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第4話 はじめての魔物!

 闇長剣ダーク・ロングソードが消え去ったのは魔力を使い果たしてしまったからではないかと思った俺は、目覚めてすぐに自分のステータスを確認した。


「ステータス・オープン!」



【ステータス◆ベルベッチア・ラーグ】


<プレイヤーレベル1>


基本体力:20/20 (前回数値20)


剣術技量:15(15)


胆力:15(15)


運:1(1)


魔力総量:90/90(90)



 よかった!


 魔力総量が満タンになってる!


 魔力を使い果たしたわけじゃなかったんだ!


 じゃあ、なんで闇長剣ダーク・ロングソードは消えたんだ?


 やっぱり、魔力を使い果たしたから闇長剣ダーク・ロングソードは消えて、それから眠ったから魔力が回復しただけなのかも!


 まあ、なんにしても、また消えてくれなくなったら困るから、もう明日の誕生日パーティーまで闇長剣ダーク・ロングソードは出現させない方がいいか?


 いや、まだ丸一日以上時間はあるんだから、やっぱり闇長剣ダーク・ロングソードの実力をちゃんと知っておくべきだろう!


 それに実は闇長剣ダーク・ロングソードは俺の元から完全に消えてしまって、すでに他の使用者の元へ行ってしまっているという可能性だってないわけではないのだから。


 確実にまだ俺が闇長剣ダーク・ロングソードの使用者であることはちゃんと確認しておかなければ!


 明日は絶対に失敗できないのだから。


闇長剣ダーク・ロングソード!」


 そう唱えると、すぐに闇長剣ダーク・ロングソードは俺の手の中に出現してくれた。


 よかった!


 まだ俺の元から離れてはいなかった!


 あとは、どうやってこれを消すかだ!


 明日の夜7時まで消えなかったらアウトだからな! 


 まさかこの灰色の長剣を握ったまま誕生日パーティーに出席するわけにはいかないし、かと言って、自室に置いておいて、いざと時に取りに行くというのもあまりに不便すぎる。


 やはり、今日一日で消したり出現させたりを自在にできるようにならなければ話にならないだろう。


 そんなことを考えて俺が一番最初に試した方法がこれだった。


「消えろ!」


 そう叫ぶと、なんとあっさりと闇長剣ダーク・ロングソードは消えてくれたのである。


 やった!


 なんで昨日はこれが思いつかなかったんだ?


 じゃあ、次は消えろと心の中で強く念じてみるか。


 俺はまた闇長剣ダーク・ロングソードを出現させて、消えろと心の中で叫んでみた。


 すると、またしても闇長剣ダーク・ロングソードはあっさりと消えてくれたのだった。


 よし! 


 これで自在に闇長剣ダーク・ロングソードを出現させたり消したりできるようになったぞ!


 あとは、この闇長剣ダーク・ロングソードの威力を試してみないとな!



「魔物と戦闘をして剣術の腕を磨きたい? ベルベお坊っちゃま、一体どうされたのですか? そんな勤勉なことをおっしゃるなんて! まるで人が変わってしまったようですよ。……まさか、頭を強く打たれたのでは?」


 筆頭執事のエドワー・ヤースに相談したら、そう言って怪しまれてしまった。


 まずいな!


 少なくともあの最初にして最大の破滅フラグをぶち壊すまでは、()()()を油断させるためにも愚かで怠惰な貴族のバカ息子をちゃんと演じなければ!


「グヘヘヘヘッ! 剣術の腕を磨きたいなんて嘘に決まっているだろう! 弱い魔物をなぶり殺しにして俺はストレスを発散したいのだ! それにおあつらえ向きの弱い魔物にはどこに行けば遭遇できる? さっさと答えよ! エドワー!」


 俺がそう言うと、筆頭執事エドワー・ヤースは安心した顔になってこう答えたのだった。


「それでこそベルベお坊っちゃまです! ……そうですね、このラーグ城のすぐ近くにある惑いの紫の草原に行かれてはどうでしょうか? あそこならストレス発散にうってつけな弱い魔物が出現するはずですよ! ベルベお坊っちゃまさえよろしければ、このエドワーもお供しましょうか?」


「よい! 一人で行く! 惑いの紫の草原だな! わかった!」


 なんか名前が怪しいなとは感じていたのだが、それに気づかないのが愚かで怠惰なベルベッチア・ラーグだろうと思い、敢えてそのことは訊かないでおいた。





          ◇





 惑いの紫の草原にはすぐに着くことができた。


 だが、魔物がなかなか出てきてくれない。


 辺りが薄暗くなるまで3時間近く粘ったのだが、それでも一体の魔物も現れなかった。


 あのクソ執事!


 騙しやがったな!


 そう思ったその時だった。


 紫の草原から、一体の赤黒い体のゴブリンが現れたのは!


「うわっ!」


 と、初めて魔物と遭遇して思わず俺が叫び声を上げてしまうと、その赤黒い体のゴブリンは俺をザコと判断したのかニヤリと不気味な笑みを浮かべて、いきなり短剣を手に襲いかかってきたのだった。


闇長剣ダーク・ロングソード!」


 俺は初めての戦闘に動揺しつつもそう叫んで灰色の長剣を出現させ、両手で握って中段の構えでその赤黒い体のゴブリンに相対した。


 すると、その赤黒い体のゴブリンは俺にというよりも明らかに闇長剣ダーク・ロングソードにビビって一目散に逃げ出してしまったのである。


 ちくしょう! なんだよ! せっかくこの灰色の長剣の力を試せると思ったのに!


 半分ホッとしながらも俺はそう思って唇を噛んだ。


 結局、さらに2時間近く粘ったのだが、その赤黒いゴブリン以外に魔物は一体も現れなかったので、結局俺はその日、闇長剣ダーク・ロングソードの力を試すことができなかったのだった。


 でも、あの赤黒い体のゴブリンの恐怖に歪んだ表情から、この灰色の長剣が相当すごい力を宿していることは容易く想像することができた。


 これはもう明日の本番一発勝負に賭けるしかないみたいだな。


 俺はそう覚悟を決めて、すっかり暗くなってしまった惑いの紫の草原を後にしたのだった。



──ラーグ侯爵夫人殺人事件発生まで、あと24時間19分25秒。



感想、評価、ブクマを付けてくださった方々本当にありがとうございますm(_ _)m


ご期待に添えるように全力で大長編目指して頑張ります!!

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