2人目 6
腕に激痛が走った。
「っ!!」
驚いて目を開けた。
目を開けてから気がつく。
体が酷く冷えていた。
小刻みに震えている。
「現実に戻ったか」
ラピスラズリが舌打ちをした。
「...ジルコン...ッ」
我に返ってトパーズを見る。
トパーズが俺の腕に巻いてある茎を掴んで引っ張っていた。
それで俺の腕が痛んだのだ。
背中が寒くなる。
もしトパーズが引き戻してくれなかったら俺は動かなくなっていた。
「ふざけんなよジルコンッ!!何の為に俺がお前と一緒にここまで来てると思ってんだよ!!」
「トパーズ…」
「お前と生きるためだ!!お前も俺と生きるために来たんじゃないのか!!…許さないからな…っ」
「トパー…」
「死ぬなんて許さない!!」
トパーズの顔を見て後悔が湧き上がってきた。
怒りの中に何度も浮かぶ、失うことへの不安───。
誰かを失うことの恐ろしさは、誰よりも俺が知っているのに。
小さく息をつく。
「…ゴメン。精神が寝てた」
「ちゃんとしろよ!!」
「うん」
茎を燃やす。
灰となって地に落ちた。
「もう死のうとするなよ」
「あぁ」
もうフローから力は消えていて胸の痛みはない。
灰をぶちまけて辺りを見づらくする。
向こうもこっちと同じくらいのリスクを負うが時間を稼げる。
治癒魔法をかけた。
小さな傷が消えていく。
「周りが見えないわね。まぁ、それも楽しめるかしら」
「…楽しむ…?」
「そう。例えば…」
辺りにバラの香りがたちこめる。
まだ完全に晴れきれてない灰の霧が青色に変色した。
「何だ…!?」
「例えば相手も自分も毒に犯される───とか」
「!!」
慌てて口と鼻を押さえる。
「無駄よ」
ズシリと体が重くなった。
「僅かな隙間から毒は灰に蓄積されていくわ。この中で戦って毒で死ぬか、それとも相手にやられて死ぬか、試しましょうよ」
「~~っ嫌だっ」
「命令よ」
声が低くなる。
「............っ」
ドクンと心臓が痛くなった。
なんだ!?
「呪いはかけた本人しかとくことはできない。けれど」
ラピスラズリがダイヤモンドのついた指輪にキスをする。
「私なら、いいえ私達なら(・・)利用することができる」
─────...!!
ダイヤモンド───保持者の希望を可能な限り叶えることのできる万能の石───。
歯軋りする。
「その気になれば息の根を止められる」
命を掴まれたようなものか───!!
「…わかった…」
フッとラピスラズリが笑った。
「大丈夫。死んでもあなた達は私のコレクションにしてあげる」
「な…っ」
バラが飛んできた。
避けて結界をはる。
再び飛んできたから燃やす。
灰になったがすぐに変色した。
「灰にすればするほど毒になるわよ」
楽しそうな笑い声。
「くそっ」
結界の中にも毒は漂っている。
いずれ結界はとかねばならない。
その時の毒の濃度を考えるとこれ以上は…!!
仕方ない。
結界をといて床に手をあてる。
床が盛り上がって瓦礫ができた。
それを剣にして構える。
「やっと戦う気になったのね、嬉しいわ」
目の前にラピスラズリが現れ蹴り飛ばされた。
受身をとって立ち上がる。
「武術をやってるの?いい受身だわ」
「そりゃどうも」
足を薙ぎ払う。
トパーズが部屋の隅に立っている。
何か魔法を唱えているみたいだ。
剣で斬りかかるときに毒をラピスラズリにぶちまける。
それがあたる瞬間に姿が消えた。
「っ!?」
首に太い茎が巻きついた。
「こんなものね…」
溜息をついて首を絞め始めた。
「ぐ…っ」
「残念だわ。もっと楽しめると思ったのに…。大丈夫、コレクションにする時外傷の少ないようにすぐ殺してあげる」
「............っ」
茎を掴んで魔力を流す。
枯れろ…っ!!
茶色に変色した。
力任せに引きちぎって後ろにいるラピスラズリに回し蹴りをくらわせる。
手応えあり───!!
「ジル…コン…なんで…」
ハッとして蹴りをいれた人物を見た。
「トパーズ!?なんで…」
クスクスと笑う声がした。
「誰も毒の効能が“死”のみだなんて言ってないでしょう」
頭に血が昇る。
神経を集中させて火を放つ。
だが確かにそこにいるのに次の瞬間には逃げられる。
くそ…!!
後ろに気配を感じて火を放った。
笑い声を残してそこで火が燃え上がる。
背中を蹴られ前に吹っ飛ぶ。
ドアをぶち破ってある部屋の中に転がり込んだ。
顔を上げて固まる。
「なんだ…これ…」
よろしくお願いします!