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STONE LIFE  作者: 緋絽
35/65

3人目 14

───── ジルコン ─────

「ま、まだか?」

「多分…あと少し…っ」

「くそ……」

魔力を感じるから生きてはいる。

だけど弱い。

さっきの方がまだよかった。

トパーズらしからぬ重さでも、確かな生命力を感じられる方がいい。

氷の逆流が終わった。

「!!」

「おっ終わったぞジルコン」

壁を所構わず破壊して栓を作る。

「これで栓してくれ!!俺は先に行く!!」

「あっおい!!」

通路を戻って来た道を走る。

あの廊下につくと2人の姿はなかった。

どこに…。

落ち着け。耳を澄ませろ。

体の中に激しい鼓動の音が響く。

焦る。

怖いのだ。もし、親だけじゃなくトパーズまで失ったらどうすればいい。

俺のせいでトパーズが死んだら、俺は…。

気持ち悪い。一歩一歩が遅く感じる。

ドンと音がした。

ためらわずにそこに向かって走る。

道順はほとんど覚えてない。無我夢中で音に向かって走ると一番端にある部屋だとわかった。

駆け込むと氷に体を貫かれたトパーズと腹に風穴を開けた『俺』の顔をした奴がいた。

アンバーのいないことに違和感を感じたがそれよりトパーズのことが大事だった。

「トパーズ!!」

俺の声を聞いてトパーズが振り返って微笑んだ。

安堵しかけて息を飲む。

まだ終わってない。

トパーズと『俺』が何か喋るとバチッと音がして『俺』が倒れた。

ジジッと火花が走る。

トパーズが氷から体を抜くとよろめいた。

這うようにして『俺』に近付く。

さっきまで聞こえなかった声が、今は鮮明に聞こえた。

「…今から…お前を殺すぞ…」

どこか深い胸の奥が小さく鳴った。

「トパーズ!!やめろ!!」

トパーズと目が合う。

───それ以上何も言えなかった。

さっきまでの強さは感じないのに、どこかに相手を威圧するような雰囲気があった。

俺は初めてトパーズのことをわからないと思った。

初めてあいつを掴みあぐねた。

「さよなら、『ジルコン』」

ビクッと反応してトパーズの顔を見る。

『俺』が火に包まれた。

俺は動けずにただそれを見ていた。

火が消えると『俺』が倒れていた場所にアンバーが倒れていた。

「───え…?」

「…殺したからな、俺の勝ちだ」

「お…前…一体…何者…」

「別に…ただの…一市民だ……」

トパーズがアンバーの耳からダイヤモンドのピアスを取った。

それを持って俺の方に歩いてきた。

「───トパーズ…」

俺の声にトパーズが顔をあげた。

さらに一歩踏み出して崩れるようにして倒れた。

「!!トパーズ!!」

駆け寄って抱き起こすとダイヤモンドを渡された。

「…………」

「何?」

声が小さくて聞こえなかったから耳を近づける。

「うわ…お前ってまじ嫌な奴だな…」

「は?」

拍子抜けした。

「お前いつもこれぐらい怪我しても平気で突っ立ってんじゃん…っなのに俺は倒れるとか…まじ最悪」

「バッカお前俺とお前を一緒にすんなよ。俺には才能があんだよ」

「…あっそ…」

「ちょっと待ってろ、今医者呼んでくるから」

「いや医者に連れていこうぜ、そこは」

「え、だって…」

「俺は歩けるから。行こう」

「…………」

手をあげて傷口を叩くふりをする。

「馬鹿。やめろお前っ…ってぇ…」

身を捩ったトパーズが顔をしかめた。

「ほら見ろ!!ちょっと動いただけで痛ぇくせに!!」

「…わかった。言い方を変えよう。…俺…早く治療うけたい」

「OK。了解」

トパーズの肩に腕を回して立ち上がらせる。

腰にも手をかけた。

「もうちょっともたれてもいいから、楽な格好しろ」

トパーズが両手を伸ばした。

「ジルコン~俺抱っこがいい~」

「よ~しちょっと待ってな」

一度指を鳴らしてからトパーズの足の裏に手を入れる。

「うわっ本気にとんなよっ」

「こ~んな時に冗談言えるはずないもんね。トパーズちゃんはそんな子じゃないもんね」

「嫌だー!!」

「大丈夫よきっと運んであげる」

「………何してんの」

声のした方を見るとラリマーが息をきらして呆れた顔をしながら見ていた。

よろしくお願いします!

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