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STONE LIFE  作者: 緋絽
21/65

帰郷 5

───── トパーズ ──────

「ルビー?おーい」

変だなどこにもいない。

この家広いからなー。階段2つあるし、入れ違いになったかな。

「夕飯の仕度しないなら俺がしようと思ったのに…」

まぁいいや。部屋見ていなかったら下に戻ろう。

「ルビー?部屋にいるのか?」

ノックする。返事はない。寝てるとか?

「入るぞー」

ドアを開けて中に入った。

「いない…入れ違いになったか」

部屋を出ようとして目の隅にある物を捉えた。

そこまで歩いてある物を取る。

「これ…」

ジルコンがルビーに渡しそびれた…。

フッと笑う。

よかった渡せたんだ。ったくジルコンは奥手なんだから。

あいつには幸せになってほしい。…だから…早くくっつけ。

簪を握って額にあてる。

「…っルビー…」

搾り出した声は小さく揺れていた。

その頼りなさにゾッとする。

机に簪を置く。

馬鹿か俺は。拳で自分を軽く殴る。

情けないな。あいつには幸せになってほしいんだろ。想いは捨てるんだ。

溜息をついてルビーの部屋を出た。


───── 翌日 ─────

朝からインカローズがやって来てトパーズに纏わりついていた。

「あいつ、よっぽどお前のこと好きなんだな」

「さらっと言うなよ。どうすりゃいいんだ」

「さぁなぁ」

「トパーズッ帰ってきてたなら言ってくれればよかったのにー!!」

「わーかったって!!悪かったよ!!」

こいつら結構お似合いなのにな。

「せっかく来てくれて悪いけどな、インカローズ。俺達今日でまた旅に出るんだよ」

「えーー!!」

「またなインカローズ」

ヨレヨレになってトパーズが傍に来た。

「ナイスファイト」

「馬鹿ジルコン。奥手なシャイボーイめ」

「うっせ」

馬車に荷物を積んでから教会へ行った。

「…行ってくるよ父さん、母さん」

必ず呪いをといて生きて帰ってくるから。

教会から俺を包むような風が吹いた。

じいさんは俺に体に気をつけろと言った。

「できれば次の土産は酒以外でよろしく頼むぞ」

「了解」

ブハハと笑うと俺に指輪を渡した。

「お前の瞳と同じ色をした石で作った物じゃ。御守りとして大事にせい」

「ヘーイ」

「じゃあの」

「あぁ」

「ジルコン」

「うん?」

ルビーが笑って頭につけているのを見せた。

「可愛いね、ありがとう」

「いえいえ別に」

「次は照れずに渡してね」

「…頑張ります」

ルビーが俺に向かって手を伸ばして、手の甲を見せた。

「…?何?」

「もう一度誓って、ジルコン。お願い」

「…えぇ~~」

「生きて帰るって誓ってよ、お願いだから」

「…………」

頭を掻いてルビーの手を取る。少し躊躇ってから手の甲にキスをした。

「生きて帰ることを誓う、お前に懸けて」

「…うん。よしっ」

「ったく変なことさせるなよ。照れるだろ」

「だって…。次は私も医者免許取って待っとくから!!頑張ってね!!」

「おう!!…」

少し屈んでルビーの耳元で囁く。

「すべて終わったら、言いたいことがあるんだ」

「え…?」

「待ってて、ルビー」

「…うん」

インカローズに引っ付かれていたトパーズを助けて馬車に乗り込んだ。

外で笑っているルビーを見て笑う。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい!!」

トパーズが言った。

「アクアストーンウォールズまで」

馬車が動き出した。



───── 王宮 ─────

「サファイヤとラピスラズリが警備に捕まったそうですね」

「はい」

「ダイヤモンドはどこへ?」

「ただいま捜索中です…」

「そうですか…」

「はい」

「早く見つけてくださいね。Dマスターが2人も欠落していては大変ですから」

「はっ!!」

男が部屋から出ていった。

「しかし…彼らがやられるとは一体…」

空を仰いで男が笑った。

「彼らに訊いてみましょうかね」

───その手の甲に「D」と刻まれていた。

よろしくお願いします!

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