EPISODE1 「大和、お前はこの世界でどうしているんだ?」
準備などは特にいらなかった。強いてあげるなら、服を着替えたくらいだ。
大和の家族へ何か言うべきかと思ったが、考えた末にやめておくことにした。無駄な心配をかけてしまう結果になるかもしれないからだ。
ストライプのシャツに、ジーンズとブーツ姿の夏樹は、公園で待っていたアイザックに準備ができたことを伝えた。
彼は頷くと、良く聞き取れなかったが、何かを呟き腕を空高く掲げた。
すると、驚くべきことに、扉が現れたのだ。
「これは異世界同士を繋ぐ扉です。何度も使える魔術ではありませんし、発動条件も色々とあって難しいのですが……とりあえずこの扉を通ればイシュタリアへ行くことができます。最後にもう一度聞かせてください、行きますか? イシュタリアへ?」
ここからは決して引き返すことができない。そう言われている気がした。
だが、もう答えはとっくに決まっていた。
「ああ、行くよ。よろしく頼む」
「わかりました、我が主。それでは扉を開きます、さあイシュタリアへ帰りましょう」
西洋風の“扉”が自然と開く、そして二人はゆっくりと“扉”を潜った。
そして――“扉”を潜り抜けて一番初めに見た光景は、今までの人生の中で最低で最悪な光景だった。
巨大な熊に狼を足してかければこうなるのか分からない獣が、人々を蹂躙していた。
「アイザック!」
……なんだ、これは。なんだこれは!
こんな世界に大和は連れて行かれたのか? こんな訳の分からない獣と、どこかで戦っているのか?
「夏樹様、これを!」
アイザックが渡して寄こしたのは、一本の剣だった。ただし、血に濡れてベトベトになっている。
正直、不快感が沸いてくるが、剣を渡された理由も分からなくはない。
「護身用にお持ちください! まさか、悪魔どもが街を攻めているとは……」
「悪魔? こいうのを魔獣とか言うんじゃないのか?」
「いいえ、魔獣とは我らにとって聖なる生き物です。悪魔というのは、このように、人を、魔族を、イシュタリアを害する生物です」
数対の悪魔に、街の人間だろう――数人が挑み掛かっては、なすすべもなくやり返されていた。
太い腕に鋭い爪を持つ悪魔が腕を一回振るうごとに、挑みかかった数人が凪ぎ飛ばされる。
避難は出来ているようだが、逃げ遅れた者もいたのか、血に塗れて倒れている者が二十人近くいる。生きているのか、死んでいるのかは夏樹には分からなかった。
ふと、倒れている一人が動くのが見えた。
「夏樹様!」
アイザックの声を無視して、無意識に走り出していた。
「大丈夫か? 生きてるか!」
怒鳴るような形になってしまったが、大きな声に少し驚いたように反応したのは、小さな女の子だった。本当なら可愛らしい笑顔が似合いそうな少女だが、どこかを怪我をしたのか、顔や腕、足から血を流して青い顔をしている。
「……お父さん、お母さん」
少女の呟きに、倒れている者の中に彼女の親がいないことを願った。
「大丈夫、俺が助けてやる。こんな馬鹿げたくだらないことから、すぐに助けてやるから。今みたいに泣いている顔じゃなくて、後でちゃんと可愛い笑顔を見せてくれよな」
少女がかすかに動いたのは気のせいだろうか?
