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STONE LIFE  作者: 緋絽
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1人目 4

サファイヤは俺の剣を結界で易々と受け止めている。

ドサッと倒れた。

後ろで血の付いたガラス片が浮いている。

「馬鹿が」

サファイヤがガラス片についた俺の血を指で触ってしげしげと眺めた。

「僕に傷をつけるなんてできるわけがないだろう」

背が熱い。息が出来ない。

「まぁいい。第2ステージクリア。さぁ第3ステージ」

ガラス片が溶けて俺の身体に網状に絡みついた。

体が持ち上がってサファイヤと向き合うようになる。

「頑張って避けマショウ♪」

鋭く尖ったガラス片が体の中心目掛けて飛んできた。

腕を動かそうともがいても腕が張り付いて動かない。

「~~っ」

目を閉じた。

しばらくして目を開けるとトパーズがガラス片を俺の剣を盾に変えて受け止めていた。

「トパ...ズ...」

「ごめん」

荒い息をして汗を流す。

「情報屋を安全な場所に移してたんだ。途中で医者を見つけたからかわってもらって...っ」

「そ...か...」

姿が見えないからどこに行ったのかと...。

トパーズがガラス片を押し返して盾を剣に戻した。

「本当は今すぐジルコンを助けたいけど...っそれは無理そうだ...っ」

ダッとサファイヤに向かって走っていった。

「トパーズ!!」

バァンと爆音がして炎が上がった。

ところかしこからトパーズの魔力が感じ取れる。

それがすぐ消えた。

え...。なんで!?

サファイヤを見ると左手を動かしていた。

そうか...!!自分の時はわからなかったけど...!!

あいつ人の魔力を使って戦ってたんだ!!

魔力は自分の身体を支える(もと)だ。

それが吸収されてるんだから疲れないわけがない。

あいつは人の魔力を使うことで、自分の魔力を最小限に抑えていた。

てことは...本人の魔力は凡人とさほど変わらない。

そこにダイヤモンドの力が加わっただけ。

ただ、他人の魔力をあそこまで操れるのは“天才”だから為せる技だな。

トパーズが剣を弓に変えて応戦している。

ほとんどぎりぎりの状態だ。

サファイヤを見ると僅かに怪我をしていた。

トパーズが弓を双剣に変えて斬りかかる。

その手があったか!!

そうすれば攻撃もできるし、後ろからくるガラス片にも対応できる。

そうか~そうすれば後ろから斬りつけられることはなかったん

だ。

...俺は一度もトパーズに武術で勝ったことはないからな。

頭がいいんだろうな、トパーズは。

ズキンと腹が痛んだ。

「って...のんきにこんなこと考えてる暇は...」

ヒュッとガラス片がばらばらになって幾つも俺の周りに集まった。

「!!」

「何するんだ!!」

「こいつは人質だ。あいつと違ってお前は正面きってかかってこないからな。そろそろ面倒くさい」

「な...っ」

「来い、ガキ。剣を捨てて俺の傍に来い」

「~~っ!!」

ガシャンと剣を置いてサファイヤの許へ歩き出す。

「やめろ!!トパーズ!!行くな!!」

動こうともがいて体に力が入らないことに気付いた。

しまった!!ガラス片を伝って魔力を吸われてる...!!

何か、何かないか。

これを外せる何か───!!

ドゴォ!!とトパーズが吹っ飛んだ。

「!!」

「が...っ」

頭から血を流して倒れた。

サファイヤはトパーズを何度も魔法でいたぶっている。

意識はあるみたいだがそれもいつまで耐えられるか...。

サファイヤは無表情でトパーズに魔法を浴びせ続けた。

「...めてくれ...」

死んでしまう。トパーズが死んでしまう。

「やめてくれ!!俺が...っ俺が代わりになるから!!そいつはもともと関係ないんだ!!俺だけなんだよ!!」

「無駄だ。僕はこいつに痛めつけられたからね」

手の平についた小さな傷跡を見て言った。

「許さないよ、ガキ」

「やめ...!!」

喉許にガラス片が集まった。

「............っ」

「騒ぐな、うるさいぞ」

......なんで...俺は捕まってる...。

トパーズをこんな目に合わせてまで、どうして動けない。

ドクンと心臓が鳴る。

体の中で何かが膨れ上がっている。

はやく早くトパーズを早くしないとあいつが死んでしまう。

腕に力を入れる。

ガラス片でできた網はビクともしない。

「............っ」

サファイヤがトパーズの使っていた剣を持ち上げてトパーズに

向けた。

「やめろ!!」

ドクンと心臓が鳴った。

何かが破裂する。

やめろ。トパーズに手を出すな。

サファイヤが剣を振り上げた。

やめろ!!

