第19話 油断ならない男!【リーザ視点】
ベルベッチア・ラーグは愚かで怠け者のバカ息子だと聞いていたけど、全然そんなことはなかった。
それどころか対面しているだけで冷や汗が出てくるような油断ならない男だった。
金色と銀色のオッドアイなんて初めて見たけど、正直美しいと思ってしまった。
あの瞳には何かすごい力が宿っているのかもしれない。
それがなんなのか聞き出してやりたかったけど、まだ信用されていない状態で焦ってそんな質問をしたら怪しまれるに決まっている。
本当に噂なんで当てにならない。
あんなに鋭く冷徹な男に、わたしはこれまで会ったことがなかった。
時間操作の時属性魔術能力を持っていることを黙っておきたくて、5回も憑依時間旅行であの男との初対面の場面をやり直したけど、時間操作の時属性魔術能力を明かさなかった4回は冷徹に早期のクビを宣告されてしまった。
だから、最後の1回は時間操作の時属性魔術能力について正直に話すしかなかった。
すでに、筆頭執事エドワー・ヤースとの面談をクリアするために憑依時間旅行の時属性魔術能力を5回も使ってしまっていたから、1日10回という上限を越えてしまう前に正直に話すしかなかったのだ。
それでも奥の手として憑依時間旅行の時属性魔術能力は秘密にすることができた。
あの男を相手に秘密にできたことは、今日の最大の収穫といっていいだろう。
それにしても、なぜわたしは生涯に100回しか時間操作の時属性魔術能力を使えないことまで白状してしまったのだろう。
さらにはその全てをあの男のために使うと約束までしてしまった!
なぜかあの金色と銀色のオッドアイに見つめられると、言わなくてもいいはずの真実を口にし、しなくてもいい約束までついしてしまうのだ。
本当に油断ならない男!
でも、わたしと同じ年の同じ日に生まれたあの男が祝福者に選ばれたことで、わたしの父の命は助かったのだ。
そういう意味では、確かにあのベルベッチア・ラーグは私の恩人でもあるのだから、約束通り全ての時間操作の時属性魔術能力をあいつのために使ってやったっていい。
それで、あの男がわたしのことを信用してくれるなら。
完全に信用させたら、今度はわたしがあの男を利用する番だ。
感想、評価、ブクマを付けてくださった方々本当にありがとうございますm(_ _)m
ご期待に添えるように全力で大長編目指して頑張ります!!