周囲には幸い悪魔はいないので、動かさない方が良いと判断して、その場に寝かせる。
そして――夏樹は立ち上がり、血に塗れた剣を強く、強く握り締めた。
足が震える。
だが、これは恐怖でもない。武者震いなんかでもない。純粋な怒りだ。
あんなモノが存在しているこの世界に、そして容赦なく教われたであろう倒れている者のために、夏樹は怒りを覚え――咆哮した。
「うらぁあああああああああああああああッ!!」
一番近い、それでも数十メートルはある距離を走り、熊と狼を混ぜた悪魔を切りつけた。
だが、体毛が硬いのか、体自体が硬いのか、それとも自分の腕が悪いのか……それとも全部か、大した傷を負わせることができなかった。
思わず舌打ちしてしまう。
同時にアイザックの悲鳴のような声が聞こえるが、反応する間も無く悪魔の鋭い爪が振り下ろされる。
悪魔の体を蹴り飛ばして避けようとしたが、足を爪が切り裂く、地面を転がるという無様な結果となった。
だが、夏樹の怒りは、闘争心は微塵も無くなってはいない。
再び、剣を強く握り締めて、今度は切るのではなく、刺したのだった。狙ったのは悪魔の右目。
「やっぱりここなら効くか。異世界だろうが、喧嘩は目潰しや金的が効くのか?」
痛みのせいで叫ぶ悪魔の目からは赤い血が流れていた。
「お前も赤い血が流れてるのかよ……くだらねえ」
もう片方の目も刺すと、両手で顔を押さえたおかげでガラ空きになった胴体に、本気の蹴りを入れた。しかし、グラリと傾くだけで転ぶまではならなかった。
「だったら転ぶまで蹴ってやるよ!」
二度、三度、四度目の蹴り、ようやく巨体の悪魔が地面に仰向けとなって倒れる。
「体の表面は硬かったけどよ、口の中はどうだ?」
その言葉と同時に、夏樹は剣を悪魔の喉の奥に付き立てた。何度も、何度も、何度も。
悪魔がピクリとすることがなくなるまでやり続けた。
「はぁ、はぁ、はぁ……後、何匹だァ?」
「いいえ、もう片付きましたよ夏樹様」
横から先ほどの少女を抱えたアイザックが声を掛けた。
「驚きました。まさか、洗礼前に悪魔を倒されるとは……」
「洗礼? それよりもその子は!」
聞きなれない言葉だったが、それよりもアイザックの腕の中にいる少女の安否の方が気になった。
「大丈夫です、多少血は流していますが、命に別状はありません。残りの悪魔も数体いましたが、そちらも全て焼き払っておきました」
「俺が必死こいて一匹殺す間にね……俺は弱いな」
弱い、という言葉にアイザックは首を横に振った。
「いいえ、貴方は弱くありません。普通であれば、洗礼前――つまり魔族が力を得る前のことですが――その前に悪魔と戦おうとする者はいません。いても勝つことなど奇跡に近いのですから」
「なんだか、いきなり無茶やって奇跡的に勝ったように聞こえるのは気のせいか?」
「まぁ、実際そんな感じですね」
アイザックは軽く笑った。
「現在、救助隊が向かっています。そう時間は掛からないでしょう。私たちできることはもうありません。私自身、簡単な回復魔法というものは使えますが、地面に倒れている者は専門な術士に任せなければいけませんね。とはいえ、放っては置けないので、応急処置をします。夏樹様は彼女を」
そう言ってアイザックは少女を夏樹に渡した。つまり、ジッとしていろということだろう。
特に何か言うわけでもない夏樹にアイザックは微笑んで見せると、近くにある民家から包帯や水を運ぶと、一人一人応急処置を施していった。
そんな姿を見ながら夏樹は周囲を見回した。
イシュタリアについてすぐ悪魔が街を襲うという光景に出くわしてしまったのでどんな世界か見ている暇がなかったが、良くみて見ると文明のレベルでは地球の方が上だろう。
ここはどうやら街のはずれらしいが、なかなか大きな街だと思えた。
民家はすべて一九世紀あたりのヨーロッパという感じだろうか? 電気などがあるようにも見えなかった。
ふと、抱きかかえている少女に目をやる。呼吸は落ち着いていて、顔色も少し悪いが、素人の夏樹から見ても大丈夫そうだと思えた。
