3人目 15
───── その後 ─────
トパーズは集中医療室に運ばれ一カ月はアクアから動けなかった。
病室には毎日ラリマー達が来て騒いでいた。
「ヘリオドール、いつ元気になるんだ?」
アゲートがベッドにのっかって言った。
「あと少しじゃね?」
「ふーん」
ラリマー以外のロストペアレントもあの時一緒に氷漬けにされて隠れ家の中に閉じ込められていたらしい。ラリマーと同じくらい時に溶けたとか。
「そう言えばさ、トパーズ」
「ん?」
ラリマーがジャスパー達を追い払うと俺は椅子に座って前屈みになった。
「なんであの時アンバーがあそこにいたんだ?たしか戦ってたのって『俺』だったろ?」
「あぁ…多分、作った時は本当に氷だったんだ。だけど戦う直前に爆発が起きて…その時に入れ替わったんだと思う。さすがに氷は喋ったりできないだろ?」
「…そっか…。それに気付いたから殺せたのか?」
「外見はな」
「…俺全然気付かなかった…」
「いいんじゃない。見た目は生身の人間と変わらないんだし」
俺には才能があるとトパーズに言ってみせた。
けど、多分、トパーズにも大きな才能があると思う。
結局アンバーも俺の捜しているDマスターじゃなかった。
なぜなら俺を呪いで殺さなかったのではなく、殺せなかったんだ。
───── 出発の日 ─────
「うぅ…腹の傷跡が疼くぜ…」
「文句言うなよ、早く退院させてほしいって言ったのはお前だろ」
「…で…今回は誰にダイヤモンド渡したんだ?」
トパーズが声を潜めて言った。
ラリマーを指さす。
耳でダイヤモンドが光っていた。
「あいつ滝を逆流させられるんだよ。3つ同時に」
「え!?すごいな」
「だろ?力量的には申し分ない、適任!!」
「ハハッ」
「セレスタイン、ヘリオドールありがとうな」
「え?」
「3万クロスもくれて…!!1ヶ月は暮らしてみせるぜ」
「そっちかよ」
「…嘘だよこれぐらい当然だろ」
「当然じゃねーだろ」
「でも感謝はしてる。俺達の親の仇をとってくれてありがとう。おかげで…自分の手を汚さずにすんだぜ」
「…いやに素直だな…。そんなことまで言わなくても…」
「隠す必要がないからな」
ケロリとした顔で言った。
「まぁいいや」
馬車に乗り込む。
「それ、誰にも言うなよ」
「わかってますぜ旦那」
「旦那って…」
トパーズが隣で苦笑する。
「ウィンドストーンウォールズまで」
ゆっくりと馬車が動き始めた。
よろしくお願いします!