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大怪盗サンチェスの冒険記  作者: 村右衛門
サンチェスと敵討ち
24/104

記念話 セフェリノ警部は亡くし、出会う

二話連続で番外で申し訳ないのですが、今回PV1000突破記念で番外を投稿いたします。

これも皆様のおかげです。ほかの皆さまには足元にも及びませんが、

これからも応援していただければ嬉しいです。


セフェリノ警部は亡くし、出会う


アレキザンドラ社

私は常にアレキザンドラ社について考えている。

私の叔父を殺したも同然の者たち。

許せるとは思えない。せめて、法の上で罰するまでは。


私は幼いころに両親を亡くした。交通事故だ。

私が叔父のところに遊びに行ったとき、両親は二人で買い物に行った。そして、帰ってこなかった。

あの時の衝撃と悲しみは今でも覚えている。

どうして、どうして、どうして。

なぜ?という疑問しか出てこなかった。叔父は悲しみながらも私のことを心配してくれた。

私は叔父が好きだった。昔から優しくしてくれた。一緒に遊んでくれた。

そんな叔父が。

そして、その叔父は私の保護者を買って出てくれた。


叔父は私を助けてくれた。


私は叔父に救われた。





もとよりそこまで裕福でなかった叔父は私のため必死に働き、どうにか二人で生活できるようにしてくれた。

しかし、毎日の食料も少なくなり、弱ってきた叔父は働くことも難しそうだった。

そんな時、現れたのがアレキザンドラ社だ。

お金を借りれる!おじさんが楽になる!

私はそのことしか考えていなかった。私はまだ成人もしていない子供だ。それしか考えられなかったのも当然かもしれない。

叔父は私と違って良い所だけではなく、怪しいところも考慮していた。

お金を借りるのは慎重に。

叔父が私に教えてくれた、最後の教訓だった。

叔父はアレキザンドラ社が提示した書類などにすべて目を通し、大丈夫だ、という確信を得てから借用書にサインした。


無くなった


叔父がアレキザンドラ社にお金を借りた約一か月後、借りていたお金が一気に盗まれた。

叔父は契約通り、アレキザンドラ社から借りたお金に盗まれた賠償金を上乗せした額を払わされた。

その額は叔父が払いきれるような金額ではなかった。私や叔父には親類が少ない。誰にも助けを頼めず、私たちは一気にどん底に堕とされた。


亡くなった


私は叔父を亡くした。

成人する少し前のことだった。叔父は老齢だったわけではない。まだ五十にもいっていないほどだった。

なのに、亡くなった。医者の診断によると、過労死だという。

アレキザンドラ社にさらに借金をした結果、叔父は以前にも増して働かなければならなくなっていた。叔父が亡くなった原因の一つにはアレキザンドラ社もあると思う。そう思うのは逆恨みかもしれない。

でも、逆恨みでないという理由が出来た。家のいたるところにアレキザンドラ社の人の指紋が見つかったのだ。見つけたのは私が十七の時あたりだっただろうか。国家警察を目指した私ははじめ、指紋の採取方法を知った。

それで、叔父に譲り受けた家で試していたのだ。

すると、私のものでも叔父のものでもない指紋が出てきた。初めは叔父の友人か来客かと思ったが、叔父には家に招くほどの友人はおらず、叔父が働き詰めになるころから来客は来ていなかった。


誰の指紋だ?


