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041(託されたもの)

ーー俺は瀬名レイ。隕石が消滅したってのに、クララが一向に帰ってこない。まさかな、まさか。


『レイ…………』

「ハビィはクララの生存を探知とか出来ないの?」

『僕は近くに居ないと無理だよ』

『俺に任せろ』

「田吾作は生存確認出来るのか」

『俺自身にその能力はない。ハビィには言ったと思うが、成田空港で麻薬探知犬のバイトをしているジョンならメフィストの魔力探知が出来るだろう』

「千葉県まで行くか」

『待て。俺の能力を最大限使えば超音速で飛べる。ジョンをここまで連れてきてやる』

「マジか」




ーー俺は、ヤタガラスの魔獣、田吾作。今、ヤタガラスの固有魔法である短距離ワープを連続使いして、マッハ2の速度で成田空港の荷物検査場に行く。ジョンが今日も荷物の麻薬や爆発物の探索をしていた。ジョンの凄いところは不正輸入のゴールドも探知してしまう。


俺は透明になりながら、ジョンに近付く。


『田吾作の匂いだ。隠れてないで出ておいで』


俺は、パッと姿を現す。


『仕事だ、着いてきてくれ』

『えー、これからご飯なのに』

『仲間だろ、手伝ってくれ』

『仕方ないな~』

『じゃ、横須賀市まで飛ぶぞ』

『えっ? えっ?』


俺は羽ばたかせてジョンの尻尾を掴み、成田空港を脱出した。


帰りはマッハ3で行く。一連の説明はしたが、ジョンは呼吸が浅くなってるのか、舌出して気絶してる。




ーー俺は瀬名レイ。今、田吾作の帰りを待っている。ハビィによるとジョンは柴犬らしい。何か変。まあ、チョコやマロンよりはマシか。


ドサッ、バサッバサッ。田吾作がジョンを連れてきた。ベランダに横たわる柴犬と、羽をばたつかせてる田吾作。


『ジョンが気絶してる。何か匂いの強い物を持ってきてくれ』

「分かった」


俺はキッチンへ行き、納豆を持って部屋に戻る。回天納豆160連! 俺はかき混ぜた納豆をジョンの鼻先に持ってく。


『…………はっ! ここは誰? 俺はどこ?』

「ジョン。クララ・メフィストは生きてるか?」

『ヒィィィーー! 怖いよー!』

「ふざけないでくれ」

『バレた? だが怖いのは本当だ』

「で、生きてるのか?」

『田吾作から経緯はだいたい聞いてる。ハァァァーー! すーはーすーはー!』

「どうなんだ?」

『結論から言おう、範囲40万キロメートルにメフィストの魔力を感じない。おそらく生きてはいないだろう』

「そ、そうか。まだ10代だったのに。仇はとってやる!」


覚悟はしていたが、何か頬を伝う物が。涙か。涙は、じいちゃんに鍛えられた時に枯れたはずなんだけどな。


「ありがとう、ジョンと田吾作。ジョンは帰っていいよ」

『待て! レイはメフィストから何か受け継いでないか?』

「俺はちょっとした魔法しか使えない」

『これはアイテムボックスの気配だ』

「何?」

『上の棚から物を取る感覚でやってみろ』


俺は手を上に伸ばして見る。ジャラジャラ。シャキン。俺は異空間から日本刀を取り出した。


「これが、クララの残してくれたもの」

『おそらく、メフィストはプルトンと刺し違える覚悟だった。だから、アイテムボックスだけでも残していく、という事だろう』

『レイよ、アイテムボックスの使い方に慣れろ。メフィストの仇をとるならな』

「ああ」



『帰りは減速してやる。レイとハビィ。プルトンに気を付けろよ。じゃ』


田吾作はジョンの尻尾を掴み、ベランダから飛び去った。

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