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STONE LIFE  作者: 緋絽
40/65

4人目 始まりの核へと 4

───── 宿 ─────

部屋に入ってくつろいでいるとドアをノックする音が聞こえた。

「はい…」

ドアを開けると満面の笑顔でラブラが立っていた。

「?どうしました?」

勤務時間が終わったのか制服を脱いで私服を着ている。

「失礼します」

「あっちょっ…勝手に…!!」

「これから俺は夜の仕事に入る。よってこの部屋に入る権限がある」

「は…?」

ドアを閉めるとラブラが煙草に火をつけた。

「…あなたの本職とやらか」

「その通り」

ラブラが煙を吐いて笑った。

「ジルコン、トパーズ」

ビクッと反応する。

なんで俺達の名前を───。

少しずつ後ずさる。

「それがお前らの名だろう?甘かったな名を変えたならちゃんとその役になりきらなくちゃ、いつまでも大根役者のままだ」

「…生憎、役者になるつもりはないんでね」

「ふーん?まぁかまわない。お前らが国から追われてることは

わかったし、俺は必要な情報を知るだけだ」

「は?」

言っていることの意味がつながっていない。

「俺はお前らを国に売るつもりはないから安心してくれ。俺は国を信じちゃいないんだ」

「…………」

「そうだ、取引しようか。俺はお前らを匿ってやるし知りたい情報も教えてやる。だからお前は俺にも情報を流せ」

「…どんな」

「セントラルやアクアやとにかくなんでもだ」

「お前の欲しいものはないかもしれないぞ」

「それはいつかのための知恵となるから問題ない」

フ…と溜息をついた。

ようやく体から力が抜けた。

とにかく今は、ラブラは敵になるつもりはないらしい。

それがわかってホッとした。

「溜息をつくな」

「え?」

「溜息は弱みだ。溜息をついたぶんだけ弱くなる」

「…………」

「言ってることの意味がわかるか?溜息は敵に付け込まれるってことだよ」

「あ、あぁ…」

トパーズと顔を見合わせる。

一体どういうことだ?

急にこんなアドバイスをくれるなんて。

「で?交渉成立?破談?」

「…成立…」

ニヤリとラブラが笑う。

「そうこなくちゃな」

ラブラが煙草の煙を吐いた。

「…じゃあ1つ目の質問」

トパーズが一歩ラブラに近付いた。

「あなたは何者?」

ラブラがソファに座って足を組んだ。

トパーズとラブラはお互いに目を逸らさなかった。

思わず拳を握る。

───最近トパーズはどこか強くなった。

何かを捨てて羽を広げたみたいだ。

枷が外れたようにただ目の前の道をゆっくり、真っ直ぐ進み始めた。

どこか決意を含んで───。

「あぁ自己紹介がまだだったな。俺はラブラ」

唇の端があがる。

「探偵だ」

───翌日宿で制服を着ているラブラが部屋にやってきた。

「あ…ラブラさん。昨日の晩のことなんですけど───」

「おはようございますお客様。昨晩?何かございましたか?」

「は?」

「うちの者が何かご無礼を?」

「い、いえ…」

「そうですか。お食事の準備、できてますよ」

「…わかりました」

トパーズを見るとフンと鼻を鳴らした。

「あくまで今は“宿で働いているラブラ”なんだな」

にっこりとラブラが笑う。

ラブラを通り過ぎる時、かすかに昨日の煙草の匂いがした。

よろしくお願いします!

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