「大和、お前はこの世界でどうしているんだ?」
*
負傷者の応急処置を一通り終えたアイザックは、額に伝う汗を袖で拭うと先ほどのことを思い出し――身震いをした。
魔族が洗礼を受けずに悪魔と戦うのは、まずありえない。というよりもその発想ができない。時折、無謀な者がいるが、九割以上が命を落としてしまう。
人間の国にも悪魔は出没し人を襲うが、人間も戦う心得を持たないものが立ち向かうことはまずない。
だが、由良夏樹はそれをやってみせた。そして、悪魔を殺し、生き残った。
倒れている少女を見てキレてしまった夏樹の行動に当初は驚きを通り越して悲鳴を上げてしまったが、この結果は夏樹にとってとても有利に働くだろう。
“魔王候補”は“魔王”になるために、力を得て、資格を得て、民の信頼を得て、大きな試練や課題を受ける運命にある、と聞いている。その試練や課題というのは明確に与えられるものではないということも。
何が言いたいかというと、結局は“魔王候補”は多くの魔族に認められなければいけないのだ。
だからこそ、とアイザックは思ってしまう。今回の一件は、例え意図したものではなくても夏樹の将来を考えるととって良いことだった。
もちろん、街が襲われたことを考えると快くは思えない。
本来なら、水と木々が豊かなこの街を、観光を兼ねて見回って欲しかった。夏樹の暮らしていた地球の文明には劣るが、それでもイシュタリアが良い世界だと知ってほしかった。
だが、結果としては――いずれ知らなければならいとはいえ――良くないものから見せてしまう結果となってしまったことに後悔が生まれる。
「ふう、なかなか都合良くはいきませんね……」
つい、そう呟かずにはいられなかった。
どのくらい時間が経ったのだろうか? そろそろ、応援が来てもおかしくないとアイザックは思う。
この街――ストレイン――は王都から近い街の一つだ。馬を使えば一時間も掛からないとは思うが……。
「部隊を編成し、荷物、医療器具、最低限の食料を用意してとなると、そろそろかもう少し時間が掛かるかもしれませんね」
ため息を一つ吐くと、アイザックは気を失っている少女を大事に抱える夏樹へと近づいていった。
少女が目覚めないので死者の中に両親がいるかどうかはわからない。街の中心街へと非難して行った者たちへ悪魔は退治されたと伝えに行った者もいるので、願わくは少女の両親が無事に非難できていると良いと思う。
「夏樹様、大丈夫でしょうか?」
「……何がだよ?」
声にはどこか怒りが含まれていた。このような光景を見せてしまった自分に対するものかと思ったが、違うとすぐに分かった。
夏樹はアイザックにではなく、この理不尽な出来事に対して怒っているのだと。
そして多分、この世界にいる友人が何をしているか心配で、何も出できないでいる自分にも怒っているのだと、アイザックは感じた。
「俺は弱いな……この子が傷ついているのを見て、本気であの悪魔を殺してやろうと思ったんだ」
「はい、そして見事に退治なされました」
「でもお前は違う、俺が一匹を必死こいてやっとのことでどうにかした時には全部が終わってた。しかも、その後は応急処置までやってみせた。俺が出来たのはこの子を抱きかかえているだけだ」
さらりと少女の髪をなでる。
「ご不満ですか?」
「違う、不満とか、不満じゃないとかじゃない。俺は弱いってことを痛感させられただけだ」
そんなことはない、と言おうとしてアイザックはやめた。
きっと何の慰めにもならないと分かっていたからだ。誰にでも自分のできること、できないことが分からずに無力感にさいなまれる時がある。それを必ず乗り越えなければいけないという訳ではないが、むやみやたらに声を掛ければよいというものではない。
それに、夏樹は親友の身を案じてイシュタリアにやってきたのだ。今後のことを考えると、現状の力では足りないということを嫌というほど痛感させられたのだということも分かる。
「教えてくれ、大和はこっちの世界で何してるんだ?」
