Final life 6
「っ!?」
後ろから剣が出てきて喉元にあてられた。
剣をひかれる寸前に後ろに頭突きをして逃げる。
背中を切られて焼けたような痛みが走った。
よろめくと剣の先が飛んできているのが見えた。
しま…っ!!
剣に石があたって弾き飛ぶ。
「ジルコン!!」
トパーズが傍に駆け寄ってきて俺の腕を掴んだ。
「トパーズ」
「…ジルコン…1つ提案が…」
「何?」
「…俺にダイヤモンドを渡してくれ…」
「え?」
「父さんはダイヤモンドを持ってるお前を執拗に狙ってる。ダイヤモンドを取り返すために。…俺に渡してくれれば、お前は少なくとも殺されはしないだろ」
「…トパーズ…」
「なっ」
トパーズが手を出した。ポケットの中の石を握る。
向こうでガーネットがこっちを見ていた。
「…………」
「ジルコン早…」
トパーズの手を払う。
「誰が渡すか」
「…え?」
「ふざけんなよお前───」
トパーズから間をとる。
「ガーネットだろ」
「………違うよ」
「違わねぇな。トパーズは俺を助けようとはしない」
向こうから歩いてガーネットが近付いてきた。
風を起こしてトパーズに飛ばすと血が吹き出した。
空気が歪んでトパーズの顔がガーネットに戻る。
隣にトパーズが立った。
「共に戦おうとはするけどな」
トパーズがガーネットに氷の矢を撃った。
ガーネットが払う。
「共闘?バカバカしい」
ドンと音がして隣を見る。
トパーズが吹き飛ばされていた。
「ト…!!」
首に蔓が巻きついてきて引き上げられる。
「ぐ……っ」
息ができない!!急いで風を起こして切ると光が降ってきた。
体中にくらって皮膚から血が流れた。
思わず倒れると背中を強く踏まれた。
「いぁ……!!」
背中の傷をわざと抉るように───。
怒りで体中の血が熱くなる。
こいつ、どこまでも最低な奴だ。
「あの石は」
ガーネットが足を動かして俺の背を踏みにじった。
「!!」
「私が持つに相応しい」
歯軋りをする。
ふざけるな。市民を守れないお前がこの石を持つのに相応しいだと?
ガーネットが俺の背を踏んだまま俺の傍に屈んでポケットに手を伸ばした。
ふざけるな。
体の中で何か弾けた音がした。
体を捻るとガーネットが体勢を崩して仰向けに倒れた。
その上にまたがって氷の矢を飛ばす。
ガーネットの肩に刺さる。
鮮やかな赤が吹いた。
ガーネットが俺に風を飛ばすと俺はそれを避けて光の棘を出した。
あっという間にガーネットは血塗れになった。
「いい眺めだぜガーネット。ざまぁねぇな」
「…………っ」
後ろから蔓が伸びてきていた。
トパーズがそれを燃やす。
水を最速で飛ばすとガーネットがバリアをはった。
舌打ちをする───と後ろから再び背を切られた。
「っ!!」
「忘れたのか?私はお前の視覚を操れるんだよ」
「あっそう」
土で剣を作る。
「じゃあ視覚なんていらない」
目を閉じた。
ゆらりと気配が揺れる。
それに合わせて剣を振った。
かすかな手応えを感じる。
かすったか。
火花を飛ばす。バチッと音がして目を開けるとガーネットが火花を弾いていた。
───不思議な気分だ。
フワフワと浮いているような、体が軽くて飛んでいるような、
そんな感じだ。
疲れてんのかな、俺。
服が血で重い。
早く終わらないかな。───いや…。
再び目を閉じる。
早く終わらせよう。
よろしくお願いします!