第38話 ノア皇子からの返事!
俺が魔術書簡を送った同じ日の昼前には、ノア・ハジャルツ第一 皇子の返事が手元に届いた。
『親愛なる書簡友達
ベルベッチア・ラーグ様
まさか君から先に魔術書簡を送ってくれるとは思ってもいなかったので驚きました。
でも、もっと驚いたのはその内容でした。
実は、私も随分前から15歳になったらサーザント英雄学園に入学しようと決めていたのです。
私のその決意を君が知っていたとは思えませんが、それでも心が通じ合っているみたいでうれしくなりました。
我がハジャルツ帝国にも剣術と魔術が学べる学校はいくつかありますが、サーザント英雄学園は剣術と魔術を学ぼうとする誰もが憧れる世界一の学校です。
ですが、君も知っての通り、我がハジャルツ帝国とサーザント王国は過去に多くの因縁を持つ少々複雑の間柄です。
なので、私は自分の希望の進路を実現するために父を説得しなければならないのです。
そのために、どのような言葉が有効なのか日々考えていたのですが、君の手紙を読んで大切なことに気づかされました。
言葉も重要ですが、それ以上に日々の行動が重要なのだと!
私はこの一年の行動で父を納得させてみようと思います。
それが、もしうまくいけば君と一緒に飛び級でサーザント英雄学園に入学できるかもしれません。
確約はできませんが、お互い頑張りましょう!
では、一年後、驚くほど成長した君に会えるのを楽しみにしています!
もちろん私も驚くほど成長した姿を君に見せられるように頑張ります!
君の書簡友達
ノア・ハジャルツより』
俺は、原作ゲームのヒロインの一人であるノア・ハジャルツ第一皇子が、今の時点ですでにサーザント英雄学園に入学したいと思っていると予想してあの手紙を書いたわけだが、言うまでもなく原作ゲーム本編で俺と彼女がサーザント英雄学園に入学するのは15歳になってからだった。
つまりは、今から一年後、11歳で俺達が英雄学園に入学した場合、そこには原作ゲームに登場する5人の主人公も、彼女以外のヒロインもいない可能性がかなり高いわけだ。
もしかしたら、俺とノア・ハジャルツ第一 皇子の行動によってシナリオが改変されて、5人の主人公と彼女以外のヒロインも11歳で英雄学園に入学してくるという可能性もないとは言えないが、その確率はかなり低いような気がする。
5人の主人公はみんな凄腕だし、彼女以外のヒロインもみんな優秀で魅力的だから、彼らが全員いないとなるとその年の英雄学園の新入生のレベルはかなり下がってしまうかもしれない。
それは俺自身の成長のためにも、できれば避けたい。
それでも、俺は15歳になるまで待ってなどいられないのだから、奇跡を信じて、もしその奇跡が起こらなければ彼らのことは諦めざるを得ないだろう。
だって俺は、一年でも早くサーザント英雄学園に入学して剣術と魔術の腕を鍛えまくって、あの魔王にも対抗できる力を手に入れて、セルスナ・ラーグを必ず救い出さなければいけないのだから!
正直言えば、今すぐにでもサーザント英雄学園に入学したいくらいだったが、そんなことは不可能だということはよくわかっていた。
確かにこの魔眼があれば、たくさんの魔術や剣技を短時間で効率よく習得することは可能だろう。
しかし、魔術はともかく、剣術に関しては技を多く覚えることも確かに重要なことなのだが、それよりも一つひとつの技の習熟度を上げていくことや、素振りなどの基礎鍛練を繰り返すことの方がより重要なのだ。
つまりは、いくら魔眼を持っていても、剣術に関してはコツコツと毎日鍛練していくしかないのである。
でも、きっとそうすることで闇長剣は、俺の成長に呼応して世界最強の剣に近づいていくはずなのだ。
感想、評価、ブクマを付けてくださった方々本当にありがとうございますm(_ _)m
ご期待に添えるように全力で大長編目指して頑張ります!!