「私が知っている限りですが……召喚後は数人の仲間と共に、自身を鍛えつつ、国内に現れる悪魔を討伐されていると聞いています」
「そうか……じゃあ、アイツの方が今は俺よりも強いんだろうな」
夏樹は自嘲気味に笑った。
「そいうえば、この子の親はどうしたんだろうな? 街の中心街へ避難したみたいだけど、ちゃんとできているか分からないし。だからといって、こんな小さな子に死体の確認をさせるわけにはいかないしな……」
「そうですね。こればかりはご両親が生きていることを願って待つしかないですね……と、応援と非難した人たちがやってきました!」
「本当か!」
思わず大きな声を出してしまった。
同時に心から願う、せめてこの子の両親が避難できているようにと。
その時だった。一人の少女の名を大きな声で叫びながら走ってくる二人がいたのは。
多分夫婦だろう。必死に、あたりを見回している。そして、夏樹の腕に抱かれた少女を見つけると、涙を流して掛けてきた。
「ミリー!!」
駆け寄ってきた夫婦は、少女――ミリーに包帯が巻かれていることに顔を青くするが、夏樹が怪我をしたが命に別状はない。ただ、意識を失っているだけだと説明すると、青い顔をしつつもホッとしていた。
「ほら、アンタたちが抱いていてやんな。その方がこの子が喜ぶだろうから」
「は、はい! ありがとうございます!」
涙を流しながらミリーを受け取る母親。
どうやら、悪魔が現れたパニックの中避難したのは良いが、途中、あまりにもの混乱で握っていて手が離れてしまったらしい。
その話を聞いて、仕方がないと思う。もしも、これが自分の身が可愛くて娘を置いて逃げたのだったら、五、六発殴ってやろうかと思っていた。
「じゃあ、今度は絶対に手を離さないでやってくれ。この子は意識を失う寸前にアンタたちのことを呼んだんだから」
「はい……はい!」
涙を流して必死に返事をする両親を見て、少し羨ましいと思った。
夏樹が世話になっていた家では、決して自分はここまで心配されないだろう。むしろ、死んで初めて感謝されるかもしれないと自嘲気味に思う。
そんなくだらないことを考えながら、夏樹は応援部隊と話をするアイザックの元へと向かった。
*
――少々困ったことになりました。
アイザックは内心ため息を吐いていた。
応援が来てくれたことは素直に助かる。アイザック自身、夏樹をイシュタリアに連れてきてすぐにこの様な危険な目に合わせるとは思いもしなかったからだ。事態の収集を待って、一緒に王都へ向かえば危険は減るだろうと思って期待していたのだが。
(まさか、応援を率いて来たのが“魔王候補”だとは思いもしませんでした)
夏樹はあくまでも“魔王候補”なのだ。当たり前な話になってしまうが、候補が別にいてもおかしくはない。
それどころか、候補は以外と多い。有力視されている者からされていない者まで。選ばれた者から自身で名乗り出た者などと、本当に色々である。
これらに関しては後に語ることになるのだが、問題は目の前の――少女にあった。
「む? どうしたのだ、アイザック殿?」
「いえ、何でもありません、アシュリー殿。我が主のことを少々考えていただけです」
アイザックの「我が主」という言葉にピクリと反応するアシュリー。
彼女はアシュリー・カドリーという“魔王候補”の一人だ。まだ一八歳と若いが、才能を持ち、実力もある。才能の上に胡坐をかくこともなく、努力を怠らない“魔王候補”として人気が高い。
また。少し冷たい印象を与えるが、それでも美しく、癖のない亜麻色の髪を伸ばし一つに結っている。そんな彼女が悪魔を退治する姿は民から見るとさらに美しく見えるらしく『戦乙女』の二つ名で呼ばれてもいる。
しかしながら、幼い頃から“魔王候補”として厳しく育てられたせいか、自分こそが次期“魔王”に相応しいと、やや性格に難があることをアイザックは知っている。そして、そんな難のある性格ゆえに、硬い一面を持ち、友人も少ないと聞いている。
「アイザック殿の主というのは、十数年前の“例の一件”で異世界へと迷われたというウィンチェスター家の?」
