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大怪盗サンチェスの冒険記  作者: 村右衛門
サンチェスと海外観光
49/104

48.サンチェスと行動

投稿が遅れてしまってすみません。

近頃はいろんなことで忙しくてかなり投稿がおろそかになってしまっていますが、これからはテスト期間や、その他の用事があるとき以外は毎週土曜日に更新するようにしていきます。


サンチェスと行動


サンチェスは、アルフレッド氏の邸宅を外から眺めながら頭の中で計画を確認していた。

そして、静かに忍び込む。


サンチェスは、警官の変装をしたままで大広間の中へと入って行った。

大広間には宝石が展示されているからである。

大広間を警備している警官たちは、サンチェスのことを一切怪しむことなく中に入れてしまった。

警官の変装をしているというのは警官たちにとって安心材料となるのだろう。


サンチェスとしては、自分がすんなりとは入れたほうが計画が遂行しやすくていいのだが、それよりも簡単すぎるのも退屈で楽しくないと思う。

サンチェスは、簡単に大広間にはいれたことに複雑な感情を抱きながら時を待つ。



セドリック警部の足音は、敷かれている絨毯に吸い込まれていく。

セドリック警部は、常にアルフレッド氏の邸宅内を見回りしていた。

老人の身体には厳しいことだが、サンチェスがいつ来るかもわからないこの状況ではそうするしかない。

もちろん、セドリック警部一人だけではかなり難しいので、ジェームズも協力している。


セドリック警部は、何周目かの見回りで、あるものを発見した。

というか、見つけさせられたといった方が正しいだろう。

サンチェスが、セドリック警部の通りそうなところにそれを置いておいたのである。

それを、セドリック警部がサンチェスの思惑通りに見つけたのだ。


セドリック警部が発見したのは、サンチェスのカードだった。

セドリック警部は、一瞬だけ眉を顰めたのち近くにいた警官にジェームズを応接間に呼んでくるように伝えて自分もその方向へと歩き出した。

急いでどこにいるかもわからないジェームズのもとへと走っていった警官と、応接間に近い位置にいたもののゆっくりとしか移動できないセドリック警部。

さあ、どちらが先にそれぞれの目的地に到着するのだろうか。




外が何やら騒がしくなってきていることに、大広間の警官らは少しずつ気づいてきていた。

しかし、大広間の外に出ることは出来ないようだった。

何が起こったのか、確認しようとして一人の警官が外に出ようとすると、外にいた警官から足止めを食らったというのだ。

なにやら、セドリック警部からの命令らしい。

サンチェスは、その話を聞きながら、そろそろだな、と考えていた。

セドリック警部が大広間を閉鎖するような命令を出したということは、サンチェスのカードを見つけたということ。それなら、サンチェスも動く必要があるのだ。


ボンッ、と。

大広間にいた警官が外に出られないということで各々が静かにその理由を考えていたため、その音はよく響いた。

警官らは、音のした方に向かって視線を移す。

と、そこで視界が妨げられる。

サンチェスが投げた煙玉によって、視界が白に塗りつぶされてしまったのである。

警官らは、視界が急に今までと違ったまさに無となってしまったことに驚いていて、近寄ってくる人の気配に気づけなかった。


数十秒ほどたったのち、大広間に立っている人物はたった一人となった。

警官の変装を解いたサンチェス以外は、全員が床に伏していた。

サンチェスは、煙玉によって警官らの視界を奪ったのち、全員の意識を奪ったのだ。

と言っても、サンチェスが力加減を調節していたため、全員後遺症さえ残さずに回復することだろう。


しかし、このままでは警官らも少しかわいそうだ。

そう考えたサンチェスは、早めに計画を実行することにした。




◇ 数分前 ◇

セドリック警部はジェームズと無事合流し、サンチェスのものであろうカードについて話し合っていた。

セドリック警部とジェームズは一つの机を挟んで席に着いている。

その机には先ほどのサンチェスのカードが置かれていた。

サンチェスのカードに書かれていたのはたった一文のみ。

『大広間で待っております』ただそれだけの文だった。

セドリック警部も、恐る恐る開けたカードの内容がそれだけだったのだから、拍子抜けしていたようだったが、すぐにその緊急性を理解した。

大広間に、サンチェスがいるのだ。

つまり、サンチェスはいつでも宝石を盗める位置にいるのである。

セドリック警部は、サンチェス捕縛のためにすぐにでも大広間に行こうとした。

それこそ、近くにいた警官隊をかき集め始めていたくらいだ。

しかし、ジェームズはセドリック警部を制した。


「大丈夫ですよ、セドリック警部。サンチェスが言っているだけでそれが本当かどうかはわかりません。それに、もしいるとしても四方は警官が警備しているのです。さすがにサンチェスであろうとも十人を優に超える人数を一人で突破することなどできないでしょう。」

ジェームズがそういうと、セドリック警部は少し落ち着いたようで一旦席に着いた。

「では、どうすればいいと考える?」

セドリック警部はジェームズに尋ねる。


「まずは、サンチェスを完全に大広間に閉じ込めてしまいましょう。もし本当に中にいるのならば外には出られないようにするのです。逆に、虚言ならば大広間の警備をさらに強固にするだけですからそれでいいでしょう。」

ジェームズはそう言った。

セドリック警部は、すぐにその意見に賛同し、警官らを通して大広間の中に誰も入れず、中のだれも外に出さないようにという指示を出した。




そして、サンチェスが行動を開始した。

ゆっくりと移動してセドリック警部がようやく大広間に到着したころのことだ。


「サンチェス発見!」

セドリック警部は、どこからか聞こえてきた警官の声にいち早く声のする方へと視線を移した。

この邸宅の大広間はほぼ正方形で、その周りを一周する廊下があるため、そこのどこから聞こえても、大体声が聞こえてくるのだ。

セドリック警部はすぐに反応はしたものの、行動に移すのは時間がかかってしまう。

セドリック警部の代わりにジェームズがすぐに現場に急行した。

ジェームズがその場に到着すると、既にそこでは乱闘が繰り広げられていた。

ジェームズは、周りの警官に廊下の端と端を固めさせ、乱闘から逃げ延びたサンチェスが逃亡するのを阻止しようとした。

そして、少ししてから急いできたためか少し息を切らしているセドリック警部が到着した。

ジェームズはセドリック警部に現場指揮の立場を譲るようにさりげなくセドリック警部の後ろへと下がる。

セドリック警部は少しの間で息を整えると、一歩前に出て乱闘を繰り広げている警官らをいったん制止した。

セドリック警部が乱闘を制止したと同時に、その場の空気が一層緊張したものとなった。

乱闘が終わるということは、サンチェスが自由になるということ。

いつ逃げようとするかもわからないし、どこから攻撃が飛んでくるかもわからない。

周りにいた警官らはサンチェスが逃亡しないように、急襲に備えた。


そして、人の塊がほぐれていく。

残ったものは一つとしてなかった。

警官らがその場から離れたとき、そこには警官以外のこらなかった。

サンチェスの姿はどこかに消え去ってしまっていた。

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