表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/30

第30話「第三回 聖パン大ミサ ~黄金の翼と結束の聖餐~」

配信画面に映し出されたのは、かつてないほど濃密な小麦色の光に満ちた、壮麗な大聖堂。パイプオルガンの重厚な響きが止み、厳かな静寂があたりを支配します。中央に立つあかりの隣には、メロンパンの冠を戴いた大司教ゆんが、聖なる杖を携え、凛とした佇まいで並んでいます。


「……時は、満ちました。黄金の夜明けをさらに先へと進める、親愛なる全教徒の皆さん」


あかりの声は、凛としていながらも、内側から溢れ出す歓喜を抑えきれない様子で響きました。


「今夜、私は震えるほどの喜びに満たされています。わが教団の福音は、すでに私一人の手を超え、皆さんの熱き魂によって独り歩きを始めています。私の知らないところでパンの素晴らしさを説き、美味しいパンの情報を交換し合う……。自ら動き、広めるその姿こそが、真のパン教徒のあるべき姿です!」


あかりは頬を紅潮させ、感極まった様子で語りかけます。


「この熱狂を、より確固たる組織へと変えましょう。……提案します。自発的に布教を先導する精鋭たちへ、特別な役職を授けたいのです。共に役職名を決め、厳格な面接を経て、わが教団の『翼』……すなわち『エリートパン』となる者を選別しましょう。……ふふ、あははは! 世界がパンの香りで埋め尽くされる日が、すぐそこまで来ているわ!」


あかりの歓喜に呼応するように、ゆんが一歩前に出ます。


「……みんなが頑張っていること、おれもあかりさんも知ってるよ。だから、もっと特別な場所を用意する。みんな、準備はいい? 手元にあるパンを掲げて!」


あかりとゆんが、巨大な聖なるカンパーニュを共に掲げました。


聖餐せいさんの儀を執り行います。……わたしたちの血となり、肉となり、結束の絆となるパンを、今、同時に。……いただきます」


あかりの合図と共に、全教徒が一斉にパンを口に運びました。


──パリッ、ミシィッ……!


数百万の場所で、同時に響いたカンパーニュの力強い皮の弾ける音。それは個々の信徒が、教団という巨大な一つの「生地」へと混ざり合う、結束の音でした。


「……聴こえますか。この力強い響きは、私たちが何よりも強い絆で結ばれた、神聖な音です。……次回の配信から、志願者たちの面接を開始しましょう。パンへの愛を涙ながらに語り、その魂を黄金色に染め上げた者だけを、私は待っています」


配信の最後、あかりとゆんがバゲットの杖を交差させると、画面いっぱいに黄金色の粉が舞い、チャット欄は「パンに祝福を!」「エリートパンになりたい!」という誓いの言葉で、かつてない熱狂を見せました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