私はそう思った。それで、思いつく人の指紋をとってみた。そして、見つかったのがアレキザンドラ社の人の指紋だった。

家にあったアレキザンドラ社との契約書。

そこにはアレキザンドラ社の人の指紋もついていた。その指紋を家のいたるところについていた指紋と照合したところ、完全とまではいかないが、一致したのだ。

叔父の家にはアレキザンドラ社の人を入れていない。なのに、指紋はついている。

このことが意味することはただ一つだった。

アレキザンドラ社がお金をすべて盗んでいったのだ。

そして、そのストレスと働きすぎで、叔父は亡くなった。

私はアレキザンドラ社に対する憎しみを募らせ、国家警察となった。

アレキザンドラ社は今も大企業として公に有名となっている。

つまりは世間では詐欺グループだとは思われていないのだ。私は、国家警察になった今、アレキザンドラ社のように気づかれない罪人を見つけることを目標にしていた。

そして、エクトル警部という先輩に出会った。

エクトル警部は二十二歳という若さでありながら、ベテラン警部と言われる。

私はエクトル警部のことは国家警察に所属したあたりから知ってはいた。今までずっと追った犯人を逃がしたことがないという伝説を持つ警部、としか知らなかったが。

エクトル警部に直接会ったのは国家警察内で部署交換があった時だ。

部署交換というのは、近頃国家警察長官が考え出した企画で、国家警察の警官の万能性を高めるための企画だ。

各警官や警部などの部署を一気に変えるというものだ。しかし、実際の事件は担当せず、元の部署の担当刑事が事件を担当する。

この時は試験段階だったため、そこまで大異動はせず、警部格だけが異動することになった。

私は警部にはなっておらず、警部補だったため部署はそのものだった。


「ここに来る警部格、エクトル警部だそうだぞ?」


私は偶然噂でそのことを知った。ベテラン警部が来ると知ったほかの警部格以下の刑事らは歓喜していた。

普段なら見かけることも少ないエクトル警部に会えるのだ。

しかし、そのように有名な人にはそこまで興味のないセフェリノ警部はエクトル警部個人に会える、ということよりもベテラン警部だから、何らかの知識を得られるかも、ということを考えていた。





ほんっとにどうなってるんだ?





私は思った。ベテラン警部が来る!と騒いでいた刑事の前に現れたのは若い青年だった。

私でも、エクトル警部がベテランと言われていてもそこまで年を取っているわけではなく、まだまだ若いということは聞いていた。だからこそ有名になったのだろう。

しかし、ここまで若いということは知らなかった。

未だに二十二歳!私と同い年だ。

それなのに、私は警部補どまりでエクトル警部はベテラン警部。

私はエクトル警部との差を思い知った。それは実力の差か、努力の差か。

私が考えているとき、エクトル警部が急に話しかけてきた。

職務中と言っても今は私もエクトル警部も短い休憩時間だ。話しかけること自体は問題ではない。

しかし、初対面でなぜ私が選ばれたのか、と。

「君は警察官に向いているな。」

急に。

エクトル警部は私にそう言った。私は急に言われたことや、なぜそう言われたかがわからなかったことがあり、固まってしまった。

エクトル警部は私が急に固まって動かなくなったのに驚いたのか、首をかしげている。


「君がセフェリノ警部補、だったな?」


私はエクトル警部にそう問われ、私は静かにうなずいた。

エクトル警部はやっぱりな、と呟き、



「君の志望動機を読んでな。警官は主に被害届の出た事件を解決する。しかし、君は気づかれていない事件を解決し、気づかれていない犯罪者を逮捕したいと書いていた。そのような志望動機を持っている人はそういない。しかし、私はそれこそ必要だと思う。」



そう言われたとき、なぜか不思議な満足感を感じた。私は努力を褒められたことはあっても、志望動機を褒められたことはなかった。私は驚いたままエクトル警部の方を向いた。

すると、エクトル警部は私に〝笑ってくれた〟

私はエクトル警部につられて笑った。


こうして私はエクトル警部という友人であり優秀な先輩を得たのだ。


私はこの時、エクトル警部と友人になれたことばかり考えていたため、数か月後にアレキザンドラ社を討伐することになるとは思っていなかった。

セフェリノ警部が今のように生活できているのはエクトル警部のおかげです。

このお話には含まれていませんが、セフェリノ警部がレオパルド(一応はサンチェスも)に会ったことも

セフェリノ警部の力になりました。

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