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大怪盗サンチェスの冒険記  作者: 村右衛門
狙われしサンチェス
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29.サンチェスと不幸

サンチェスと不幸


サンチェスは主に、偶然起こったことを何か原因があるのでは?と考えることはしない。

しかし、今サンチェスはそう思わないではいられない状況にあった。

サンチェスが用事で外に出ているとき、無人の車がサンチェスに向かって突っ込んでくる。

またある時はサンチェスに向かってナイフをもったごろつきが突進してくる。

サンチェスはそれらを難なくよけ、ごろつきに関しては無力化してからその場を去っていた。

しかし、そんなことが何度も何度も続くもんだから、サンチェスもだんだん偶然ではないと感じだした。

そして思い出したのが半分いたずらか何かだと思っていた少し前の挑戦状だ。

サンチェスは隠れ家に戻ってからいたずらかもしれないが、何かの役に立つかもしれないと思って保管しておいた挑戦状を出してきた。

それをもう一度読み返してみたサンチェスは、考えた。

挑戦状が届いた時にも一応考えたことだ。

挑戦状の最後に書かれている〝A〟の文字。

それはほとんどの場合名前の頭文字を表しているものだろう。

つまり、Aから始まる人がサンチェスに挑戦状を送ってきた人物というわけだ。

「アマンシオ氏、アンブレシオ、アレキザンドラ、アダン氏、アマド刑事…」

サンチェスは自分の関わった人物でAから名前が始まっている人物を洗い出した。

しかし、その中でもサンチェスの被害者であるアマンシオ氏、アンブレシオ、アレキザンドラ、アダン氏は今も刑務所の中で過ごしている。そして彼らが脱獄したという情報は来ていないのだ。

彼らにサンチェスへの挑戦状を送るのはまず無理だろう。

サンチェスはそのまま残ったアマド刑事のことを考えたが、あのドジで捜査はしっかりする刑事がサンチェスに予告状を送ってくるわけがない。

しかし、サンチェスが見たのは国家警察の制服だ。

そのことだけを考えればアマド刑事が一番怪しい。

サンチェスは天井を仰いだ。

今考えすぎてもあまりわからないだろう。

サンチェスは一度考えるのを止めた。

しかし、挑戦状を送ってきた人物が誰だとしても、サンチェスに挑んできたのは同じだ。

サンチェスとしては、売られたけんかは買わないわけにはいかなかった。


国家警察にて

国家警察ではサンチェスが何者かに狙われているなんて知る由もなく、サンチェスに負けたショックを抱えながら職務をこなしていた。

そして、様子が違ったのはアマド刑事だ。

窃盗犯担当部署には属さず、知能犯担当刑事である彼はなぜかサンチェス逮捕に尽力していた。

エクトル警部としてもそのことについてはどう言っていいのかわからず、何も言っていなかった。

自分たちの担当している犯人を逮捕しようとしているというのはまあ、嬉しいことではあるのだが、彼は窃盗犯担当刑事ではないのだから、サンチェス以外にも知能犯を担当することになる。

アマド刑事はそっちの事件に集中した方がいいとも思うのだ。

エクトル警部はそういうことや、自分がアマド刑事の直属の上司でないこともあって何も言わなかった。


「サンチェスの予告状が来ました!」

突然、警官の叫び声が聞こえてエクトル警部は仕事をする手を止めた。

アマド刑事のいる知能犯担当部署の部屋にもその声は聞こえていたようで、その方で物音がしている。

国家警察では資料室を真ん中にしていくつかの部署がその周りを取り囲んでいるのだ。

そのため、どこかの部署の物音は時に他の部署にも聞こえてくる。

今回もエクトル警部のもとに来た警官の報告が知能犯担当部署のアマド刑事に聞こえていたのだろう。

これほどに近いのはどうかとも思う。

近いのはまだいいとして、壁が薄いのはどうなのだろう。

国家警察同士だから情報漏洩の心配はないが、気が散って集中しにくい。

大事な職務の集中を切らせるのは事件の解決を妨げる。

エクトル警部も何度かそう考えて国家警察長官に申し出たが、聞き入れてもらえていなかった。

そして、近頃国家警察長官が入れ替わったため、そろそろ今の国家警察長官にも申し出ようかと思っているのだった。

エクトル警部はそんなことを考えながらサンチェスの予告状を警官から受け取り、開き始めた。

そして、中身を見ようとした時、知能犯担当部署から何かの覇気を感じ取った。


「開けないんですか?エクトル警部。」

エクトル警部は周りの刑事に言われてさっそく予告状を見ることにした。


サンチェスの予告状の内容

私はアーロン氏の所有するナイト・クリスタルをとても気に入っております。毎度のことですので記載は必要ないかとも思いますが、頂いた宝石は様々な施設等に送らせていただきます。ところで、これは私のお願いなのですが現場にはレオパルドを呼んでいただけないでしょうか。彼がいたほうが緊張感も高まります。レオパルドの予定は空いているはずです。

では8月14日に参りますので丁重にお迎えくださればと思います。


エクトル警部はこの予告状を読んでまず疑問が出てきた。

いつもなら言葉にするかどうかは置いておいて、馬鹿にされた悔しさが先に来るのだが、今回最初に出てきたのは疑問であった。

なぜ、サンチェスはレオパルドを呼ぼうとするのか。

レオパルドがいたらサンチェスが活動しにくくなるのはわかり切っていることだ。

なのに、サンチェスはわざわざレオパルドの予定を合わせてまでレオパルドを呼ぼうとしていた。

エクトル警部は気になったため、レオパルドにすぐに連絡した。


「もしもし、レオパルド君かね。」

『ああ、エクトル警部ですか。どうかしましたか?』

「先ほどサンチェスからの予告状が来たのだが、そこに『レオパルドを呼んでくれ』ということが書かれていてね。しかも、『レオパルドは予定が合う』とも書かれていたんで確認しようと思ったんだよ。」

『ああ、それなら、少し前にサンチェスから手紙が来て、「8月14日は予定を空けておいてくれ」と言われたんです。』


やはりか。

エクトル警部はそう思いながらレオパルドに礼を言って、電話を終わらせた。

サンチェスはレオパルドにまで連絡して都合を合わせていたのだ。

そこまでする理由がサンチェスにはあるのだろうか。

エクトル警部はそう思ったが、レオパルドの力を借りれるのはいいことなので、まあ、いいということにしておいた。

ところで、エクトル警部はレオパルドのことをレオパルド君、と呼んでいたりするが、実はレオパルドのほうがエクトル警部よりも年上である。

そこまで大きな年の差ではないため、レオパルドも気にしていなかったが、エクトル警部としてはこのままでいいのか、どうなのか、と思っているのだった。







サンチェスは一人、部屋にこもってある情報を集めていた。

レオパルドにも予定は合わせたし、狙う相手もわざわざアーロン氏に絞った。

これでどうにかなるだろう。

サンチェスはその場で微笑を浮かべてある資料を見た。

そろそろ、中間テストのテスト期間が始まりますので、投稿をしばらく休ませていただきます。

十月ごろには再開できるはずですので、気長にお待ちください。

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