第85話「青空の饗宴、あるいは融和のバインミー」
「パンに祝福を! 見て、この最高の青空! 今日はスタジオを飛び出して、みんなでピクニックに来たわよ!」
画面に映るのは、陽光を浴びて輝く緑の公園。ココ、ゆん、そして大きなバスケットを抱えたにゃんが、あかり様の後ろでシートを広げています。
「今夜……じゃなくて、今日の救済パンはこれ、『バインミー』! フランスパンの技術と、アジアの具材が融合した最高のパンよ。外はカリッと、中はふわっとした軽い生地に、なますやパクチー、レバーペーストをたっぷり挟んで……。そう、違うもの同士が認め合い、一つになる『融和』の象徴なの!」
あかり様たちは、その場で手際よくバインミーを作り始めました。
「ココ、なますはもっとたっぷり! ゆん、パクチーの香りを風に乗せて! にゃん、パンくずが芝生に落ちる前に……って、もう拾ってるわね」 「当然です、あかり様。大自然の緑をパンくずで汚すわけにはいきません」
漂い始めたナンプラーと焼き立てパンの香りに、公園にいた子供たちが一人、また一人と吸い寄せられてきました。
「……お姉ちゃん、それ、パン?」 「そうよ、救済のパン『バインミー』よ。食べてみる?」
あかり様が優しく微笑み、特製のバインミーを差し出しました。子供が一口頬張り、「おいしい!」と顔を輝かせた瞬間、奇跡が起きました。それを見ていた親御さんたちや散歩中の人々が、吸い寄せられるように集まってきたのです。
「あら、美味しそうね」「私たちも頂けるかしら?」 「ええ、もちろん! パン教はすべての人に開かれているわ! にゃん、在庫を全部出しなさい! ここを即席の聖なるパン工房にするわよ!」
『急展開www』 『公園が一瞬でパン教の炊き出し会場になった』 『あかり様、子供相手だとマジで聖母』 『にゃん監督の指先が、もはや分身してバインミー作ってるんだが』
いつの間にか公園の中央には長蛇の列ができ、あかり様たちは休む間もなくパンを振る舞い続けました。教徒も、そうでない人も、みんなが同じバインミーを頬張り、笑顔が波紋のように広がっていきます。
「見て、これこそが私の求めていた『純粋な世界』の一つ。パンを通じて、見知らぬ人同士が家族になれる……。なんて素敵な光景かしら!」
その熱狂の最中、チャット欄には再び「あのコメント」が流れます。
『うほっ』 『また来た! 現場にいるのか? 現場に「うほっ」がいるのか!?』
「はぁ……みんなの笑顔でお腹いっぱいね! 明日も、あなたというパンに豊かな発酵があらんことを。――パンに祝福を!!」
最後は、公園の全員で「パンに祝福を!」と叫ぶ大合唱で配信は終了しました。




