2人目 9
───── 後日 ─────
宿に戻るとさすがに俺はぶっ倒れ2日ほど眠り込んだ。
そしてフローが見舞いに来てくれた。
「ラピスラズリは…この宿のオーナーの主人を連れていったんだ…」
「…あぁ」
「私は2人にとても…何と言うのかな…親、のようなものを感じていて…特にオーナーには言ったら言い切れないほど感謝してるんだ」
「そうか…」
「…主人がいなくなってからのオーナーを見るのはつらかったよ…」
「............」
「だから私はラピスラズリが許せなかった。2人の幸せを奪ったあいつが───。だから...ありがとう」
「いや...全然。俺達のはついでだったから...」
「もう、体いいのか?」
「あぁ大分。もう動けるよ」
トパーズが俺の背を叩いた。
「俺お前に蹴られたせいで怪我したんだからな」
「だから悪かったって」
フローがそれを見て笑った。
「ジルコン...ありがとう...」
「...あ、そうだ」
フローの手に指輪をはめる。
「なっ何だ!?」
「お前が次のDマスターになれよ。この街を守ってくれ」
「私に...できるか...?」
「お前だから、できるさ」
「そうか...」
フローが指輪を見つめ、それにキスをした。
「がんばるよ」
「あぁ!!」
『Dear ルビー
サファイヤを倒して次にファイヤーストーンウォールズへ向かったんだ。そこのDマスターは酷い女で、男を殺したりしてたんだ。街に男はいなくなって...』
ルビーへの手紙を書いている。
フローのことを話したらどういう反応をするだろう。
クスリと笑ってペンをインクにつける。
『もうすぐ一度セントラルへ戻ります。皆に伝えといてください。
From ジルコン』
封をして手紙を出した。
「行くか」
「あぁ」
馬車に乗ってフローを見る。
「それ、秘密だからな
「わかってるよ。何度も言うな」
「ハハ」
「次いつ会えるかな」
「さぁなぁ」
「...ジルコン」
「ん?」
「私はお前のためにこの指輪をはめるよ。本当に感謝してる」
「いやぁ」
頭を掻くとフローが俺の襟首を掴んで引き寄せた。
「え」
頬にキスされる。
「なっなっ…」
「じゃあな」
顔を赤くして言った。
ドアが閉まる。
トパーズが汗を浮かべて言った。
「…セントラルストーンウォールズまで」
馬車が動き出した。
よろしくお願いします!