番外編 優しさと強さは一重に 3
────それから私達はジルコンの家で暮らすようになった。
自分の家にも帰っていたがジルコンの傍にいることの方がとてもとても大事だった。
時々、トパーズは何かを考えこむようになり、ターコイズさんと何かを相談していた。
そのころジルコンは以前よりは笑うようになり、夜、ターコイズさんにしがみついて泣くことも少なくなくなった。
ホッとして久々に家に帰った。
「ロードー聞いてーあのねー」
家に入ると真っ先に駆けつけてくるはずのロードがいなかった。
「ロードー?」
ダイニングに行くとお母さんが椅子に座って頬杖をついていた。鼻を啜ってこちらを向く。
「…お母さん。どうしたの?」
「ルビー…」
「ロードは?」
そう訊くと悲しそうに目を伏せて庭を指差した。
そこを見ると小さく土の積もった山に花が一輪供えられていた。
「……え…?」
「ロードね…」
ゆっくりお母さんが口を開いて言葉を紡いでいく。
「……死んじゃったの……」
気付けば家を飛び出していた。
『おじいちゃんだったから…寿命がきたのよ』
ジルコンの家に着いて中に飛び込む。
「ルビー」
ジルコンが気付いて顔を上げた。
「ジル…ッコン…ッ」
顔を見た瞬間に涙が出てきた。
「ルビー?」
「ロードが死んじゃったぁ~~~っ!!」
喉から嗚咽が突き上げる。
「え…」
その場にしゃがみこんで泣きじゃくる。
「い…っ家に帰ったら…っ、もうっ、死んでて…っ!!」
「……ロードが?」
呆然とした顔でジルコンが椅子から立ち上がった。
今思えば私は少し考えが足りなかったかもしれない。死んだことをもう少し後で言うべきだったかもと今でも思う。死に何度も遭遇するのは嫌だと思うから。
それでも私はどうしても悲しくて、ジルコンのように毎日泣かないでいる強さを持っていなかった。
「しっ死んでて…っ!!」
「…そっか…」
ジルコンが傍にしゃがみこんで私の背を落ち着かせるように叩いた。
「なんで…っ!?こっ、この間まではあ、あんなに元気で…っ」
「うん…」
「わ、私の服引っ張って…っ力、強くて…っ」
「そうだね…」
あやすように背を叩く。
「……うぅ~~っ」
ジルコンにしがみつくと肩に手を回して叩いてくれた。
「ロード…ッ」
「ルビー泣かないで」
「ロ、ロード…ッ!!」
「ルビー、元気出して。悲しいけど…」
「だって…ジルコン…ッ」
「───ついておいで」
私の手を掴むと外に連れ出した。
よろしくお願いしますm(_ _)m