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大怪盗サンチェスの冒険記  作者: 村右衛門
サンチェスと戻ってきた日常
31/104

27.サンチェスと普通の事件 3

またもかなり遅れて申し訳ありません。

サンチェスと普通の事件 3


サンチェスは、立ち入り禁止区域とされている部屋に入った。

そして、部屋の隅っこまで行って床板をはがし、出てきた穴へ入り込んだ。

そこが地下の抜け道なのだ。

サンチェスは暗い中で懐中電灯をつけ、まずは追ってくるであろう警官らからの逃走を最優先に道を進みだした。

抜け道と言っても急仕立てのものではなく、しっかりと天井が落ちてきたりはしないように木材が張ってあった。

そして、子供なら普通に立って走れるほどの高さもあった。

それで、サンチェスは少し屈みながら通路を走っていった。

後ろから警官の追ってくる足音は聞こえない。

明かりがない地下通路に入ろうとする勇者はいなかったらしい。

というか、それが普通だろう。

今頃警官らは上官であるエクトル警部に確認をとっているか、アダン氏にここがどのような場所なのかを聞いているのだろう。

どちらにせよ、少しの時間はサンチェスの独走状態だ。

誰にも追われることはないだろう。

サンチェスは少し駆ける足を遅め、慎重に進みだした。

真っ暗な地下通路は懐中電灯の光があるからこそ明るくなっているが、サンチェスが懐中電灯を少し下に向ければ、光の届かないところは完全な暗黒だ。

目が慣れれば少しは見えるのかもしれないが、さすがにきついだろう。

サンチェスは出来るだけ広範囲を懐中電灯で照らしながら進んでいった。

この地下通路には侵入者を退治するような仕掛けはない。

しかし、かなり老朽化しているそこはどこが壊れていてもおかしくないのだ。

サンチェスは足元や天井を気にしながら地下通路を進んだ。

「かなり遠いんだなぁ。」

サンチェスはそうつぶやいてはっと口を押さえた。

かなり響いたのだ。

狭いところが長く続いているから、音が反響したのだろう。

サンチェスは警官らに気づかれたか?と後ろを見てみたが、誰も来ていないし、何の声も聞こえてこない。

サンチェスはほっと溜息をついてまた先へと進んでいった。

アダン氏の邸宅の地下にある地下通路は本当にどこまで続いているのだろうか。

サンチェスが特に詳しく調べたのは出口につながる通路だったため、全体を把握しているわけではない。

しかし、軽く調べただけでもかなり広い範囲に広がっていた。

一応、アダン氏はこの地下通路を存続させるために地下通路の上にある邸宅の持ち主や、企業などに許可は取ったらしい。まあ、一応。


サンチェスは一度立ち止まり、周りを確認して誰も来ていないことを確認してから一度その場に座り込んだ。

さすがにずっと移動しているのは大変だ。

サンチェスも時にはしっかりと休憩しておかないと、疲労がたまってしまう。

そんな状況で警官に見つかったら逃げるのも難しくなってしまうのだ。

そんなことにならないためにもサンチェスは休憩する。

今も物音は聞こえてこないから、誰も来ていないだろう。


そうして数分が経った。

サンチェスはそろそろ歩き始めるために立ち上がった。

サンチェスはもう一度、周りを確認した。

懐中電灯の光が届く範囲にはだれもいないし、何もない。

そのことを確認したサンチェスは歩き始めた。

しかし、その数秒後にサンチェスは歩みを止めざるを得なくなる。


カランッ コロコロ


そんな音を立ててサンチェスの前に現れたのは、小型の手榴弾だった。

サンチェスは本能的に後ろに飛び下がった。

しかし、その手榴弾はすぐには爆発しなかった。

サンチェスは手榴弾の威力がどれだけなのかわからないため、できるだけ遠くに走っていった。

もし、手榴弾の威力がそこまで高くなくても天井などが壊れたら土などで道がふさがれてしまうかもしれない。

サンチェスは約二十メートルほど走って逃げたのち、一旦止まってどれだけの爆発かを見ようとした。



ドォォオオオン



