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初投稿です。よろしくお願いします。
「どうして…?」
そう呟く彼女のアメジスト色の瞳から涙が零れた。
彼女の視線の先に目をやるとそこには彼女の婚約者であるこの国の第一王子とその王子に腕を絡めて歩く女の姿がある。
仲睦まじそうに微笑みあうその姿はまるで恋人同士のようで、それを見た彼女の瞳からは次々と涙が溢れる。
「どうして、私のことは見てもくださらないのに…。」
涙が彼女の瞳から光を奪っていく。
「…あの、あの女さえ、いなければっ!」
髪を掻き乱し眦を吊り上げ、彼女…エリス・カルミアラは喚き続ける。
(あー、物語通りだわ。)
そんな彼女を醒めた目で見ながら私、和泉 悠はひっそりと溜め息を吐いたのだった。