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019(潜入の大谷)

ーー俺の名前は飛平大谷。ゴールド・メンバーズ第3勢力のリーダーだ。鈴木から連絡を受けて東京犠牲者学園の内部に潜入した。制服はロッカーで誰のか知らんが拝借した。サイズは服の上に着るのにちょうどいい。ネームプレートは美浜(みはま)と書かれてる。この作戦を俺は、あの世の国のエンジェル作戦と名付けた。まあどうでもいい事だが、作戦名があった方が気合いが入る。例え、この学園がシロでも空振りじゃない。俺の価値を上げるための素振りだ。


今は授業中だ。廊下をうろうろしてたら目立つ。早く小型カメラと盗聴器を仕掛けよう。麻薬の話とか受け渡しとかは表立ってやらないだろう。俺は周囲を見ながら盗聴器を仕掛けていく。トイレや使われてない教室等々、怪しい所に。


次は外に出て、体育館の裏や渡り廊下等々に小型カメラを仕掛けた。すると、近くの河川敷から話し声が聞こえた。俺は、小型マイクを携帯電話に繋げてイヤホンをする。嫌な予感がする。


俺は、建物の陰から様子を見る。二人の男子生徒が立ち話をしていた。俺は、マイクを二人に向けて盗み聞きをする。


「ここなら安心だ。それで何発分欲しい?」

「10発は欲しいです」


なんだなんだ? 殴られ屋…………じゃないよな。


「良い客だ。今なら注射器と大麻もサービスで付けよう」

「ありがとうございます」

「10万円な」

「はい、今出します」


嫌な予感は当たった。ここは薬物の取引現場だ。一打席目で特大ホームランかよ。売人の生徒がセカンドバッグから白い小袋を三つ取り出した。パケだ。中身は大麻と覚醒剤、注射器か。


「では、失礼します」

「表立ってやるなよ」


ヤベッ。麻薬を買った奴がこっちに来る。ここで見付かるとせっかくの証拠がパーだ。俺は、携帯電話とマイクをポケットに入れて、振り向いて走ろうとした時、シュッ! カン! 金属バットで頭を狙われたが、俺は咄嗟に避けた。


「お前、誰だ? 取引を見たな?」

「さあ、何の事だか、ハハハ」

「そうか? 熱心に見てたようだが。ていうか、お前マジで誰?」

「嫌だな~、美浜ですよ美浜」

「美浜は俺のクラスメートで、今日は風邪で休みだ」

「あっそ」


バキッ! 俺は右ストレートを敵の顔面にお見舞いして、その場から走り去った。薬物を買った生徒に見付からないように全速力で走った。あっぶね。しかし、ミッションコンプリートだ。ヘマしたら鈴木になんて言われるか分からない。キャプテン・ジャパンにも面目が立たない。後ちょっとで校門だ。…………クソ! 校門に生徒が数人たむろってる。まだ下校時間になってないはず。


「おーい! 走ってる奴、止まれー!」


チッ。勘づかれたか。相手は六人で鉄パイプやバットで武装してる。こういう時に鈴木やキャプテン・ジャパンが居たらな。最悪、バリカンでもいい。


「おい、ポケットの中に何が今なら入ってる? とぼけんなよ? 俺、こう見えて不良だから」

「殺っちゃってくださいよ、近藤さん。よっ! 東京一の不良!」


「はあ~。こういうの俺の仕事じゃないんだけどな」


俺はため息を吐く。


「は?」


ドスッ! バキッ! 俺は、一瞬にして近藤とかいう奴をのした。腹に一発、顎に一発と。弱すぎ。本当に東京一の不良か~?


「「「ヒャー! 近藤さぁんが! 東京一の不良がー!」」」

「そ、ソイツを取り押さえろー!」


残り五人は俺の強さに震え、怯えてる。俺が近付くと、武器を落として尻餅を突く。雑魚が。


俺は歩いて駅の駐輪場へ行き、途中で東京犠牲者学園の制服を脱ぎ捨て、自分の単車に乗って、横浜陰茎学園へと帰る。俺は、スパイと生徒の二刀流だ。キャプテン・ジャパンの読みは的中した。東京犠牲者学園はクロだ。帰り道は天草が事故った所を通らなければならない。まさか天草も東京犠牲者学園をクロだと掴んだのか? 今のキャプテン・ジャパンに不満はないが、戻ってきてくれ、天草!




ーーピッ…………ピッ…………ピッ…………ピーーー……………………。

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