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STONE LIFE  作者: 緋絽
23/65

3人目 2

「はぁーーっ」

大きな溜息をついてしゃがみこんだ。

「お前…っセレスタインってなんだよ…っ!!もっといい名前なかったのかよ!!しかも方向音痴ってなんだよいらねえよそんなオプション!!」

「しょうがないだろ!!あの状況でこの2つしか出てこなかったんだよ!!ていうか2つも出てきたことが奇跡だろ!!俺すげえ!!」

「あぁすげえよ俺1つも出てこなかった!!お前天才俺おバカ!!」

息を整えて頭を掻く。

「…あれてかトルコって名前ストーンキングダムで一番多いって言われてる名だよな」

「あ、そうだな。あれだろほら教室で先生がトルコーって呼んだら2,3人振り向くやつだろ」

「そうそう。あ、君じゃなくってって言われたらなんとなく居たたまれなくなるやつな」

チチチチチと鳥の鳴く声がした。

「そうだ…ルビーとじいさんが…!!」

「それと情報屋とフローも!!」

「どうすりゃいい…」

トパーズが額に手を当てて深刻な顔になった。

「大丈夫だろ。じいさんは魔・武術でそれぞれプロ並にすっげえしきっと守ってくれるさ」

「だと…いいけど…」

「心配すんなよ!!な、ヘリオドール!!」

「おい…」

「お客さーん!!」

向こうから馬車の人が呼びに来た。

「すみません、馬が動けるようになったみたいなんでお待たせしました」

「いえ」

馬車に乗り込んだ。


───アクアストーンウォールズ壁前。

馬車から降りて深呼吸する。

荷物を担ぐと門の下を通った。

「よお!!」

肩を叩かれて振り返る。

「あ!!トルコ!!」

「お前さん達の友人もこの街なのかー」

「そうなんだ。じゃあ急ぐから」

「ああ」

体にのった思い魔力を振り払うようにトルコから離れた。

「どうしたジ…セレスタイン」

トパーズが追いついてきて言った。

「俺…あいつなんか苦手なんだよな…」

「苦手?」

「うん…なんていうか目が…」

「目?」

「うん」

人を見定めるような目───。

「まぁ気にすんなよ、人の好き嫌いなんてさ。な、ヘリオドール」

「お前…言いたいだけだろ」

「ばれた?」

「お前なぁ…」

「待てっ小僧っ!!うちのパン返しやがれ!!」

怒鳴り声がしてそっちを見ると10歳くらいの男の子がパンを抱えて走ってきていた。

後ろから男が追いかけてきている。

男の子が躓いてパンを落とした。

「くそ…」

男の子が走っていった。

「トパー…ヘリオドール、追いかけてくれ」

「OK」

トパーズが走って追いかけていった。

それを追いかけていこうとする男に足を出す。

「ぐぁっ」

前に倒れる。

「何だ…」

「おじさんどうした?」

「あっ…見失った…っ」

悔しそうに膝を叩いた。

「どうしたんだよ」

「あぁあの小僧がうちのパン盗みやがったんだ」

「ふーん」

パンを拾って金を払う。

「もらってくよ」

少し歩いていくと小さな路地から声をかけられた。

「ジ…セレスタイン」

「ヘリオドール、捕まえたのか?」

「あぁこの通り」

トパーズの指した方を見ると縄でがんじがらめになっている男の子がいた。

「うわーー!!何してんのお前ーー!!」

「捕まえるために仕掛けたトラップに引っかかってくれたのはいいけど暴れるから絡まってさぁー」

「おいおい…」

「離せっ!!なんだよお前ら!!余所者のくせに!!関係ないだろ!!それとも何だ!?お前らのいらない正義感で俺を捕まえたのか!?お前ら馬鹿じゃねーの…!!」

慌てて口を塞ぐ。

「んー!!んー!!」

「静かにしてろよ捕まりたいのか」

「!?」

「腹、減ってんだろ」

笑ってから縄を燃やす。

「何で…」

パンを差し出す。

「それ…!!」

「お前のパンだ。食っていいよ」

男の子がパンに手を伸ばす。

「ただし」

伸ばした手を掴んでパンを遠ざける。

うわ…細…!!

まるで骨しかないような感触だった。

「盗んだおじさんに謝罪をこめて食べること。OK?」

「なっ…」

「嫌だというのならこれは俺のものだ」

「…………っ」

「いっただっきまーす」

口を開けると急に手の中からパンが消えた。

「わかったよ!!こめて食うよ!!」

その手にパンがあった。

目にも止まらぬ早業である。

笑って頭を撫で回す。

「いい子だ」

「ガキ扱いするなっ」

「ハハ、はいはい」

「~~っ」

男の子がしゃがんでパンにかぶり付いた。

それを挟むようにして俺達も座る。

「お前…親は?」

「いたらこんなことするわけないだろ」

「そうか…」

「で?お前らはどこから来たんだ」

「あー俺達はセ…」

ん?あれ?

「どうしたんだ?こっちは答えたんだ、今度はお前らが答える番だろう。秘密とか言ったらぶっ殺すぞ」

「今…なんて言った?」

「ぶっ殺す」

「いや、もっと前」

「こっちは答えた…」

「違う!!その前!!」

「…?どこから来たんだ?」

「な、な、なんで…」

「だってここら特有の訛りのあつ喋り方しないし、何か街に溶けこんでないし」

「えっ!?め…目立ってる…?」

「俺みたいに目利きな奴にとってはな。まぁ俺以外はいないと思うけど」

溜息をついて苦笑う。

「すごいな、お前」

「で、結局どこから来たんだよ」

「秘密にしてくれよ?」

「わかったよ」

いらいらしているのか少し怒り気味で言った。

「セントラルから来たんだ」

「ふーん。訳有りか」

「そういうことだ。俺はセレスタイン。で、こいつがヘリオドール」

「変な名前」

「まぁそういうなよ。お前の名は?」

「ラリマ―」

「お前もしかしてさ、この街のこと結構把握してたりする?」

「まぁ…ロストペアレントの仲間がいるから…」

「ロストペアレント?」

「要はみなしご達の集い」

「…あぁ…」

「同情はやめてくれよ。でも金はくれ」

「なるほど」

吹き出してラリマ―の背中を叩く。

こいつは強いな。けれど弱い。

この目はずっと1人で生きてきた者の目だ。

だから頼ることを知らない。

頼らなければ人は生きていけないことをまだ知らないのだろう。

「なぁ、ちょっと取引しようぜ」

「取引?」

「お前とその仲間達の飯代払うから、俺達の知りたいことを教えてくれないか?」

「…理由は?」

「聞かない方がいいと思うが、知りたいか?」

「危険な目に合うのならやめておく」

「さすが、賢いな」

「ふーん…」

ラリマーが考え込んだ。

「仲間を巻き込みたくない…」

「そうか。じゃあ…」

「だから俺だけがやる」

「へ?」

“変なこと言って悪かったな”と言うつもりだったのに。

トパーズが変な声を出して俺の顔を見た。

「いいのか?」

「いいのか?ってそっちこそ。ロストペアレントは俺含めて5人いるんだ、金に困るかもよ」

「その時は働けばいいさ」

ニヤリとラリマーが笑った。

「取引成立だな」

よろしくお願いします!

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