「はい、アシュリー殿と同じく“魔王候補”の一人でもあります」
「そうか……それで、そのウィンチェスター家の“魔王候補”殿は何処に?」
「先ほど保護した少女の親を探すと言ってしましたので、そちらをしているかと」
正直、アシュリーと夏樹を会わせるのはどうかと思う。
だが、そんなことを知ってか知らずか、夏樹は丁度良過ぎるタイミングでこちらにやってきてしまった。
「アイザック! あの子の両親、無事に見つかったぞ! いや、マジで良かったな」
「それは! 本当に良かったです」
「ああ、でさ、結局、亡くなった人は何人になったんだ?」
アイザックが答えようとしたが、間に割り込む用にアシュリーが答える。
「犠牲者は一四名だ。負傷者はもっと多い、重傷者が一五名、軽症者は三八名になる」
「そっか、あの熊野郎……今度見つけたら根絶やしにしてやる」
物騒なことを言う夏樹に、首を傾げるアシュリー。
「熊野郎とはなんだ?」
「ベアウルフのことです。夏樹様はまだこちらの世界へ来て数時間ですので」
アイザックが夏樹の代わりに答える。もっとも、彼としてはあまりアシュリーと夏樹を関わらせたくないので必死だ。
「そうか、数時間で悪魔の名前など知る由もないな。ところで、一つ確認したいことがあるのだが?」
「なんでしょうか?」
「洗礼を受けていないアイザック殿の主がベアウルフを剣一本で倒したというのは本当だろうか?」
どうやら負傷者から聞いたようだった。
とはいえ、恥ずべきことではない。これで殺されでもしていれば無謀だと失笑されていたかもしれないが、夏樹はベアウルフに勝っている。それは誇って良いことだが、伝え方によってはアシュリーにライバル意識を無駄に持たしてしまうかもしれない。
さて、どう答えれば良いか……と、思案していると話しについて来れずにいた夏樹がこれまたあっさりと答えてしまった。
「ああ、倒したぜ。正直、アイザックが何匹も倒す間に、無我夢中で一匹倒したのが限界だった……情け無い限りだよ」
――夏樹様ー!
心の中で大絶叫するアイザック。アイザック自身、何度も夏樹に言ったことだが、洗礼前という力を持たない魔族が悪魔に立ち向かう自体が無謀なのだ。無論、時にはこの街の負傷者のように戦う力がなくても戦わねばならない状況もあるかもしれないが。
少なくとも、ベアウルフを一匹、しかも剣一本で倒したとあれば誇ってよいのだ。
それを情け無いと言うだなんて……アシュリーがどんな反応をするか恐る恐る待っていたアイザックだったが、意外なことにアシュリーは夏樹の肩に軽く手を置くと気づかう言葉を掛けたのだった。
「いや、情け無いことはない。洗礼前の魔族がベアウルフを剣一本で倒した自体が快挙だ。きっと、犠牲となった者たちも貴方を情け無いとは言わないだろう」
「そうかな、そうだといいけどな」
ホッとするアイザック。
「そういえば、まだ名乗っていなかったな。私はアシュリー・カドリー。君と同じ“魔王候補”の一人だ」
そう言って、手を差し出してくる。夏樹はその手を握ると自身も名乗った。
「俺は、由良夏樹。“魔王候補”らしい、まだ実感もなにもないけどな」
「まだこちらの世界へ帰還して数時間と聞いた、それならば仕方がないが、いずれはしっかりと自覚を持ってもらいたい。では、私は今後の指示をするので、失礼させていただく。アイザック殿と共に、向こうに設置したテントで体を休めると良い」
それだけ言うと、夏樹たちに背を向けて部下たちに指示を出し始めた。
「せっかくなので、テントで休ませていただきましょう。この一件が一通り片付けば、この部隊と一緒に王都へ向かうことができますので。夏樹様自身もしっかりと治療をして、血で汚れた体を綺麗にした方が良いかとおもいますので」
応急処置的なことはしてあるが、しっかりとした治療ができるならしてもらった方が良いだろうと考えた夏樹は、素直にアイザックと共に設置されたテントへ向かった。
新しい登場人物の登場です。
ペース良く投稿できれば良いなと思っています。
ご意見、ご感想、アドバイス、ご評価等よろしくお願いします。