運命の導く先は 2
───── トパーズ ─────
「お前…!!」
くそ。顔が見えない。
ジルコンが言っていた“顔が見えなかった”ってこういうことか。
視界からジルコンが消えた。
「え?」
下を覗き込むとジルコンが落ちていた。
「ジルコン!!」
くそ…なんで…っ
「蔓を伸ばせ!!ジルコン!!」
ジルコンに動く気配がない。目を閉じている。
「…………っ」
男の顔を睨む。
男が笑ったような気がした。
歯軋りをして崖に飛び込んだ。
駄目だ間に合わない!!
足元で風を起こす。
なんとかジルコンに追いついてジルコンを引き寄せた。
「うぉぉぉお」
足元で空気を固めようと試みたが風力でできない。
「くそ…っ」
ジルコンの頭を抱くようにして強く目を閉じた。
「やれやれ…、お前を死なせるわけにはいかないんだよ」
落下地点に魔力が落ちた。
「!!」
その上に落ちた。
土がやわらかくなってスポンジ状になっていたから怪我はない。
どういうことだ…。
上を見上げる。
男が俺達を助けたのか…?
何の為に。
唇を噛む。
我に返ってジルコンを見た。
「おい、ジルコン!!」
頬を叩いても反応はない。
首に触れるとまだ温かみはあった。
胸に耳をあてる。
まだ音が鳴っている。てことはまだ死んでない。
怪我しているところは…。
服をめくる。
「───え…」
思わず息を飲んだ。
服を戻して担ぎ上げる。
崖に魔力を流して階段を作った。
一段ずつ俺は階段を登った。
───── ターコイズの家 ─────
馬車から降りるとすぐ前に師匠の家があった。
ジルコンを担ぎ直して戸を叩く。
「ハーイハイ…お?」
「師匠お久しぶりです」
「おー!!トパーズ!!お前帰るなんて連絡は…」
「中に入れてください。ジルコンが…」
師匠がジルコンを見た。
「ジ……ッジル!!どうした…」
「ルビーも呼んでください、早く」
「わ、わかった」
師匠が走っていった。
2階へあがってジルコンの部屋へ行く。
ベッドに寝かせた。
少し経つとルビーと師匠が中に入ってきた。
「け…っ怪我は…!?」
首を振る。
安堵の溜息をついてルビーがジルコンに触れた。
「…うん呼吸はしてるし落ち着いてる…」
ルビーが服をめくった。
「───…」
絶句したように傍にあった椅子に躓きながら座った。
「これは…」
刻印に蔦が何本もかかって棘だらけになっている。
“D”の文字が読めなくなりそうだ。
その隣に“X”と刻んであった。
「なんの…カウントダウンなの…?」
「…わからない…」
誰も頭の隅に浮かんだ答えを言おうとしなかった。
ルビーが立ち上がって部屋を出て行った。
ジルコンに近づいてほぼ無意識で刻印に触れようと手を伸ばした。
チリッと指先に痛みが走る。
「っ!!」
次の瞬間にジルコンを守るように火花が散った。
「え?」
驚いて一歩下がると火花が静まった。
守ろうとしてるのか?ジルコンを。
───魔力が───。
ルビーがタオルを持ってジルコンに近づいた。
「あ…ルビー」
ルビーがジルコンの顔をタオルで拭いた。
───え…。
そのままジルコンの体を拭く。
刻印に手が触れても何も起きなかった。
師匠も手を伸ばしてジルコンの頭を撫でる。
刻印に触れても何も起きない。
強く拳を握った。
どうして、俺だけ。
まだチリチリと痺れる指を見る。
この痛みは拒否だった。
俺がジルコンに触れることを拒んだ痛みだ。
俺がジルコンの命を脅かす者のように。
ルビーの背が震えているのが見えた。
不意に黒い感情がこみ上げてきた。
どうして俺がジルコンに拒否されなきゃいけないんだ。
どうしてルビーは俺じゃなくジルコンのために涙を流すんだ。
突然のことに戸惑って口を押さえて部屋を出た。
よろしくお願いします!




