表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/44

第5話 当日の朝!

 事件当日の朝、俺は目覚めるとすぐにこう小声で言った。


「……ステータス・オープン」



【ステータス◆ベルベッチア・ラーグ】


<プレイヤーレベル1(前回レベル1)>


基本体力:21/21 (前回数値20)


剣術技量:15(15)


胆力:19(15)


運:5(1)


魔力総量:92/92(90)


火属性魔術:ランクF


水属性魔術:ランクF


氷属性魔術:ランクF


雷属性魔術:ランクF


風属性魔術:ランクF


地属性魔術:ランクF


樹属性魔術:ランクF


闇属性魔術:ランクA



 おおっ! 体力、胆力、魔力が微妙に上がってる!


 そうなのだ!


 この『サーザント英雄伝』ではプレイヤーレベルが上がらなくても、他の数値が微増することがあるのだ。


 そのせいで大抵のこのゲームのプレイヤー達は、この微増した数値を見ようと頻繁に「ステータス・オープン」と叫んでしまうのである。


 いや、でも、ゲームをやってた時より何倍もうれしいかも!


 なんか自分の成長が数値で見られるのっていいよな!


 そんなことを俺が思っていると、突然俺の部屋のドアを誰かがノックする音が聞こえてきたのだった。


「誰だっ?」


 俺が少し驚いてそう問うと、ドアの向こうからこんな声が聞こえてきた。


「アナシア・ダッシェンウルフでございます。ベルベお坊っちゃま、朝食の準備が整いましたのでお運びしてよろしいでしょうか?」


 どういうわけだ?


 なぜ()()()がメイドのようなことをしている?


 そんなふうに俺が怪しんでいると、それを察したのか女家庭教師、アナシア・ダッシェンウルフがドアの向こうからこんなことを言ってきたのだ。


「メイドのみなさんは、ベルベお坊っちゃまの誕生日パーティーの準備で忙しいようでして……ですので今日はわたくしが朝食のお手伝いをさせていただきます!」


 そんなことを言って、母より先に俺を毒殺するつもりじゃないだろうな?


 一瞬そんなあり得ないことを考えてしまったのは、俺がすでに神経質になってしまっているからに違いなかった。


 落ち着け!


 落ち着けっ!


 あの女になにも悟らせないためにも、これまで通りの愚かで怠惰な貴族のバカ息子を演じなければ。


「そうか! そうか! では、入っていいぞ! グヘヘヘヘ!」


 そう俺が言うと、3段式の配膳カートを押しながらアナシア・ダッシェンウルフが部屋に入ってきた。


 燃えるような赤いロングウェービーヘアに紅い瞳の超がつくほどの美人!


 細身のモデル体型とは不釣り合いな豊満すぎる胸が赤いビスチェワンピースでさらに強調されている!


 さすがに朝から刺激が強すぎる!


「ベルベお坊っちゃま! わたくしが食べさせて差し上げてもよろしいですか?」


「グヘヘヘヘ! よいぞ! よいぞ! 近こう寄れ! 近こう寄れ!」


 これではまるで悪代官ではないか!


 しかし、愚かさを全面に出して、俺が今夜の殺人計画を阻止しようとしているとは絶対に悟られないようにしなくては!


「では、あーんしてくれるか?」


「ベルベお坊っちゃま、あーんとはなんでございますか?」


「グヘヘヘヘ! あーんも知らんのか! あーんとは、俺が口を開けてお前がその口に食べ物をよきタイミングで入れていく共同作業のことだ! アナシア、お前は、このタイミングを間違えて地下の牢獄送りになったメイドが今まで何人いたか知っているか?」


「知りません」


「そうか、ならば教えてやろう! 8人だ! ……アナシア、9人目にならぬようにタイミングには注意するのだぞ! メイドと違って家庭教師はお前一人しかいないのだからな! グヘヘヘヘ!」


 もちろんどんなタイミングで食べ物を口に放り込んできても地下の牢獄送りにする気はなかったのだが、アナシア・ダッシェンウルフのそのタイミングはほぼ完璧だった。


 恐ろしい女だ。


 それに、その燃えるような紅い瞳で見つめられると、やはりどうしてもドキドキしてしまう。

 

 でも、そのことを悟られないように愚かで怠惰な貴族のバカ息子を俺はどうにか最後まで演じきることができた。


「それでは、失礼いたします! ベルベお坊っちゃま!」


 そう言って、3段式の配膳カートを押しながらアナシア・ダッシェンウルフが部屋を出ていくと、俺はすぐにこう唱えてみた。


「ステータス・オープン」



【ステータス◆ベルベッチア・ラーグ】


<プレイヤーレベル1(前回レベル1)>


基本体力:15/21 (前回数値21)


剣術技量:15(15)


胆力:20(19)


運:5(5)


魔力総量:92/92(92)



 基本体力の数値が朝食を食べただけなのに6も減ってるじゃねぇか!


 でも、胆力が1微増してる!


 よかった! 魔力総量は満タンのままだ!


 あれ? さっきは見逃したけど、運が1から5に上がってる!


 これはもしかしていい兆しなのか?




 ──ラーグ侯爵夫人殺人事件発生まで、あと12時間39分19秒。



感想、評価、ブクマを付けてくださった方々本当にありがとうございますm(_ _)m


ご期待に添えるように全力で大長編目指して頑張ります!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