手榴弾は投げられてから十秒もしないうちに爆発した。

しかし、天井の一部が焼け焦げたくらいで被害は済んだ。

まあ、あそこにサンチェスがいたら普通に死んでしまっていただろうが。

サンチェスは手榴弾の危険が亡くなった今、すぐにでも犯人を探し出そうとした。

今まで国家警察から逃げてきたことはあるサンチェスだが、本当に命を狙われたのは初めてだ。

そんなことをする人が国家警察にいるはずがない。

ということは、王冠を盗まれたアダン氏が復讐するためか。

サンチェスはそんなことを考えたが、すぐに追いかければ犯人が分かるはず、と走っていった。

そして、手榴弾が投げ込まれた当たりの曲がり角を曲がると、遠くの方に一瞬国家警察の制服が見えた。

サンチェスは追おうとしたが、すぐに懐中電灯の光の届く範囲から出てしまったことと、その方向の地下通路についてはしっかり把握できていないことがあって諦めた。

しかし、犯人であろう人物は本当に国家警察の人間なのだろうか。

サンチェスは国家警察で知っている人間を頭の中で思い出して見た。

しかし、思ったよりも国家警察の人間を知らないことに気づいた。

エクトル警部とエドワード警視、アマド刑事、その他にもサンチェスの知っている人間は数人いるが、今回は省略しよう。

まあ、サンチェスの知っている人間でそんなことをしそうな人物がいそうにないということだけはわかった。

では、サンチェスも把握できていない警官かそのあたりか、サンチェスはそう思った。

国家警察の制服が見えたことは事実だ。

サンチェスの目にはそのことがはっきりと見て取れた。

国家警察の人間で、サンチェスの命を狙うような人物。

それだけではサンチェスも誰なのか、予想を立てられなかった。


そんなことを考えている時間もない。

サンチェスはそう考えて駆ける足を速めた。

今そのことを考えても意味がない。

一度家に帰って情報を整理しなければならないからだ。

サンチェスは走り続けた。

サンチェスの記憶ではあと数十メートルも走れば出口が見えてくるはずだが、思ったより遠い。

誰かがこの地下通路に気づいたとしても出口までは向かえないようにしてあるのだろう。

ところどころは広くなっていて休めるようにさえなっている。

これは少しの間外には出られないようなことがあったとき用だろうか。

サンチェスは走った疲れを紛らすためにそんなことを考えた。

そして、ついに出口が見えてきた。

階段がついていて、その天井は開くようになっている。

サンチェスは開閉式の天井を開けようとした。

しかし、簡単には開かない。

かなりの間そこは開けられることもなく放っておかれたのだろう。

金属部分などは明らかにさびていて、動きそうになかった。

サンチェスは何度か渾身の力で扉を開けようとした。

何度か上に向かって体当たりもした。

しかし、扉はびくともしない。

サンチェスは開けることをあきらめた。

正確には、普通に開けることをあきらめたのだった。

サンチェスは持ってきていた金属のハンマーを取り出した。

それは、小さかったが、かなりの威力を持つ者だった。

扉はかなり劣化しており、金属部分は動きそうにない。

しかし、扉は大部分が金属ではなく、木材でできているのだ。

木材は金属とは違い、劣化したことによってもろくなっていた。

サンチェスがハンマーで少し叩けば、少し大きめの音を立てて崩れた。

サンチェスが扉1つを開けるのにそこまで時間はかからなかった。

サンチェスは天井に空いた大きな穴から外に出た。

すると、そこは誰も通らないような裏路地だった。

サンチェスが隠れ家を置いていた町とは違う町だったが、サンチェスも知っている町だった。

サンチェスは頭の中で地図を広げながら足を進めた。


そしてその頃、アダン氏の邸宅ではサンチェスの残したアダン氏の悪事の証拠が見つかり、アダン氏が詐欺罪で逮捕されたのだった。


近頃ある事情でかなり忙しくなっています。

投稿頻度が下がるかもしれないことを先にお伝えしておきます。

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