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STONE LIFE  作者: 緋絽
34/65

3人目 13

残酷表現が出てきます。

苦手な方はお戻りくださいm(_ _)m

───── トパーズ ─────

いつの間にかアンバーに風を放っていた。

避けなかったのか避けられなかったのか、直に体にぶつかる。

初めて『俺』の顔が歪んだ。

向こうも氷を放ってくる。

これもいつの間にか火で消していた。

後ろに回ってこめかみに塵で作った剣をぶち当てる。

呻き声をあげて『俺』が振り向いた。

氷で作った剣が飛んでくる。

それを避けて斬りかかると血飛沫がとんできた。

拭うと鉄臭い匂いがして顔を顰める。

『俺』も斬りかかってきてバリアをはると光を投げつけた。

驚いた。

体の中で血がぶつかりあってエネルギーを作り出しているみたいだ。

熱く、沸騰し、互いを食い合うように争っている。

『俺』が初めてよろめいた。

そこに塵を集めて飛ばす。

それがぶつかって『俺』が吹っ飛んだ。

どこからこんな力が出てくるのだろう。

「う…」

体中の血から魔力が浮き出て見えた。

手が震える。

怖いと思った。

抗えぬ血の呪縛に捕えられた気がした。

(つる)を伸ばして『俺』の首に巻きつける。

壊そう。壊せばすべてが終わる。

「うぁ…っ!!」

しばらく経つと息ができずに喘ぐ声しか聞こえなくなった。

「へぇ…氷のくせに首が絞まると苦しいのか…」

「…ッ…ッ」

痙攣している指で蔓を握って首から外そうともがく。

力を加えると再び喘ぐ声しか聞こえなくなった。

『俺』の指から力が抜ける。

───すべて当然だったと思おう。

この死も血の呪縛もジルコンが両親を失ったように俺の運命だったと思おう。

今、血に汚れた手は二度と清くならない。

それでもあいつの幸せのために戦えたと自分を誇れればいい。

「本当にそれでいいのか?」

ガッと腕を強く掴まれた。

「っ!?」

「お前は“俺”の為に人を殺すんだろ」

『俺』の顔が『ジルコン』に変わっていた。

思わず力が緩まる。

「ジ…」

「でも本当はそんなことしたくないんだろ。今ここで殺したらいつか俺を憎むだろ」

「そんなこと…」

「お前は自分の存在意義を見つけたいだけだろ。“俺”より劣っていると思いたくないんだろ」

どきりと胸が鳴った。

違う。違うはずだ。

俺は自分のためにこいつと戦ったわけじゃないはずだ。

───じゃああの黒い感情はなんなんだ?

もしかして俺はあいつと対等じゃないことに怒っていたわけじゃなく、俺の欲しいものを持っているジルコンを羨んでいただけなのか?

嫉妬するほど───。

顔から火が出るかと思った。

羨ましく思うほど俺は努力していない。

まだ羨んだりしてはいけないのに。

「“俺”のせいにするなよ!!お前が悪いんだ、お前が弱いだけなんだよ」

ククッと喉の奥で笑う。

もうさっきの熱い力はいなくなった。

それが妙に落ち着く。

「お前は馬鹿だね」

「何?」

蔓の力を再び強めた。

「調子に乗るな。俺は自分が悪いということなんてわかってるんだよ。───大丈夫…俺はわかってるから」

それでも、構わない。

俺は自分を棚にあげてジルコンのためと言っていただけだった。

それに気付いた今はもう綺麗事を吐こうとは思わない。

大きく息を吐く。

熱さと冷たさのぶつかりあう空気が胸の奥まで沁みこんだ。

自分のため。

なるほど、いいじゃないか。

蔓が凍って粉々に散った。

ドンと突き飛ばされる。

傍に落ちていた塵を掴む。

───ほとんど同時に俺と『ジルコン』は互いの体を貫いた。

俺の体には氷が刺さり『ジルコン』の体には風で穴ができていた。

「………っ」

咳込むと血の味がした。

「トパーズ!!」

声のした方を見るとジルコンが顔に汗を浮かべて見ていた。

それに向かって微笑む。

「俺は氷だから死なないが生身のお前は死ぬだろうな」

腹から血を流して『ジルコン』が笑った。

「俺が何もしていないと思うか?」

「は?………っ」

バチッとショート音がして『ジルコン』が倒れた。

「な…」

氷から体を抜こうとして痛みに呻いた。

「馬鹿が今まで自分に敵う者がいなかったんだろう油断したな、俺はその隙をむざむざ逃がしたりしないぜ」

血の吹き出している『ジルコン』の腹に火花の核───さっき掴んでいた塵があった。

氷から体を完全に引き抜くとよろめいて地面に膝をついた。

倒れそうになるのを手をついてこらえる。

まだだ。まだ終わりじゃない。終われない。

這うようにして『ジルコン』の傍に行く。

「…今から…お前を殺すぞ…」

今、『ジルコン』の体は動かない。

体の中に直接入ってきた火花を抑え込むのに魔力を費やしているはずだ。

「トパーズ!!やめろ!!」

ジルコンの方に振り返る。

この数秒がやけに長く感じた。

邪魔しないでくれ。

これは新しい自分へ生まれ変わるけじめなんだ。

俺の中からもお前を守るという概念を消さなきゃならない。

誓いを。

再び『ジルコン』の方を見る。

俺の中のお前を消すのに最適だろう?

───俺の目を、お前はどう感じただろうか。

よろしくお願いします!

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