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STONE LIFE  作者: 緋絽
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偽物 2

───── 夜 ─────

Dマスターの屋敷の中───。

Dマスター キャッツ・アイは家の中でワインを飲んでいた。

「フフ......あいつのいない間にごっそり稼がないとな...」

腕に付けている時計に石が光る。

ダイヤモンドのように。ただその石はどこか頼りなく光っていた。

ジリリリリとベルが鳴る。

「誰だ?」

玄関に行ってドアを開けた。

「あ?」

誰もいない。

「なんだよ...」

パタンと閉じる。

「こんばんは、Dマスター」

「!!」

バッと中を見るとマントを着た若い少年が2人笑って立っていた。

「なっなんだお前らっ...」

「DマスターはDマスターでも偽物だけどな」

「!!な、何を言ってる私はDマスターだ。ほら証拠のダイヤモンドだってある」

腕時計のダイヤモンドを見せる。

頼りなく光っている石を。

少年はフンと鼻で笑った。

「ダイヤモンドはその昔、力のある魔術師が自分の魔力を封印した石だと言われている。だから人々はその桁違いの魔力に本能で逆わないと。だけど俺はこう思っている。知ってるか?ダイヤモンドは自分に当たった光を自分の中に閉じこめる性質があるんだ。だから他の石より輝く。そして人々は魔力とその美しさに惹かれ、どんなことにも従ってしまうんじゃないかと───」

「何が言いたい...っ」

「その石、光っていないぞ偽Dマスター」

「............っ」

石に触れて念じる。

“あの男を殺せ!!”

石がボウッと光る。

よし!!

パン!!と石が割れた。

「な……っ」

「無駄だ、偽物め」

少年を見る。

「聞くまでもない、それはクリスタルだ。ダイヤモンドじゃない」

バレた!!

「確かにクリスタルもそれなりに力になるがこんな風に壊してしまえるぞ」

クソ!!


男の石を壊した。

やっぱり。ダイヤモンドじゃなかった。

だから人々が何度言っても逆らったんだ。

石の魅力を感じられずに

「さぁ偽物、質問に答えてもらうぞ」

「~~っ」

男が壁に手を当てた。

「!!」

パンと結界を張る。

天井が崩れて落ちてきた。

「危ね…」

「ジルコン!!」

トパーズが叫んで俺はトパーズの方に耳を傾けた。

「奴は土系の魔術が得意だ!!」

「了解~~っ」

結界を解いてジャンプする。

そのまま男に手を向けた。

パリンと窓が割れ刃の形になって男を襲う。

男が床に手をあてて床を盛り上がらせてそれを止めた。

「チッ」

瓦礫の1つに魔力を流す。

変形して剣になった。

硬度を上げて斬りかかる。

剣術は少ししか教えてもらってないけど強引にいけば...っ!!

