3人目 12
───── ジルコン ─────
ビクッと反応する。
なんだ今の───。
「トパーズ…?」
肩に載る魔力の重さが急に増えた。
トパーズの魔力だろう。
でも、それにしても荒々しすぎる。
何があったんだ?
あ、いや!!
頭を振って壁を見る。
今はそんなこと考えても仕方ない!!
少しでも結界が緩んでいる今、壁を壊さないと───。
風を起こしてドリル状にする。
飛ばすとまだ少し結界が緩んだ。
…本当に何があったんだ?
あいつが結界を維持できないくらい激しい戦いになってんのか?
唇を噛む。
急ごう。
壁を爆発させると亀裂が広がった。
「っ!!あっ!!」
電気を投げるとかなりの大きさの爆音がして穴が開いた。
よし、開いた!!
穴を広げて中に入ると天井の低い通路に出た。
中に入って光を灯す。
這うようにして進むと水の音が聞こえてきた。
右側に耳をあてて目を閉じる。
滝のような水の音───。
壁に光をあてると弾かれなかった。
中は結界をはっていないらしい。
再び壁に風を飛ばすと簡単に穴が開いた。
そこから中に入る。
「…うわ…」
さすがアクアストーンウォールズ。
そこは壁から滝のように水が流れ落ち、池のように溜まっているものが3つほどあった。
どれもすごい勢いなのに留まることをしらないみたいだ。
どうやって止めよう。
えっとこの水は街の中心地から流れているはずだ。
とにかくまずはそこの水を止めないと。
「…ルコン…」
え?
「ジルコン!!」
穴の方から声が聞こえる。
この声…ラリマー?
穴から通路を覗くとラリマーが息をきらしてこっちに向かっていた。
「え…お前なんで…!?」
「よくわからない。気付いたらある部屋にいてしばらく寒くてとにかく動こうと思って部屋を出たんだ。なんかいろんな道通ってだけど外に出る出口が見つからないから途方に暮れてたら、爆音がして…。気になって見に来たらお前が丁度中に入っていって…」
「ナイスタイミング!!」
ポンと肩を叩く。
うん。ちゃんとラリマーの魔力だ。
「困ってたんだ。この水多分中心地からきてるだろ」
「あぁ」
「止めたいんだけど、何かいい案ないか?」
「案か…」
しばらく考え込んでからふと顔をあげた。
「俺、水逆流させられるぜ」
「え?まじで?」
「アクアに住んでんだ、なめるなよ」
「なめてねぇよ。本当に驚いてるんだ。逆流俺もできるけど、この大きさのは無理かなって思ってたんだ」
「ふぅん。じゃあ、やるか?」
「頼む」
ふっと空気が軽くなったと思ったら、強く体を引っ張られる感じがして踏みとどまる。
ラリマーが手首を返して拳を握った。
水が一瞬止まる。
───とすごい音がして逆流し始めた。
「おぉ」
気持ち悪くなりそうだ。
「今まで流れた分を戻して栓をすればいいよな?」
「あぁ」
速く。トパーズのところへ行きたいんだ。
焦る気持ちが修まらない。
手汗を拭って逆流する水を見ていた。
がくんと魔力の重さが消えた。
───え?
荒々しさが消えた───。
よろしくお願いします!