3人目 3
最後の一切れを飲みこんでラリマーが立ち上がった。
「俺の隠れ家に来るか?安心して話ができるぞ」
「行く」
俺達も立ち上がってラリマーの後ろを付いていく。
中心街から離れて川の方へ歩く。
ラリマーが腰に下げていた袋の中からランプを取り出した。
それに火をつける。
「なんで?」
「この先地下に行くから暗いんだ。これは1人分の明かりだから自分の分の明かりは自分でつけろよ」
「無責任な…」
「文句があるなら来なくてもいいんだぜ」
「行きます!!」
枯れて落ちている枝を拾って火をつける。
───と肩を叩かれた。
「!?」
「よぉ何してんの?」
「トットルコ!!なんでここに?」
「いや、たまたま。そいつがお前らの友人か?」
ラリマーを顎で示してトルコが尋ねた。
「そ、そう!!」
「へぇ。同い年ぐらいかと思ってた」
「意外だった?」
「まぁ…」
チラリとトルコが俺の火を見た。
なんだ?
「お前火をつけるのうまいなー」
「え、そうか?普通だと思うけど…」
「そうか」
「は?」
こけかけて慌てて体勢を直す。
「俺はよぉ」
枯れ葉を拾ってトルコが魔力を流した───と小さ~~い火がつ
いて枯れ葉を燃やしつくした。
「こんなんしかできねぇからさぁ」
「そ…そうか…」
「おい」
ラリマーが呼んだ。
「え」
「行くぞ」
「あ、わかった。じゃあなトルコ」
「あぁ」
ラリマーがぺこりとお辞儀した。
「知り合いか?」
「少しな」
「ふーん」
ラリマーについていくと木の根の下に階段があってそこを下へと降りた。
しばらく歩くと細い道から大きく開けた場所に出た。
ラリマーが中央に歩いていって蝋燭に火をつけると、そこから四方へ火が広がってあっという間にそこが明るくなった。
「よくできてるだろ」
「お前魔力使わないんだな」
「必要に駆られた時だけに使った方がかっこいいだろ」
「…そうか?」
「のれよ!!このノリに!!」
「無茶言うな!!」
ラリマーが椅子を引っ張ってきて座れと促した。
座って枝の火を消す。
「で、何が知りたいんだ?」
「…この街の…Dマスターのこと…」
「!!こりゃ…理由は聞かない方がよさそうだ…」
「何処に住んでるとかわかるか?」
ラリマーが黙って頷いた。
「口頭でしか教えないぞ」
「おう」
「中心街の一角にな、異常なほど変な家があんだよ。地面にトイレの個室ぐらいの大きさの箱があって、そこにドアが1つついてるんだ」
「そ…それはまた奇怪な…」
「地上に家は見当たらねぇんだ」
「てことは…」
トパーズが考え込んでから答えを発した。
「“地下”か…」
「多分」
「じゃあDマスターが10年前、何をしてたかわかるか?」
「それはわかるわけねーじゃん。俺生まれてないころだぜ?」
「そうか…」
ドタドタと階段を降りてくる音がした。
反応して身構える。
「大丈夫だよ」
ラリマーが俺達を制して言った。
「ラリマー!!」
入口から4人の子供達が入ってきてラリマーに飛びついた。
「おかえり」
「今日のご飯なーにー!?」
「わかんないな、あいつが奢ってくれるらしいぞ」
「本当!?」
「あぁ。いっぱい食え!!」
「いや少しはこっちの懐も気にしてくれよ?」
「いいじゃねぇか。こっちは下手したら死ぬかもしれない情報を教えたんだ」
「家の場所だけじゃねーか!!」
「バッカそれでも億単位の価値があんだよ」
「ラリマー」
ラリマーより年下であろう少年がラリマーをつっつく。
「ん?」
「この人達、誰?」
「…俺の友人だよ。セントラルから来たんだ」
「ふぅん?初めて聞いたー!!」
「もう会うことはないだろうと思ってたから離さなかったんだ」
「じゃあ僕らとも友人になるんだ!!」
「そうだよ」
少年が俺達に向かって手を伸ばした。
「初めましてジャスパーだよ」
その手を握る。
「俺はセレスタイン。で、こっちがヘリオドール」
「へえ」
もう1人の少年がジャスパーの手をもぎ取って俺の手を握った。
「俺はアゲート。よろしく」
「あぁ」
その隣でよく顔の似た少女2人がラリマーから離れて俺達に会釈した。
「初めまして私はフェナ」
紙を左で1つにまとめた少女が言った。
「私はカイト。双子なの」
今度は髪を右にまとめている少女が言った。
「へぇ!!よく似てる!!」
「で、今日の収穫は?」
ラリマーが子供達に言った。それぞれがおもむろに手を出した。
「あんまりたくさん貰えなかった」
ジャスパーが落ち込みながらラリマーに何かを渡した。
それに他の子も続く。
「うん…まぁ、こんなもんか」
手に納まった金を見てラリマーが言った。
「これどうしたんだ?」
「働いて稼いだに決まってるだろ。あんなことをするのは俺だけで十分だ」
食物が足りるという意味で言ったのか、それとも別の意味で言ったのか、俺にはわからなかった。
「何をして稼いでるんだ?」
「運び屋だよ。おかげで近道するための道は全部知りつくしてる。何が起きたかも大抵人が話してるのを聞けるから、得してるぜ。まぁ、駄賃が安いのがネックだけど」
「ふーん」
「おいお前ら、外に出て飯買ってこいよ。このお兄さんがお金くれるから」
ラリマーが俺とトパーズの肩を抱いて言った。
「え」
「ありがとう俺の友人❤」
「~~っあんまりいっぱい金を持ってるわけじゃないからな」
アゲートに2000クロス渡すと歓声をあげて全員出ていった。
「今夜は御馳走だな」
ラリマーが満足そうに笑った。
「───とまぁ人払いはすんだし、続き話すか」
真剣な顔になり巾着袋に金を入れた。
「…じゃあこの街のDマスターはいい奴か?」
「いい奴?」
酷薄な感じを受ける笑みを浮かべた。年にあわない笑みだ。
笑い飛ばしてからラリマーの表情が変わった。
まるで憎い奴が目の前にいるかのようだった。
「笑わせる!!あいつがいいやつだったら俺達は今こんなところにいたりしない!!」
「え…」
音をたててラリマーが立ち上がる。
「来い!!」
そういうと先急ぐようにして階段をあがっていった。
「ちょっ…」
慌てて後を追った。
よろしくお願いします!




