3人目 7
「きろ…」
「う…」
強く腹を蹴られた。
「起きろよてめぇ!!」
「う・・・っ!!」
急速に景色が目に映るようになった。
咳込むと口の中に血の味が広がった。
「やっと起きたか」
チッと舌打ちの音がして誰かが俺の髪を掴んで起き上がらせた。
まだ少し視界がぼやける。
「…………っ」
「あぁ?まだ寝ぼけてんのかよ!!」
殴られる。
いってぇな。誰だよお前!!
俺は起きてんだよ前がちょっと見えねーだけだろ。
「ふざ…けん…」
あれ?何か口がうまく動かない。
再び視界がはっきりして男越しにトパーズが倒れているのが見えた。
「!!」
トパーズ!!
「トパー…!!」
「はーい気になるのはわかったけどまずこっちが先だろ」
男に顎を掴まれ顔の向きを変えられた。
「離…!!」
…え…。
体が怒りで戦慄いた。
「あ、やっぱり驚いた?」
…なんで…なんでこいつが…。
「ト…ルコ…ッ」
「よお。セレスタイン(・・・・・・)」
「!!」
強く奥歯を噛みしめる。
「いや…?ジルコン」
ドンと床から氷が出てきてそれに突き飛ばされた。
「ぐ…っ」
手を動かそうとすると後手にされて氷の手錠で縛られていた。
くそ…!!
壁にぶち当たって滑り落ちる。
「まったく馬鹿だよなぁ。サファイヤもラピスラズリもこんな子供に負けるなんてよぉ」
「……?」
「お遊び半分で手加減すっからだバーカ」
「なんで…お前…Dマスターの名を…」
「あぁ?ここまででまだわかんねぇの?」
───しまった…。最悪の事態だ…。
「ま…さか…」
「そのまさかだ」
ニヤリとトルコ───アンバーが笑った。
「俺がここのDマスターだからだよ」
アンバーが指を曲げて何かを引き寄せた。
「こいつにお前を監視させてたんだ」
「!!」
アンバーが引き寄せたもの───それは氷漬けにされたラリマーだった。
「ラリマー!!」
「おぉ正解!!その通りだ!!これ(・・)にお前の話を録音させたんだよ。よく考えられてるだろ?」
「…ダイヤモンドか…!!」
「せーかぁーい」
十字架を振って答えた。
氷漬けにされたラリマーをアンバーが蹴り倒した。
「こいつらって弱いよなぁ?抗おうとしたくせに俺の命令1つで魔法使えないんだぜ?」
ピクリと眉を動かす。
「違うだろ…!!あいつらは弱いわけじゃない、お前の言葉じゃなくダイヤモンドに逆らえないんだ!!」
それを聞いてアンバーが笑った。
「何がおかしい!!」
こいつ1番腹が立つ。
今までの奴らだって酷かったけど、決して街の民を侮辱することはなかった。
「だから弱いっつってんだよ。俺はダイヤモンドに抗えたぜ」
「だからなんだ!!お前がたまたま抗えただけだろう!!」
アンバーから笑顔が消える。
「ほぉーお…俺の力を疑うか…」
次の瞬間トパーズの真上に巨大な氷が現れて落ちた。
「!!」
トパーズの周りにバリアをはった。
「おぉさすが、2人もDマスターを倒しただけのことはある」
「ふざけんな…!!」
なんとか手錠を溶かして魔力を向けられた。
アンバーが口笛を吹く。
立ち上がって氷を吹き飛ばした。
「そういやあいつら言ってたな。“あいつは最初そうでもないが、ぎりぎりになると妙に魔力が強くなる”って…」
「……………」
「まぁそんなの」
「………っ!?」
───急速に心臓が苦しくなってきた。
「聞いてないか?呪いをかけた奴以外の奴も呪いは使えるんだぜ」
「うぁ…っ」
やばい…!!
「俺は手加減しねぇよ」
痛みさえわからなくなってくる。
───苦しいのか苦しくないのか───。
「ああああああ…っ!!」
よろしくお願いします!