。

「はっ離せっ」

「死にたくなければ付いて来い」

トパーズが俺の顔を見ると口を結んだ。

───行こう。

走り出した女の後を付いて行く。

女だけどかなり足が速い。

身軽なんだろうと思った。

しばらく走ると風見鶏が屋根に乗っている建物が見えてきた。

息苦しさか心臓が痛くなってきた。

胸を掴むような仕草をする。

女がその建物の中に駆け込んだ。

俺達も中に入ろうとする。

───足が止まった。

「ジルコン?」

縛られていく。物凄い力で。

「なんでもない」

無理矢理足を動かして中に入る。

中の広間に聖母マリアの像があった。

「ここ…は…?」

「聖院だ」

柱の影からさっきの女が出てきた。

短く切りそろわれた髪と静かで落ち着いた目をした女の子だった。

「~~っ」

苦しい。叫びだしそうだ。

「お前ら外から来たんだろう。何も、この街について知らないのか」

「そうなんだ」

トパーズが頷く。

痛い。痛い。

「この街は───」

女の子が話しかけたとき、とうとう膝をついてしまった。

「ジルコン?…!!」

「なんだ、ばてたのか?」

トパーズの袖を掴む。

「しっかりしろ!!ジルコン!!」

女の子の顔が急変して寄ってきた。

───そこで意識が途絶えた。

よろしくお願いします!

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