Final life 1
あれから丸々3日経ってもトパーズはこの家に来なかった。
トパーズの母親に聞いても、家には帰ってきてないらしい。
「どこに行ったんだろう…」
ルビーが俺の隣に座って言った。
体を起こす。
「まずいな…」
「え?」
「…嫌な予感がする」
「…へっ変なこと言わないでよ!!怖くなるじゃない…」
もし、あいつに捕らえられてるとか、もしくは───。
身震いをする。
ズキッと心臓が痛んだ。
「…………っ」
カウントダウンが始まってから時々痛むようになった。
「ジルコン、痛む?」
ルビーが背中をさする。
あれから刻印は“ⅠⅩ”から1日経つごとに1つずつ減っていき、今日は“ⅤⅠ”になっていた。
あと6日…。
「…ジルコン…」
ルビーが俺の手を握る。
「…ん…?」
「…大丈夫だよね…。誰も…いなくなったりしないよね…」
「…………」
賛同も否定もできない。
諦めたわけではない。
こんなことで簡単に諦められるほどこの願いは軽いものではないのだ。
けれど、怖じている。
今、トパーズが傍にいないことで、あの誓いをたった1人で背負っているのだと
その重さに怖じている。
この半分をトパーズは笑って背負ってくれていた。
感謝しないとな。
だからトパーズに何も起こってないといい。
「…どうかな…」
ルビーにもたれるとルビーも頭をもたれかけてきた。
「…離れたくないよ…。私達を残してどこかに行っちゃったりしないでね…ジルコン…」
「うん。きっと約束する。俺だって…離れたくない」
「絶対だよ」
「…………うん」
「よし」
パッとルビーが離れてこっちを向いて笑った。
泣くのを我慢しているのかクシャリとした笑みだ。
「じゃあご飯準備してくるね」
「あぁ」
「───…」
ドアの外から堪えきれずに洩れた嗚咽が聞こえた。
「ごめん、な」
ポツリと小さく呟いた。
───── トパーズ ─────
「おいでトパーズ」
父さんに呼ばれ傍に行く。
「お前にこれをあげよう」
父さんが俺の手に何かを握らせた。手を開いて中を見るとダイヤモンドが入っていた。
「これ…」
「お前の夢を叶えるために必要なものだよ」
「…夢…」
「いいか。彼女を自分のものにするにはこれで命令するのが早い。しかし本当の心が欲しいんだろう?」
頷く。
機械的に愛されても、嬉しくない。俺はルビー自身の心が欲しい。
「それなら一番の障害を消すしかない」
「…障害…」
「これを使ってジルコン・カーヴィンを消しなさい」
もう一度頷いた。
───わからなくなっていた。
何が正しいことで、何が間違ったことなのか。
信じられるのは父さんだけだった。
ジルコンを殺せと父さんが言うのなら、それは正しいことなのだろう。
「トパーズ、いいね。自分が幸せになるために仕方のないことなんだよ」
「正しい…こと…なんだな…」
クスリと父さんが笑って口元が歪んだ。
「そうだな」
「…わかった」
「じゃあ今日はお前に私があいつの両親を殺したわけを話さないとな───」
よろしくお願いします!