ブンと振る。

土の壁が割れて男が弾き飛ばされた。

「なぁ偽物名を聞こうか」

「...キャッツ・アイ...」

「キャッツ・ア...っ」

ブッと吹き出す。

「何がおかしい!!」

「いや、こりゃ御大層なお名前で...っクックック...」

バキッと壁が出てきて挟まる。

「っ!!」

「仮にも私はクリスタルを持っていた身だ...。知ってるだろう、クリスタルだってそれなりに力が無ければ手に入れられんのだ」

「い...っうっ...」

ギシギシと体が鳴る。

「ジルコン!!」

キャッツにトパーズが水の玉を当てた。

「うわっ」

少し壁の圧力が弱まる。

肘を硬くして壁を崩した。

「1対2とは卑怯だな」

「俺もそう思う」

「悪いな、つい...」

「まぁな、バディーだからな」

「ジルコン、俺はもう手は出さないよ」

「助かるよ」

キャッツがビキッと顔を引きつらせる。

「...いいのか?1人で」

「あぁ十分だ」

「何?」

“浮け”と念じる。

ふわ...と体が浮き始めた。

キャッツは俺は見上げる。

パキンと俺の周りに結界を張る。

「人は体の約半分が水で出来てる。なのに全身水にはならない。水は必要だが水に殺されることもある」

「何を言って...」

「まぁ、頑張れ」

水道を破裂させた。

「!?」

床が水浸しになって段々水位が上がってくる。

「...ちょっと遅いな」

キッチンの水道も壊す。

滝のような音と共に水が噴き出した。

「さぁ、溺れてしまえ」

「チッ」

ドンッと壁に穴が空いてそこから水が出だした。

「あっ」

クソ...。

「やっぱり簡単にはいかないか」

肩を竦めてスッと右手を顔の高さまで持ってくる。

「頑張って避けろ」

「何をするつもりだ」

「さぁ?」

ニヤリと笑う。

「見ればわかるんじゃね?」

指を鳴らした。

水がボコボコと泡を立て始める。

まるで、生き物のように。

「何だこれは...?」

「豆知識ターイム」

手を開いたり閉じたりしてほぐす。

「水は水圧が大きくなると何でも切れるようになるんだ。鉄でさえもスパッと。だから...」

拳を握る。

「人なんて簡単だろうな?」

「───!!」

「死なないように気をつけて、俺はうまくコントロール出来ないんだ」

「まっ待てっ...」

「3,2,1...スタート!!」

パチンと指を鳴らす。

ビュッといろんな方向から水がキャッツに向かって飛ぶ。

キャッツは慌てて土の壁を作った。

でも、水はそれを貫通してすぐに壁はボロボロになる。

そしてキャッツに傷を付けた。

血が垂れる。

「き...さまぁ!!」

バンと天井が落ちてきて地面に落とされる。

「わっ」

手が伸びて首を掴んだ。

「うぐっ」

「調子にのるなよ小僧...っ私はクリスタルを狙う激戦の中で勝った者だ...」

「...ぅ...ぐ...っ」

キャッツは右手で瓦礫のとがった物を持っている。

大方ブスッといくのだろう。

「そう簡単に死ぬわけがないんだ...!!」

「へーそうかい」

手にバチッと火花の散る玉を作る。

「っ!?」

バッとキャッツが俺を離す。

体中に火花を散らして笑う。

噴き出している水が火花にあたって水蒸気をあげた。

「お...お前...っなぜそんなに何種類も魔法を使える...っ」

「何故?...さぁ?」

ガシッとキャッツの手を掴んだ。

「!!」

「才能ってやつだろう」

バチッとすごい音をたててキャッツに火花が移り、キャッツがボロボロになって倒れた。

ビショビショの床のおかげで思ったより火花(電気だから)はキャッツに衝撃を与えたようだ。

「おい、起きてるだろ。気絶しないように手加減したんだから」

まぁ動けないとは思うけど。痺れまくってるはずだから。

「お前...っこれ狙ってたのか...っ」

「さぁ、どうだろうな」

「............っ」

「あんたに聞きたいことがある」

トパーズがキャッツのそばに立った。

「Dマスターはどこだ」

「は...っそんなもの知ら...」

「知ってるはずだ。じゃなきゃDマスターを名乗るような自滅行為、するわけないだろう」

「あぁ、そうだな」

俺はキャッツに火花を見せる。

「分かった。教えてやろう」

なんかムカつく。

バチバチと強くして近づける。

「分かった!!教えます!!」

火花を消してからキャッツに触れる。

魔力をやつの中にはべらせて体を動かせなくした。

「!?な、なんだ!?」

「気にするな、体内に魔力の鎖を入れられたと思えばいい」

「とれるんだろうな!!」

「本当の事を話せばな」

「...チッ」

「さぁ話せ」

ギリギリと腕を動かさせようと掴む。

この鎖はかなりガッチリ巻いてあるから少しでも動かせばものすごい痛みになるのだ。

「すみません、すみませんでした!!」

フーと溜息をついて手を放す。

「...詳しくは分からないが...とにかく街の外にいるのは確かだ。そしてもうすぐ帰ってくる。あと1ヶ月でな。」

「1ヶ月...!!」

「やつは職務なんか気にせず国中を飛び回ってるんだ。だからその間私がこの街をしきっていた」

「あぁ、これからは無理だと思うよ」

「なっなぜだ!!」

「クリスタル壊しちゃったし、みんなにかかってる魔術を解けたからほら聞こえる?」

外でワァワァと騒ぎながら民衆が集まっている。

「あんたに一目会おうとしてる声」

サーとキャッツの顔が青くなった。

「ドンマイ」

「あんたは俺達に大人しく捕まった方が身のためだ」

「ちゃんと無事に警吏まで届けてやるよ」

「......!!......!!」

魔術をといてキャッツを動けるようにする。

「行こうか」

そして屋敷を出た。

もちろん俺達がキャッツを助けるはずもなくあいつはボロボロになって警吏に届けられた。


───── 数日後 ──────

目が覚めると体中に魔力が重くのしかかっていた。

これ...!!

さすがにトパーズにもわかったらしく俺達は顔を見合わせた。

そしてその夜───。

警吏の牢の中でキャッツが死体となって発見された。

体の周りに真っ赤な血の池を作って───。

よろしくお願いします!

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