表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/44

第32話 惑いの紫の草原での実践訓練!

「お願いします、セルスナ兄さん! 俺の剣術の師匠になってください!」


 俺がそう言うと、セルスナ・ラーグは満面の笑みを浮かべてこう返してくれたのである。


「よし! じゃあ、食事を済ませたらすぐに惑いの紫の草原に行こう! まずは実戦訓練だ!」


 



          ◇





 惑いの紫の草原に来るのは、俺にとっては初めての魔物である赤黒い体のゴブリンを目撃したあの日以来だった。


「前に来た時は、3時間近く粘ったのに1体の魔物も現れなかったんですよ。それでさらに粘ったらやっと赤黒い体のゴブリンが現れて──」


「倒したのか? その赤ゴブリンを?」


「いえ、闇長剣ダーク・ロングソードを出現させたら逃げられちゃいました」


「……なんだよ! 最悪じゃないか!」


「そう! 最悪だったんですよ! せっかくいっぱい粘ってやっと現れたっていうのに逃げやがって! ほんと最悪ですよ、あのゴブリンは!」


「いや、最悪なのはお前だよ、ベルベ!」


「どうしてですか?」


「どうしてって、赤ゴブリンといえば全魔物の中でも最弱の部類に入る魔物なんだぞ! そんな魔物に自分の強さを悟られるなんて冒険者だったら即失格、パーティー追放だ!」


「パーティー追放?」


「そうだよ! 冒険者ってのは討伐の依頼を受けた魔物を倒して報酬を貰ったり、魔物が落としたドロップアイテムを金に換えたりして生活してるんだ! それなのに戦う前から魔物に逃げられたらおまんまが食べられないじゃないか! まったく、そんなこともわからないから貴族出身の冒険者は他のやつらに舐められるんだよ!」


 確かに俺はサーザント英雄学園を卒業したら冒険者になるつもり(それが原作ゲーム『サーザント英雄伝』の第2章なのだ!)だから、魔物に逃げられてしまうのは致命的な欠点なのかもしれない。


「……じゃあ、どうすれば?」


「どうせ赤ゴブリンの前で、ドヤ顔で闇長剣ダーク・ロングソードを出現させたりしたんだろう? そうじゃなくて、最初から出しておくとかしとかなきゃ駄目なんだよ! それか、ああ、これはつまらない剣ですからっていうような自信なさげな表情で出すとかさ。……ああ、もう面倒くさいからしばらくは闇長剣ダーク・ロングソード出すの禁止な!」


「ええっ!」


「ほら、俺が持ってきた決闘場で使うこのなんの変哲もない長剣を貸してやるから、これで魔物と戦ってみろ!」


「でも、それじゃあ、セルスナ兄さんの武器は?」


「オレはいいんだよ。戦わないから! おっ! そんなことを言ってたら、赤ゴブリンが現れたぞ! ベルベ! リベンジだ! リベンジ!」


 余裕綽々の表情で腕を組んでセルスナ・ラーグが俺にそう指示してくるので、俺は仕方なくそのなんの変哲もない長剣を受け取り、その赤ゴブリンに向かって構えたのだった。


感想、評価、ブクマを付けてくださった方々本当にありがとうございますm(_ _)m


ご期待に添えるように全力で大長編目指して頑張ります!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