4人目 始まりの核へと 8
───── 後日 ─────
あれから俺は外へ出るために戸に手をかけた。
いつかと同じ魔力を感じて手を引っ込める。
体が震えた。
いたんだ。ここに。
───本当に俺を殺すつもりで───。
悲鳴をなんとか堪えて上へ上がった。
病院へ行くと俺は怪我が熱を持ち、高熱にうなされる夜を3日ほど過ごした。
トパーズは本当に大量に魔力を吸われたみたいでしばらく目を覚まさなかった。
ある意味俺より危なかったと言える。
どこからか情報を聞きつけてラブラが病院へ来た。
「まさか向こうがお前らを待ってたとはな」
「ハハ…。本当だよ。超命がけ」
「いやいやよくやった。2人共褒めてつかわす」
「…全然嬉しくないんだけど」
トパーズが俺のベッドに腰掛けて言った。
「いや、感謝してるぜ。おかげで動物の被害がなくなるだろう」
「なぁ1つ聞きたいんだけどさ」
「何だ?」
「今回の動物の事件って以来されてたの?」
「いや。誰も野生動物なんて気にしないさ。でも同じ命だからな、守らないと」
「ふーん」
そっか。いい奴なんだな。
「ラブラさん」
俺が声をかけると本当は禁止なのに煙草を吸っているラブラが目をこちらに向けた。
「これ…持っていてくれませんか?」
「は?」
「あなたなら、きっとこの街の人々を幸せにしてくれると思うんです」
「お前何言って…。あぁ」
ハハッとラブラが笑った。
「お前今までもこうやってDマスター候補に渡していたわけか!!」
「はい」
「いいよ。やってやる。お前らには借りがあるしな。まぁ随分おつりがくるが」
「ありがとうございます!!」
それから穏やかに日常は流れた。表面上は───。
傷が癒えると俺は恐怖に眠れない夜が続いた。
そんなある夜、トパーズがベッドに潜り込んできて言った。
「大丈夫だ。すべてうまくいく。恐れる必要なんてねーよ。俺が傍にいるから」
「…トパーズ…」
幼い子を落ち着かせるようにトパーズが俺の背を撫でた。
それが怖いんだよ。
もしかしたら巻き込んで、お前を永遠に失うかもしれない。
「───…」
「絶対、死んだりしないよ」
フッと心が落ち着いてウトウトする。
「ゆっくり休めよ」
トパーズが苦笑した気がした。
「じゃあなラブラ」
「あぁ」
「…それ秘密ですよ」
「何度も言うな。わかってるから」
ハハッと笑って馬車に乗り込む。
「───セントラルストーンウォールズまで」
馬車が動き始める。
その後ろを別の馬車がついてきていた───。
よろしくお願いします!