039(兄妹)
ーー俺は鈴木節句。今、血便馬鹿山学園の三階に居た敵を全員倒した。残すは高町のみ。待ってろ、米子。すぐにお兄ちゃんが助け出してやるからな。俺は四階に行く。メフィストは一番奥に米子が居ると言っていた。おそらく、高町も一緒だろう。今こそ因縁を果たす時だ。俺は高町の強さを知っている。奴は強い。だが、地獄のリターンマッチと行こうじゃないか。
俺は一番奥の教室のドアを開けた。中には米子が椅子に縛り付けられていた。気を失ってるのか? それとも…………! 俺は米子に近付いて行く。高町の姿はない。
「米子! 米子! 確りしろ!」
「うう……」
息がある。最悪の結果にはならなかった。良かったー。俺は米子の拘束を解く。後ろに気配…………。シュッ! 俺の頭を狙って高町が金属バットを振り下ろしたようだが、間一髪避けた。
「チッ」
「相変わらず卑怯な手を使うな、高町!」
「うるせー、それなら妹に死んでもらおうか」
高町が金属バットを振りかぶった。バキン! 俺はドーグで金属バットを止めた。右手にはめたメリケンサックだ。
「何!? メリケンサックだとー!」
「甘いんだよ。1つだけだと思うか?」
「何の話だ!?」
ドスッ! 俺は両手にメリケンサックをはめていた。そして、左手で高町のボディーに一発入れた。
「ぐはっ!」
「クスリのやり過ぎで手に力が入らないか?」
「この野郎、俺は先輩だぞ! ゲホッ! ゲホッ!」
「俺を狙った作戦なのだろうけど、ここまでお膳立てしてもらってこの程度か高町」
カランカラン。高町が金属バットを床に落とした。去年だったら分からなかったが、今の高町は俺の敵ではない。明らかに薬物をやってる。
「これならどうかな」
シャリン…………。ドス? 刃物でもなきゃ俺に勝てないと用意していたか。こちらに向ける切っ先が震えている。
「いつからクスリをやってる?」
「うるせー! ブッ殺してやる!」
「こんな情けない先輩は見たくなかったんだがな。お前の身柄を組対五課に預ける」
「勝手に決めるな!」
「勿論、お前をボコってからだ」
シュッ! バキン! 高町がドスを構えて突進してきたが、俺はドスを蹴りあげて天井に刺した。
「いってー! お前、靴に何か仕込んでるな!?」
「これはただの安全靴だ。爪先に鉄板が入ってる」
「卑怯だぞ!」
「お互い様だ」
俺はマックスパワーでパンチを出そうと構えた時、天井に刺さったドスが落ちて高町がキャッチした。手札は全部出してしまった。刺し違えるか。
「死ね、鈴木!」
「クッ!」
ドカッ! バタッ。キャプテン・ジャパンが高町の延髄に蹴りを入れて倒して気絶させた。やはりこの男、強すぎる。しかし、もう少し高町から聞き出したかった。コイツのバックに何らかの組織が着いてるのは間違いない。東京犠牲者学園との繋がりもあるだろう。
「キャプテン・ジャパン、高町の身柄を組対五課に引き渡したい。外まで運んでくれないか。俺は米子を運ぶ」
「分かった」
俺は、米子の拘束を解き、お姫様抱っこして校舎から出る。キャプテン・ジャパンは、高町のみ片方の足首を持って引きずりながら外に出た。メフィストはなぜかアタックナイフを手にしていた。隠し持っていたか。米子はとりあえず病院に。昇降口の外にはバリカンが金属バットを持って指示を出していた、三年生に向かって。
「おい、バリカン」
「鈴木さん、お疲れっす」
「組対五課の大隈さんに連絡してくれ。ヤクの売人を捕まえたと」
「はっ!」
「俺は米子を病院へ連れてく。キャプテン・ジャパンとメフィストは、俺のバイクで横浜陰茎学園へ戻ってくれ」
「分かった」
ーー血便馬鹿山学園へのカチコミは終了した。俺は、米子を近くの総合病院へ運んだ。いまだに意識を取り戻さない。検査の結果、体内から大麻成分が検出された。もう一発、高町を殴りたい気分だ。