1人目 2
───── 礼拝堂 ──────
「............」
今俺達は礼拝堂の影から情報屋を監視している。
「...なぁ、もしあいつがDマスターなら、もう俺達のこと知ってるよな」
「だろうな。でも何もしてこない」
「考えすぎだったか───?」
「いや、でも───」
『君達がキャッツ・アイを捕まえたんでしょう?』
『あ、はい』
『僕、あの場にいたから2人のことを見てたんです。彼と一緒に出てきたから、まさか子供に酷いことをさせていたんじゃないだろうなって、酷く腹が立ったよ』
『あはは』
『ほんとに...すごいな君達は...』
『え?』
『その若さで...仮にもあの男はクリスタルを勝ち取った男です。それを倒してしまったんだからすごい』
『いや~それほどでも...』
『あまりの無謀さに、言葉も出なかった』
『え...』
『もし彼が...本当にDマスターだったらどうするつもりだったんだ。今のDマスターなら、絶対に君達を殺しますよ』
『違うってことを...確信して行きましたから...』
『...あの方に会うんですか』
『わかりません』
『一度あの方は...自分の身の周りを探っていた者を、殺したことがある。...気をつけて...』
「...って言ってたからな。嘘とは思えない」
トパーズが溜息をつきながら言った。
「だけど...あいつ本当にDマスターかな」
「なんで?」
「魔力の大きさが...」
「...ダイヤモンドなら、隠すのもわけない」
「そうか。そうだな」
バチッと情報屋と目が合う。
「あ」 「え」
そのまま情報屋は何も言わずに目を逸らし、歩き出した。
あれ?目が合ったと思ったのに。
「おい!!」
トパーズに呼ばれて我に返る。
「追うぞ!!」
「あ、あぁ」
小走りで追いかけた。
情報屋はたまに立ち止まって後ろを振り返る。
そのたんびに俺達は慌てて木の後ろや建物の陰に隠れた。
「なぁ、この道...」
トパーズがボソッと囁いてきた。
「え?」
「...キャッツの家に...」
「あ...」
本当だ。キャッツの家に向かってる。なんで?
しばらく歩いて情報屋は最後に後ろを振り返るとキャッツの家を通り過ぎ、その隣の家へ入っていった。
「このでかい家が情報屋の家...?」
「あいつ礼拝堂で稼ぐ必要ねぇじゃん」
「...身分を隠すためか...?」
「...かもな...」
「どうする、今は1人だろ。聞くなら今だ」
「そうだな...」
ドアに近づいてベルを鳴らそうとする。
バン!!と大きな音をたてて隣の窓に血だらけの男がぶつかった。
「───!!」
「情報屋!!」
ぶつかったのは情報屋だった。
ピシッと窓にひびが入って割れる。
「情報屋!!おい!!」
なんで!?こいつがDマスターなら、狙う奴は...。
次のDマスターの位を狙っているやつか!?
ベランダに飛び乗って窓を完全に割る。
慌てて中に入って結界をはった。
「しっかりしろ!!おい!!」
「...げろ...」
「何!?何だよ!!」
「逃げろ...早...く...」
頭から血を流して情報屋が途切れ途切れに言った。
よろしくお願いします!