Final life 2
───── 翌日 ─────
今朝鏡を見ると胸の数字は“Ⅴ”になっていた。
あと5日…。
決して、止まってくれないんだな。
下へ降りるとルビーとじいさんが顔をあげた。
「ご飯持っていくのに」
「久々に下で食べようと思ってさ」
「…そっか」
椅子に座るとじいさんに足を蹴られた。
「イテッ」
「馬鹿ジルが!!なんでさっさと逃げんのじゃ!!」
「しょーがねーだろ逃げらんなかったんだから!!」
「ほんとに…なんでお前がこんなことに…」
じいさんの声が震えて涙が落ちた。
「いかんな年をとると涙脆く…」
「じじいの涙なんか見たくねぇわ」
「何っお前…っ」
「笑っとけよ」
「ジル…」
「第一気っ色悪い」
言ったわねー!!とじいさんが叫んだ。
「いいじゃない。自分のために流してくれたんだから、綺麗よ」
「…俺はぎりぎりまで我慢して零れちゃった涙の方が綺麗だと思う」
ルビーの顔が赤くなって、少し経つとルビーの目に涙が溜まった。
「…やめてよ…なんで急に…そんなこと言うの…?」
「俺はいつも言ってるだろ」
「言わないよ。なんか優しくて怖い…」
「優しいから怖いって言われちゃどうしようもねーじゃん」
「だって…」
カンと窓に石が当たったような音が鳴った。
「なんだ?」
カーテンを開く。
───俺はその瞬間にすべてを理解した。
トパーズとあの男が立っていた。
「…ジルコン」
ルビーが俺の腕を掴む。
ルビーの手をとって腕から離す。
「行ってくるよルビー」
「待って…」
手の甲にキスをする。
「この戦いをお前に捧げよう」
「ジルコン…」
「好きだよ、ルビー」
「な、なんで今言うの…?す、すべて終わってから言うって…言ったじゃない…っ」
「今ね、言いたかったんだ」
ドアに向かう。
「ジルコン!!」
外に出ると太陽の光が眩しかった。
そうか。冬がもうすぐ終わるんだ。
新緑が芽生え、鳥が囀り、花が咲く季節がくる。
胸が鳴った。
生きたい。新たな季節を再び3人で生きたい。
「ジルコン」
トパーズが俺に声をかけた。
「…トパーズ。隣の方は?」
「これはこれは失礼しましたジルコン・カーヴィン殿。おやますます父親に似てきましたね」
「…そりゃどうも」
「私の名はガーネット・カルサイト」
カルサイト…!?
「俺の父さんだ」
「え…?う…嘘だろ…?」
「嘘じゃないよ」
「騙されてるんじゃねーの?それとも脅されてんのか?」
「そうじゃない。本当なんだ、ジルコン」
「…そんな…」
そんなことって。
「私の可愛い息子のね、望みを叶えてやりたいんだ」
ガーネットが一歩進みだして言った。
「…あんたは黙ってろよ…」
強く拳を握る。
「トパーズ…一緒に仇をとるって…とってくれるって…言ったよな…?」
「うん。…ゴメン」
少し俯いていたトパーズが顔をあげた。
「でも…父さん、なんだ」
───あぁそうか。そうだよな。
自分と血の繋がっている人に手をあげることはできないよな。
「…………そっか…」
でもごめん。お前の親父でも、それでも俺は仇をとらずにはいられない。
「…お前の望みって何?」
躊躇うようにトパーズが口を閉じた。
何か迷っているような感じだ。
「言いなさい」
ビクッとトパーズの体が跳ねた。
ガーネットがトパーズに低い声で言った。
「言うんだ」
「…はい…」
え?何だこれ…親子の会話か?
まるで───まるでDマスターに操られた市民のようだ。
「俺の願いはルビーが俺の許へ来ることです。すべてが俺のものだとルビーが俺に言うことです」
「そうだよ。それで正しいんだ」
ガーネットが俺を見る。
「親友の願いを叶えてやりたいと思わないか?」
「…………」
「息子の願いを叶えるにはね」
トパーズの手に魔力が集まる。
「!!」
「まずはお前が消えないといけないんだ」
よろしくお願いします!