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第52話「不屈の衣、あるいは戦場の揚げ物」

「あああああ! またやられたぁ! 待って、どこから撃たれたの!? 助けてココー!」


スタジオに、あかりの絶叫が響き渡ります。画面上では、敵の伏兵に気づかず平原を真っ直ぐ走っていたあかりのアバターが、あっけなく撃ち倒されて四つん這いで這いずり回っていました。


「あかりちゃん、落ち着いてください。遮蔽物もない平地をフライパン一本で駆け抜けるのは無謀すぎます……今、煙幕を張って救助しますね」


ココマルが冷静な操作でスモークを焚き、敵の射線を切りながら、あかりの元へ滑り込んで蘇生させます。これで本日20回目の救助。あかりがダウンするたびに、ココマルが「はいはい、今直しますからね」と聖母のような手際で助け出すのがもはや様式美となっていました。


「あかり様、ショットガンの間合いに丸腰で突っ込むのはただの『デリバリー救済』だって! おれが横からアサルトで削るまで、勝手に詰めないで!」


ゆんが必死に援護射撃をしますが、復活したあかりは「今度こそ仕返ししてやる!」と叫びながら、再び銃声のする方へ猛ダッシュ。そして数秒後、再び「見つかったー!」という悲鳴が重なる……。そんな序盤戦、パン教チームの順位は万年最下位でした。


「……ダメだわ。完全に、エネルギー切れ。勝負に『カツ』を入れなきゃやってられないわ!」


あかりがコントローラーを置き、差し出したのは分厚い肉が挟まった**『カツサンド』**でした。


「見て、この圧倒的な存在感! サクッとした衣の中には、溢れんばかりの肉汁が閉じ込められているの。ソースが染みたパンが、その全てを優しく、力強く受け止めている……。これぞ戦士の糧! 今夜の救済は、この『カツサンド』よ!」


三人がカツサンドを頬張ります。 ──サクッ、じゅわぁ……。


「……力が、みなぎってくる! この肉の弾力は、どんな弾丸も跳ね返す盾になるわ!」 「あかりちゃん、口の周りにソースが。……でも、確かにこれを食べると、なんだか不思議な勇気が湧いてきますね。エイムも安定しそうです」 「よし、これならいける。最後の一回、本気で生き残りましょう!」


カツの魔力でブーストがかかった最終戦。あかりの猪突猛進は相変わらずでしたが、カツサンドパワーで奇跡的な回避を連発! ココマルが完璧なタイミングで回復アイテムを投げ、ゆんが的確に敵を仕留めていきます。


「見て! ついに最後の2チーム! 敵はあの丘の上よ!」


あかりが興奮して叫び、グレネードを構えて敵の拠点へ飛び込みます。 「いっけええええ! パン教の怒りを知れえええ!」


しかし。 興奮しすぎて投げたグレネードが、目の前の木に当たって跳ね返り、自分の足元に。 「あ……」 ドォォォォン!!


爆風に巻き込まれたあかりを助けようと、ココマルとゆんも遮蔽物から飛び出しますが、そこを敵チームに狙い撃たれて全滅。画面には無情にも『2位』の文字が。


「……あはは。やっぱり私、突っ込みすぎたかな?」 「あかりちゃん、最後の自爆は……ちょっとだけ、早すぎたかもしれませんね」 「……まあ、カツサンドのおかげでここまで来れたんだし、今日は良しとしようぜ。次は自爆しないパンを持ってくるか」


最後は惜しくも敗北しましたが、コメント欄は「あかり様の特攻精神に救済w」「ココ様、蘇生早すぎてもはや職人」「カツサンド食べたくなった」と大盛り上がり。


「負けちゃったけど、お腹はいっぱいだから満足! 皆さんも、負けられない戦いの前には、このカツサンドで救済されてね! それじゃあ……パンに祝福を!!」

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