パンと体の中で何かが弾けた。

サファイヤの動きが止まっている。

ガラス片の網がドロドロに溶け落ちていた。

「やめろ。サファイヤ」

手の平をサファイヤに向けている。

そこから魔力を固めてサファイヤの動きを止めたのだ。

「何故お前...っ魔力はほとんど吸収したはず...っ」

「さぁ」

くいと指を曲げてトパーズを引き寄せる。

肩で固まっていたガラス片が溶け落ちた。

サファイヤの目を見る。

「才能って奴だろう」

「な...っ」

トパーズに結界をはった。

蝋燭の火が俺の周りに集まる。

「お前…ダイヤモンドはどうした...」

「そんなもの、つけなくたって...」

「つけろ、死ぬぞ」

「何?」

サファイヤの目が細くなった。

炎が音を立てて上がる。

「つけないなら俺がつけさせる」

サファイヤの身体に魔法をかけて無理矢理動かす。

サファイヤの記憶を読んでその場所でダイヤモンドを出した。

「やめろ...っ」

サファイヤは魔法を解こうともがいたが、何故か魔力は俺に勝ることはなかった。

「俺は今からダイヤモンドをお前から取る。今日、お前はDマスターの座を失う」

「何を...っ」

火を爆発させた。

サファイヤは結界をはって俺の魔力で耐えている。

「俺の魔力を使っても意味がないぞ」

「!?」

「俺はそれを超えてやる」

何度も爆発させると結界にひびが入った。

「~~っ」

ヒュッと後ろから何か飛んできた。

結界をはってはねよける。

「意味がないと言ったはずだぞ」

バラバラに粉砕された石を見て言った。

「くそ・・・っ」

結界を解いて俺に斬りかかってきた。

避けてサファイヤの腹に手をあてて魔法をぶち込む。

「が...っ」

ドサッと倒れた。

歯軋りをしながら再び立ち上がって斬りかかってくる。

「お前もサファイヤと同じ目にあってもらおう」

手で円を数回書くと竜巻が起こった。

それをサファイヤに飛ばす。

避ける間もなく巻き込まれていった。

数分経つと竜巻は消えてボロボロになったサファイヤが倒れていた。

その少し離れたところにダイヤモンドが落ちている。

「なぜ...僕...が...こんな...」

床に魔法をかけてサファイヤを縛り上げた。

床から出た手枷と足枷を壊そうともがいている。

「無理だ。お前の魔力は吸われている」

サファイヤがダイヤモンドを取ろうと手を伸ばす。

ギリギリのところで届かない。

ダイヤモンドを拾って上に投げた。

「~~っ何故だ!!何故僕が!!最高の地位と最強の石を手に入れた僕が!!天才の僕が!!」

落ちてきた石を掴む。

「天才は脆い。───それ以上の者が現れた時、儚く崩れ去る」

「~~っ」

「予告通り、ダイヤモンドは貰ったぞ」

サファイヤはしばらく口惜しそうに目を瞑っていた。


───── 後日 ─────

「2人共!!」

「お」

「情報屋!!もういいのか?」

「あぁ、お前らこそ、よくあの怪我で、こんなに早く回復するなんて凄すぎだ」

「あぁ、俺達の回復力は化け物並だからな」

「ところで...Dマスター倒したのって2人なんだろ?」

トパーズに苦笑いしながら見られる。

「そんなつもり、初めはなかったんだけどなぁ...」

「凄いな、本当に」

「まぁ才能ってやつだろう!!」

ハハハハハと冗談で言うと情報屋も同じように笑った。

「結局サファイヤは警察に引き渡したのか?」

「あぁ。あいつのことだから逃げようとするだろうと思ってこいつ(・・・)を使って」

ダイヤモンドをチラつかせる。

「ちょっと大人しくなる魔法をかけてきた」

「へぇ」

「ところで、やっぱり名は教えてもらえないのか?」

「あぁ…そうだな」

情報屋が空を仰いだ。

俺達も空を仰ぐ。

「いつか教えてやるよ」

俺は情報屋を見て笑った。

「楽しみに待ってる」


───── 壁前 ─────

「この街、誰がこれから治めるんだろうな」

「あーそれならな」

馬車の外で見送りをしている情報屋の首でダイヤモンドが光った。

「街のことはあいつが誰よりも知ってる。適任だろう」

「確かに」

「ただ1つ不安なのが新任式をどうするかだな」

「あぁ。…俺達で新しいDマスターを結成させるか」

「いいな、それ!!よし決まり!!情報屋のことは黙っとけばなんとかなるだろ!!」

ガタンとドアを開ける。

「情報屋!!その首のやつ!!秘密だからな!!」

ニッと情報屋が笑った。

「心得た!!」

ドアを閉めて座りなおす。

「ファイヤーストーンウォールズまで」

「はい」

馬車が動きだした。

よろしくお願いします!

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